夜から朝になる、を見る。人は光を見た時何を想うのか
話は夜寝る前にさかのぼる。
娘:うーちゃん朝になるまで起きてる!
私:えっ、寝るのが遅くなると朝起きれなくなっちゃうよ
娘:うーちゃん、朝になるの見たいの。カカ、朝になる前に起こして
翌朝、日が昇る前に娘を起こした
私:起きてくださーい、朝日が昇るよ
< 娘起床 >
娘:!もう朝じゃん!暗い時に起こしてよぅ(怒)
つまりはこう、
娘は夜中の暗い空から徐々に明るくなって日が昇り朝になる、その行程を見たかった
朝日ではなく朝になるところを見たかったのだ
だから日が昇る前の明るくなってからではもう遅い。暗いうちに起こしてくれ、ということだった
それはつまり、夜明け前
空が白んでくる、変化する様を見たい
ならば、暗いうちに起こさなくてはいけない。
徹夜で作業して空が明るくなるのを見て「あぁ、もう朝か... 」の、あの時である
私:うーちゃん、起きれたら起こすけど、起きれなかったらいつもの時間に起こすからね
娘:うん、いいよー
そんなやりとりがあったとある日、
明け方もぞもぞと動く娘
娘:おしっこでちゃった...
私:ん、おむつ履いてる?...大丈夫じゃない?
(夜はまだおねしょすることがあるので、冬の間は布団がぬれて冷たいと後が大変なので、夜だけおむつを履いてもらっている)
娘:おフトンぬれちゃった...
< 確認 >
私:大丈夫、お布団はぬれてないよ。おむつが濡れてるからそう思ったんじゃないかな。おむつかえに行く?
娘:うん
ぬれたおむつをかえにリビングへ(着替えはリビングに置いてある)行く。外はまだ暗かった
用事を済ませて、少し目が覚めてきた娘に問う
私:蜂蜜ジュースつくるけど、うーちゃんもいる?今日はまだ暗いから朝になるところ見れるよ
娘:うーちゃんも蜂蜜ジュース飲むっ
蜂蜜ジュースとは、蜂蜜をお湯で溶いただけのシンプルな飲み物である。柚子をたくさんもらった時に、柚子果汁と蜂蜜をお湯で溶いて、柚子ジュースにして飲んでいた、その名残り
部屋が明るいと外が見えないので、明かりを消して窓辺で待つ(撮る時だけつけたら怒られた)
ただただ待つ
しかし早起きした時の、贅沢な時間感はすごい
空間がゆったりしている
娘:あ、明るくなってきたよ!
私:そうだね、明るくなってきたね
まだ朝日の前の、真っ暗から木のシルエットがわかるくらいに空が青くなっていく
それから暫く空を観察していた娘は、朝日が昇る前に、飽きた
私:(あー、本当に空が明るくなってくるところを見たかったんだなぁ。朝日じゃなくて)
てっきり朝日が昇る「朝になる」ところを見たかったのかと思っていたけれど、実際はその前の暗闇の空が青くなる瞬間を確かめたかったのだね。
シブイ。通ですな
そんな中、起きてきた夫が言う、
夫:うーちゃん、トトが取り寄せしてもらった本もこんな話だよ。
北極では太陽が出ないずっと夜の極夜が4ヶ月続いてね、人は極夜が明けた時、太陽を目にして何を感じたのか。
カカがお取り寄せしてくれたから、週末はそれを楽しむのよ
調べたら本屋大賞受賞のノンフィクション。
(読んだら次貸してもらおう)
〈紹介文より〉
極夜――「それは太陽が地平線の下に沈んで姿を見せない、長い、長い漆黒の夜である。そして、その漆黒の夜は場所によっては3カ月から4カ月、極端な場所では半年も続くところもある」(本文より)。彼は、そこに行って、太陽を見ない数カ月を過ごした時、自分が何を思い、どのように変化するのかを知りたかった。その行為はまだ誰も成し遂げていない”未知“の探検といってよかった。
(続く)
我が家の場合は太陽を拝む前に飽きた(納得した)が、確かに暗闇から薄暗くなって日が昇る前に明るくなるのは、見て体感しないとわからない
長い夜の後太陽を見る時も、明るくなる前の真っ暗から青くなる空を見る時も、体感しないとわからない
そう思うと本ってすごい
自分がそこに行かなくても、行った人を通して、その人をアバターのように解して擬似体験できる。素敵なツールであります
夜から朝になる前を見ることも、何気ないけれど、実は深いことでもあるのかもしれませんね