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カチカチ組織を少しでもやわらかくする方法

多くの人は会社、部活、町内会、何らかのコミュニティに所属しています。そして、所属しているが故に様々な悩みを抱えています。

組織は人でできているし、人は組織がつくります
人が良い環境だと思えば組織はより良くなり、組織が良くなれば人は幸せになる、という好循環が生まれますが、一方でひとたび悪い環境だとなってしまえば悪循環が始まります。

組織風土改革や組織開発の考え方や色々な手法、フレームワークなどについては、たくさんの書籍も出ているし、youtube上にも無料の動画コンテンツもたくさんあるし、勉強する方法はいくらでもあります。

でも担当として現実的にどの層にどういうアプローチをしていくのが良いのか?どういう話をするのが効果的なのか?良くも悪くも会社ではどういうことが起こりうるのか?
そういうリアルな話はあまり聞こえてきません。

本コンテンツが何らかの組織を「良くする」ことのきっかけになれば、「良くしたい」人の参考になれば嬉しいです。


はじめに

私は現在、複数社の組織・人事コンサルの仕事をさせていただいていますが、風土改革や組織開発の世界への入り口は、新卒で入社した所謂中小JTCの内製組織開発部署の立ち上げからスタートしました。

変化の大きな小売業界の会社で、市場縮小は目に見えている中、何だかよくわからないけどこのままではいけない、理由は明確ではないけど今の風土ではこれ以上の発展はない、という漠然とした危機感の中、初めは訳もわからず、組織・人事コンサルの方と相談しながら色々な取り組みを進めてきました。

当時私が働いていた会社は、頭が良くて行動力もあるカリスマ的な経営者の下、ガチガチのトップダウン組織でした。
数字の理解でも営業面でも、社長に敵う人は誰もいないという状態で、社員は皆、社長に任せておけば大丈夫だと思ってしまっていたのです。

そこについては社長自身も課題に感じており、このままではいかんということで社内に風土改革専門部署をつくったのです。

そこの立ち上げメンバーとなった僕は、社員の主体性や自分で考える力を根付かせるために色々な方法を実践しました。
社員数は3000人ほどでしたが、役員層、幹部層、管理職層、一般層、若手、新人、といったように様々な層に向けてアプローチを行いましたし、それらをごちゃ混ぜにした取り組みも行いました。

その中でうまくいったこと、失敗したこと、怒られたこと、感謝されたこと、沢山あります。組織に対して混乱を発生させてしまった一面もあるし、行動変容に繋がって営業成果に繋がったという一面もあります。私のおかげでやりたい事が見つかったと言ってくれた人もいるし、私のせいで転職してしまった人もいます。

この頃の取り組みについては今でも後悔していることが沢山あって、もっとできたことがあったと反省しています。試行錯誤でやってきたとはいえ、私自身がもっと組織の課題と向き合い、頭と体をフル活用すればこんなにも辛い思いをする人はいなかったかもしれない。

このような経験から私は組織で働く多くの人が悲しい思いをしないように、楽しく働けるような社会をつくるために、ということをいつも考えています。

組織で働くのは人で人がいるからこそ組織が成り立つ、良い環境をつくるのは人で人は良い環境で育ちます。つまり人も環境も相乗効果で良くなっていくことを自分の力で後押しし、実現していきたいのです。

そのような取り組みの途中から組織コンサルとして他社とも関わるようになり、さらに知見が広がっていきました。最初の会社も含めて、世の中にはカチカチに固まってしまっている組織が沢山あります。
どういうところがその組織の特徴で、どういうところが共通項だなという自分なりの当て感が身に着いてきたように思います。

そのようなこれまでの経験を踏まえ、なるべく泥臭く、担当者目線でお伝えしたいと思います。

理論や学術書はもちろん大切です。組織開発関連はそれ無しには語れない領域だし、その勉強からはまず逃げてはいけません。
但しそれだけでは現場のリアルな課題は当然見えませんし解決方法もわかりません。リアルでは何が起こっているのか、どんなことを言われるのか、どんな反応が返ってくるのかをぜひイメージしてもらえればと思います。

そしてこれは、決して組織風土にかかわる仕事をしている人だけではありません。
例えば部活や町内会、何らかのコミュニティや組織でチームビルディングの課題を感じている人にも是非読んで何かを感じてもらえればと思います。

アプローチの全体像がこちらです。

アプローチの全体像

どんな組織にも変わりたくない人、無関心な人、変わってもいいかもという人、自分から変わろうと思う人、がいます。
その割合は組織によって様々ですが、基本的に人は今いる環境が変わることを嫌がるものですので、その環境が心地良ければ良いほど、変わりたくない人の割合が高くなります。

カチカチの組織であればあるほど、メンバーには所謂コンフォートゾーン(仕事や人間関係においてストレスのかからない快適な状態)だと認識されています。
コンフォートゾーンから自ら飛び出すことは勇気もパワーも必要ですから、環境を整えることで自ら変革していく人を増やしていくことが大切です。コンフォートゾーンだと思っている場所を出ると、もっと素敵な世界が広がっているんだよ、と見せてあげることが必要なのです。

これらの対象ごとの項目について、個別に解説していきたいと思います。

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