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私は子どもを産みたくない

私は子どもを産みたくない。理由はいくつかある。

まず、妊娠出産が怖すぎる。
知れば知るほど、考えれば考えるほど怖い。自分の中に、自分の意思とは全く別の動きをする別の生命体がいること。つわりをはじめとする10ヶ月の体調不良、それが軽く済むか、日常生活もままならないほど辛いかは完全に個人差で、妊娠するまでわからない。内臓は押し潰され、これまで通りの生活はできず、いつ緊急入院となるかもわからない危険と常に隣り合わせ。諸々の身体の変化で精神的にも負担がかかる。

産むのだって怖い。
会陰切開とその縫合?聞いただけで鳥肌が立つ。スイカ大のものが、自分の股から出てくるだけでも怖いのに自然分娩なんて絶対に無理だけど、無痛にしたところで出血多量で死にかけるリスクは常にあるし、丸1日以上出産に苦しめられるかもしれない。無事に産まれたとしても、産んだことによる後遺症はしばらく残る。帝王切開すれば、お腹に一生傷が残る。
それに産んだら終わりではなく、ホルモンバランスの変化等で完全に元に戻るまでは2年くらいかかるし、妊娠したことによる体型の変化は元には戻らない。産んだら産んだで、母乳を出すため胸が張って痛いとか、乳腺炎のリスクとか、身体への負荷が多すぎる。

まあ、そうは言っても多くの女性は妊娠して出産して無事に生きているので、「最初は怖かったけど意外と大丈夫なもんよ〜」と言うのかもしれない。けど、大丈夫か大丈夫じゃないかというよりは、ここまでのリスクと負荷をかけてまでしたいことは、私の人生において子育てではない。だったら他にもっとやりたいことがある。

子育てについても自信がない。そもそも私は子供が苦手である。
産後すぐの不安定な体調で、夜泣きがひどくてまとまった睡眠は毎日2時間、なんて生活私にはできない(1日8時間は寝ないともたないロングスリーパー気味なので)。ご飯を食べない子供に根気よくご飯を食べさせ続けたり、放り投げられる食事を片付けたり、服に吐かれたりして気が狂わない自信がない。2歳くらいのイヤイヤ期も、電車でギャン泣きしている子や、奇声をあげて走り回る子たちを見るたびに、これが毎日だと思うとげんなりする。そうやって子供の世話中心の生活をして、自分のキャリアもやりたいことも全て後回しにするか、体力を削ることで対処することを強いられる生活は、きっと私は耐えられない。

ただ、ある程度成長した子供と関わっていくこと自体は面白いんだろうなと思うし、そもそも私は子供には幸せであって欲しいと常に思っている。
それは私の子供時代に起因する。
家庭環境は悪くはなかったけれど、親と人間のタイプが違いすぎて、理解されないことが多くて疎外感を感じ続けていたこと、本当は弟なんて欲しくなかったのにいつのまにか「お姉ちゃん」のポジションを与えらたこと、母親が選んだ相手である父親の最悪な部分を、子供だから無視できないところ、親の機嫌で子供を怒鳴ったりしてしまうこと……。
私がしたような思いを子供にはして欲しくないと思う一方で、そもそも子供と接することが得意でない私が、心身の不調と不自由さを抱えながら広い心で子育てができるとは思えないし、半分親のエゴで作り出した「家族」という閉鎖的な関係性の中では、多かれ少なかれ子供は不満を持つものだろう。けれどそれが受け入れられる不満なのか、受け入れ難い不満なのかはもはや人としての相性もあるので、どんなにこちらが良かれと思ってもそれが子供にとっても良いことかはわからない。
なので子育てに関して言えば、「親と喧嘩して家出したときにあてにできるような、親以外の頼れる大人」というポジションでありたい。そしてそれは、私が10代の頃必要だった大人だからだ。

さて、問題は、私のこの考えを理解はすれど共有してくれない男性があまりにも多いことだ。
正直、産まない男性は、子どもに関しては自分が欲しいかどうかで相手の女性を選ぶなんてことはするべきではないと思っている。あくまで、一生一緒にいたい、という基準で女性を選ぶべきで、子供を産むか産まないかは女性側に任せてほしい。
男性にだって子供を欲しいと思う権利はある!というのは、そりゃそうだけれど、でも、欲しくたって産まない性なわけで、例え双方が子どもを希望するカップルであったとしても、妊娠出産の負荷を負うのは100%女性なのだ。

その間、男性はできる限りのサポートをすべきなのは当たり前として、でも、それはあくまで男性の良心に訴える話で、妻の妊娠中に浮気をする男性の話なんて腐るほどある。彼らの妊娠中の貢献とやらは、避けられない義務ではなく、あくまで良心に従うところなのだ。女性は義務なのに。

だから軽率に子供が欲しいなんて言わないで欲しいし、パートナーが子供を産みたくない、と言ったらそれは受け入れるべきだと私は思っている。

それなら子どもを欲しいと言っている女性と結婚する?
子供を持つという可能性をあくまで残したい、というならそういう選択になるのかもしれないが、欲しい同士であったって子供ができない/無事に産まれない可能性だって十分にあるし、途中で女性側が、仕事や他のやりたいことができて子供を産まなくてもいいかも、と思ったり、妊娠出産への恐怖が勝り、やっぱりやめたい、と思うことだってあるだろう。そうしたら、約束が違う!と言って離婚するの?産まないくせに?男性はいつも通りセックスして、何の身体的負荷もかからず、生活を変える必要すらないのに?
だから結局、子供の有無に関する意見の一致を最重要とすることに、あまり意味はないと思うのだ。

だけど悲しいことに、元彼も今の彼氏も「子供が欲しい」と言う。変わらないなら、今の彼氏とも別れるしか未来はないんだろうなとも思う。(ちなみにこの話は彼氏と何度も話していて結論が出ていないだけなので、知らずに付き合っているわけではないです。)
でも、私が私である理由は子供を産むことだけではないし、そうじゃない部分で私を好きになってくれたんじゃないの?子供を産みたくないといえば、これまでの時間を全てなしにして、本当に産まれるかもわからない子供と出会ってすらいない女のために、私は用なし扱いされてしまうの?あなたは産まないのに?

私は、産むことが怖い。女性だけがそのリスクを負わなければならないのなら、それ以外の方法で幸せを見つけたいだけ。
「そうだよね、君だけが死ぬかもしれない思いをするのに子供が欲しいなんて軽々しく言ってはいけないよね。僕は君と一緒にいられたら、それで十分だよ」と、言って欲しいだけなんだよ。
それってやっぱり、難しいことなのかな。

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