Shazamデータで藤井風さん「死ぬのがいいわ」検出を可視化してみる
先日Youtubeデータを使って、タイから火がついたとされる藤井風さん「死ぬのがいいわ」がどの国で聴かれているのかを推察する記事を書きました。
この時点でYoutubeコメントの外国語比率は39%、特に英語が最多だったので、もはやタイやアジアだけでなく広く英語圏で聴かれているのではないかと感じていました。
その12日後に、9月17日時点の最新データを使って外国語比率を出したところ、5割を超えて、かつ英語の伸びが顕著でした。
こうしたデータは、元々タイからのTikTok投稿から火がついたとされる同曲が、その地域性や単一SNS内での伝播を離れ、実に様々な地域で聴かれている可能性を示唆していました。
並行してTikTokでも引き続きバイラルが起きており、こちらの韓国出身のユーザーさんのアカウントが同曲をバイオリンで演奏している動画が、57万強のハートを獲得しています(2022年9月21日現在)。
またYoutubeコメント欄に寄せられている英語コメント全件のデータを取得して、自然言語解析〜共起ネットワーク分析を行ってみたところ、初めて藤井風さんの楽曲に触れた英語圏の方々が、不思議な魅力に取り憑かれている様子が見て取れます。
実際のところBillbordやSpotifyのグローバルチャートにもランクインしているので、特定の地域でバズっているという段階を過ぎ、同曲は国境を越えて広まっていると考えられます。
そこで楽曲検出アプリ「Shazam」のデータを分析して、この曲が世界のどの国で、どれくらい検出されているのかを視覚化してみました。
Shazamはカフェや商業施設などのノイズの多い場所でも、「この曲誰のなんていう曲だろう?」と気になれば、アプリを起動してスマホのマイクで拾わせることによって、音のわずかな断片から楽曲を特定できる優れた技術です。現在ではApple傘下のためiPhoneには標準装備されていますね。
このデータのおもしろいところは、送り手のメディアや企業の意図というよりも、「この曲が気になる」という、聞き手側の人間の好奇心が反映されているところにありますね。
さて結果を視覚化したものがこちらです。
なんと91ヶ国の検出TOP 200に出現しており、3ヶ国では一位となっています。
アジア以外にも、アメリカ大陸では北から南まで隅々までランクインしています。
地中海沿岸の欧州とアフリカ諸国でもランクイン。
50位までのランクインが確認できる国はには、タイやベトナムなどYoutubeコメント分析にも現れていた国がありますが、アジア圏でもカンボジアやブータン、モンゴルといった地域、サウジアラビアやクェートなどの中東の国々も確認できます。
Shazamの国別チャートは、通常プルダウンメニューにある国のものしか見られないのですが、
今回は、ISOによって発行されている国コード、全249エリア分を順番にAPIにリクエストして、ランキングの存在する国があればTOP 200を取得していくプログラムをPythonで組みました。
その結果、249エリアのリクエストに対して、239エリア分のチャートデータが帰ってきました。
つまりShazamには「プルダウンメニューには存在しないけど、データとしては保有している多数のエリアのチャートデータ」があるわけですね。
そしてその中の91エリアのチャートに藤井風さん「死ぬのがいいわ」がランクインしているわけです。
計算上、世界の38%のエリアで「気になる楽曲」になっていることになります。
言語も文化も異なるこうした国々で、「日本語の歌詞の意味はよくわからないけど、何か気になる!」と思われて、無数の人々の「Shazamで検出する」という能動的な行動を引き起こしているわけですから、凄いことです。
この現象は引き続き追いかけたいと思います!
以上、徒然研究室でした。
トップ画像はお絵かき人工知能Stable Diffusionで生成した画像に、当研究室作成のグラフを合成して作成したものです。