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みんなの短歌大会、つる賞発表です。☆

『ご挨拶』


noter のみなさま、こんにちは。☆

みんなの短歌大会、審査員の一人、
また、亀山こうきさんと
鶴亀杯ホスト役でもありました、つる です。

鶴亀杯、たくさんのご応募いただきまして、
まことにありがとうございました。

夏の暑いなか、お詠み下さりまして、
感謝の気持ちでいっぱいです。

ちなみに、
参加者数など申しますと、

俳句 136名、385句
短歌 124名、336首
川柳  82名、232句

のべ参加者数  342名
実参加者数   183名
三部門コンプリート 58名

となりました。

私は、鶴亀杯の冠の一つを持つ者、
進行役ではございましたけれども、
応募作品の公式審査につきましては、
短歌大会を受け持つ一人であります。

改めて、よろしくお願いいたします。

夏に詠む短歌。
古くは、万葉集でも
夏の歌は少ないとか。
他の季節に比べて情緒を
表しにくいでしょうか。

そんな風に思われます折、
すてきな作品ばかり集まりまして、
読ませていただきました次第です。

まだ経験の浅いわたしが、
どこまでみなさまの作品を
読み取れるか、
心もとないところでは
ございましたけれども、

『 歌は人なり 』

という言葉がありまして、
それを信じて、
選ばせていただきました。

ほんとうは、
みなさま全員に、つる賞ならびに
ご講評差し上げたい気持ちなの
ですけれども、
10名様、各1首ずつ、
授賞させていただきたいと
思います。

以下、結果発表と講評を
添えさせていただきました。
おめでとうございます。

順不同、敬称略です。
順位も設けておりません。

それぞれの作品に魅力を感じて、
甲乙の付けられませんでしたこと、
何卒、ご容赦くださいませ。
では、発表です。


『 つる賞 』



棚架ヤスヒデ

炭酸の苦手な子供だったからいつまでも瓶を持って歩いた

(講評)
なにげない散文のような詠みぶりで、
短歌の定型を意識すると詩になるという
好例と思いました。

いつまでも瓶を持って歩いた、
この表現で、言外に充分気持ちの
伝わってくるすてきな御歌と思います。

子供の歩く姿は印象的です。
淡々とした詠みぶりゆえ、
寂寥感を受けました。

作者の持たれるであろう、
孤独感にも惹かれました。

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はねの あき

待ち合わせしたけどついに夕立ちでびしょ濡れだけどきみを待つけど

(講評)
「けど」、のリフレインが、とても効果的に
使われていると思いました。

一首の内に、時間の推移と感情の変遷が
見て取れます。

「けど」、の後の気持ちを言わないところが
詩と思われました。

読者(わたし)の想像の余地が、
どんどん膨らんでゆくのでした。

思い入れの持てる、印象的な一首と
思います。

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友音

雲一つ無い澄みきった青夏に あなたの笑顔がこの空のよう

(講評)
なにげない詠みぶりのようで、
とても工夫されている一首と思いました。

青夏、という言葉、造語でしょうか。
一首の中央に置くセンス。そして、
空白(スペース)を入れての、
七七(下句)の、より強調され得た
気持ちの表現。

巧みな一首と思いました。

青夏、を存分に活かしたすてきな御歌と
思います。

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MITEI NARICO

潮風に
はためき泳ぐ
鯨幕

滲みぼやける

母との思い出

(講評)
鯨幕という言葉を知らなかったので
調べました。

短歌を読んでいますと、
知らない言葉に出会うことがよくあります。
この歌には、言葉の意味を調べてでも
一首読みたいと思わせる
何かを感じたのでした。

潮風に
はためき泳ぐ
鯨幕

で、まずは詩の雰囲気が
充分に伝わってきました。

見えない潮風と、白黒の幕の
鮮やかなコントラスト。

しかしながら、作者は
下句(七七)で、

滲みぼやける

と詠み下ろします。
白黒のはっきりした色の区別が、
かえって、母との思い出を
ぼやけさせたのでしょうか。

お母さまに対する色々な想いは、
白黒だけでは語れない。

そんな声も聞こえて来そうな気が
しました。

二行空けのスペース(空白)も
気持ちの「タメ」として
よく効いているように思いました。

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大橋ちよ

音楽を人に戻せと君の言う
爪弾く旋律運命と共

(講評)
音楽を人に戻せ。
ある種の危機感を「君」は
言うでしょうか。

私なぞが想像しますと、
コンピューターを使って音楽を
作る、
パターン化されてゆく音楽性への
警鐘とも受け取りました。

そして七七(下の句)で、
君は爪弾きます。
自らの手で。旋律を。

運命とは、
この時代(の音楽)と共に生きる
運命かと、
混迷の世と見て、
力強い詠みぶりを感じました。

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ヒスイ

「名も知らぬ翠(みどり)の石を縦横に
駆けるクラック寝いき吸ひこむ」

(講評)
翠の石がひび割れていることを、
「寝いき吸ひ込む」、という表現で
巧くまとめていると思いました。

名も知らぬ石なのだけれども、
作者にとっては大事な石なのかも
しれません。

石を傍に置いて寝ているでしょうか。

寝いき、という一語で、
幻想的な情況を作り出している一首に、
想いを馳せます。

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祐希

サンダルをぶらぶら遊ばせ飲むコーラ
二人で紡ぐ夏色の時

(講評)
何気ない日常のこの瞬間が愛おしい。
そんな気持ちが伝わって来るような
すてきな御歌ですね。

上句(五七五)で、
さらりと状況を詠まれて、
下句(七七)で
自然に詩的表現へと展開する、
気楽に詠まれているように
感じさせるところが、
功を奏しているように思いました。

ムードのしっかりとした一首と
思いました。

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ままのすけ

子が育ち 自由研究 ない今は
ちょっとさびしい 親子のお休み

(講評)
小学生の頃など、
夏休みの自由研究には、
よく親を頼ったもの。

親子の共同作業の機会とは、
意外とそう無いのかもしれません。

その子が育って、親子の距離が
ちょっと離れてしまいましたような。
でも子は育ってゆくものなのですね。

親御さんの目線から素直に詠まれて、
無理の無いお気持ちが、
心につんと切なく灯ります。

一首最後(結句)の字余りも、
気持ちの余韻を感じて
印象的です。

この歌のポイントは、
一首の頭から終わりまで
『切れていない』点にあると
捉えます。

自ずと五七五七七のリズムで
区切られた詩型に、
よどみなく、通して一文を
書くかのようにお詠みに
なられたことで、
リズムのバランスが
相対的に取られている点も
評価しました。

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四四田鹿辰

駅方面とだけ書かれた矢印が指す夏の大三角形

(講評)
非常にロマンティックに展開する一首と
思います。

これは、想像だけでは詠み得ない一首と
思いました。

作者の純粋で誠実な作歌姿勢が、
短歌、そして詩たらしめているように
感じました。

人物も気持ちも詠まれていないのに、
歌のこころの伝わって来る、
物語性も魅力のすてきな一首と
思います。

夏の大三角形、
織姫のベガ、
彦星のアルタイルも
詠み込まれてらっしゃるのですね。

作者へのリンク


ゼロの紙

遠花火 なくしたものの 輪郭なぞる

かなしみに 番号つけて

(講評)
まず、言葉の抽象的、具体的の
バランス感覚に惹きつけられました。

遠花火だけが現実味を帯びていて。

非常に詩的で、言葉のリズム感、
調子に独自の物を感じます。

遠花火を見て、展開してゆく
『詩』は、どこを見つめて
何処へ向かうのか。

作者の気持ちの続きが、
歌の余韻となって想像を促します。

しかしながら、この詠みぶりは
全て『動作』です。

そこに何らかの希望を
見い出せる印象もまた、
ありました。

かなしみのなかにも、
生命の息吹を感じます。

作者へのリンク



以上、十人様、十首を、
つる賞としまして、
授賞させていただきたく存じます。


『 あとがき 』


審査は難航しました。

どの御歌にも、採りたいものが
ございました。

時間の経過と共に、
読み返すにつけ、
しみじみと、よく
思われました十首を
選び抜きました次第です。

短歌は自由度が高いです。

それゆえ、
歌うポイントや詠みぶりに
単(ひとえ)なるものが
感じられる御歌が、
印象として
立ち上って来やすく、
読者の私は、
まっすぐな心意気で
詠まれた歌に共感
し易かったです。

積極的に採りにゆきました。

光栄な機会を与えて下さりまして、
誠にありがとうございました。

短歌を愛好していただけますことを、
一愛好者であるわたしの願いと
いたしまして、
つる賞のご挨拶の締めくくりと
させていただきます。

ご参加下さりましたみなさまの
すてきな御歌を読ませて
いただきまして、
かさねがさね
ありがとうございました。

また、
鶴亀杯の冠をいただき、
この大会に大いに関われましたこと、
鶴亀杯をご覧下さりましたみなさま、
貴重な作品をご応募下さりました
みなさま、
運営のみなさま方へ、
かさねがさね
感謝申し上げます次第です。

まことにありがとうございました。


ありがとう、鶴亀杯。

つる かく

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