「洋楽離れ」をデータから検証する:日本だけじゃない? 変わる音楽の世界地図
皆さんは最近「洋楽」を聴いていますか…? ここ数年、音楽業界では「日本の洋楽離れ」が話題になっているようです。
確かに、日本のヒットチャートを席巻しているのはほとんどが日本の音楽かもしれません。一見すると日本独自の現象のようにも思えます。ただ、データから世界を見てみると、少しちがった風景が浮かび上がってきます。
実は「洋楽離れ」は、日本だけの現象ではないようです。世界中で、いわゆる「洋楽」のヒット曲、特にアメリカのポップミュージックヒット曲の直接的な影響力が徐々に変化してきているようです。その一方で、K-POPやラテン音楽、そして外国人が歌う日本語の楽曲など、新たな音楽の潮流が世界中のリスナーの心を掴み始めているのかもしれません。
今回は「洋楽離れ」の実態を、できるだけデータから探っていきたいと思います。
「洋楽離れ」はどこで起きているのか?
世界の音楽市場はどのように変化しているのか?
新たな音楽の発信地はどこに生まれているのか?
Spotifyのデータを中心に複数の手法で分析を進めながら、「これだ!」という結論というよりは、何かワクワクする胎動が見てくるとよいな…と思いつつトライしてみたいと思います。
世界の音楽市場の変容:Spotifyデータが語る文化の受容構造
当研究室では何度か、ストリーミングサービスのデータなどを使って世界の中での日本での音楽の聴かれ方について分析を試みてきました。
その結果見えてきたのは、日本は、他の国と似ていない独特なヒットチャートを形成している国の一つである、ということでした。その背景の一つには、「洋楽」がヒットチャートに入りにくくなっている現状もあるようです。
一方で同時にわかってきたのは、どうやら日本以外にも「他国のヒットチャートと似ていない国がある」ということです。例えば、中南米のスペイン語圏を中心とした、ラテン系の国々です。これらの国々をデータから眺めてみると、「その他の地域とはそれほど似ていないけど、互いには比較的よく似ている国々」 というような独立性の高いグループを形成しているように見えます。
こうした国々では、主にスペイン語で歌われるレゲエや、各国でローカライズされたラテン音楽がヒットチャートを賑わしているわけです。
つまり、仮に「洋楽」を「西洋音楽」と定義(デジタル大辞泉)したときに、日本だけでなく、ラテン諸国や、ボリウッド映画音楽がヒットチャートで強いインドなどでも、「洋楽」がチャート上位に入ることが難しい状況があるのではないか、という仮説が見えてきます。
例えば音楽を聴く手段として比較的ポピュラーと思われるYouTubeのデータを使って、2018年以降の世界各国YouTubeチャートにおける、テイラー・スイフトさんの楽曲のチャートイン状況を確認してみましょう。
冒頭で紹介した日経新聞さんの記事では、テイラー・スイフトさんが日本で20位以内に入れていないことを指摘していますが、YouTubeチャートのデータでは日本は真ん中くらいにあり、欧州や南米など、日本よりもスイフト楽曲のチャートインが難しい国は結構あるようです。
一見、いわゆるガラパゴスとも評される日本だけで進んでいるように思われる「洋楽離れ」ですが、世界に視野を広げてみるとどうなっているのでしょうか?
英語楽曲の優位性低下とグローバル音楽シーンの変化
2024年3月に米国テキサス州オースティンで行われた国際的なイベント「SXSW」(サウス・バイ・サウスウエスト)では、「英語楽曲の国際的な優位性の低下」が議題にあげられていました。日本から見ていると、音楽市場における英語楽曲の優位性は不動のように思えますが、近年ではその状況が変わってきているというのです。
例えば、SpotifyやTikTok、Netflixなどの多数のストリーミング配信事業者からデータを集積し、音楽再生やコンテンツ消費トレンドを分析しているLUMINATEのCEO ロブ・ジョナス氏によるプレゼンテーション「2024年のトップ・エンターテインメント・トレンド: ロブ・ジョナスと語るデータ」では、世界の上位10,000曲における英語楽曲のシェアが低下傾向にあるというデータが示されています。
LUMINATE社は複数のプラットフォームを横断してデータを収集しているとのことで、この英語楽曲の優位性の低下という現象は、特定のプラットフォームだけで起きているものではないようです。
当研究室でも、公開されている音楽データを使って、「洋楽離れ」の実態を探ってたいと思います。
まず前提として、各ストリーミングサービスの特徴を確認しておきましょう。次のチャートはChartmetricさんが、Spotify、Apple Music、YouTubeそれぞれで聴かれる、ある一日のグローバル上位50曲のアーティストの出身国の割合を分析したものです。
ご覧のように、Apple Musicのヒット曲は8割がアメリカ出身ということから、同サービスでアメリカの楽曲の人気が非常に高い、あるい同サービスのアメリカシェア自体がが高い様子がうかがえます。一方、Spotifyではアメリカ出身アーティストは6割、Youtubeでは2.5割となります。
これら3大プラットフォームの中では、Spotifyはほどほどにアメリカ出身アーティストが聴かれているといえそうです。
アメリカチャートではどんなジャンルが聴かれてる?
ではここで、「洋楽」を一旦「アメリカでヒットしている楽曲」というように考えてみましょう。そこではどんなジャンルの音楽が聴かれているのでしょうか?
Spotifyは国により利用率に大なり小なりのバラツキがあると思われますが、Top 100ではなくTop 200までの国別チャートデータを日次、週次で提供しており、ある程度広範な聴取楽曲を捕捉することが可能です。また個別楽曲データには「ジャンル」情報が付与されていて、公開データが非常に充実しています。
そこで今回は(大国中国、そして開戦に伴い撤退したロシアのデータがないことに留意しつつ)主にSpotifyのデータを使って分析を進めてみましょう。
まずは「国によって、チャートに登場する楽曲ジャンルはどう違うか?」を見てみましょう。各国Top 50の楽曲に付与されているジャンルデータを抽出し、ヒートマップとして5ヵ国を比較してみます。左から2列目が、ある週の「アメリカのTop 50」に現れた楽曲のジャンルです。
このうち、2曲以上の楽曲に紐づいているジャンルをピックアップすると次のようになります。
Pop: 幅広い人気を持つ音楽ジャンル。
POV: Indie: 独立系音楽で個人的なストーリーテリングを重視。
Rap: リズムとライムを重視した音楽形式。
Art Pop: 芸術的な要素を取り入れたポップ。
Classic Oklahoma Country: オクラホマ州発の伝統的なカントリー。
Indie Pop: 大手レーベルから独立したポップ。
Contemporary Country: 現代的なカントリー。
Candy Pop: キャッチーで軽快なポップ。
Hip Hop: ラップ、DJing、グラフィティなどの文化。
Melodic Rap: メロディアスなラップ。
Metropopolis: 都市的な要素を取り入れたポップ。
Singer-Songwriter Pop: シンガーソングライターによるポップ。
UK Pop: イギリス発のポップ。
ATL Hip Hop: アトランタ発のヒップホップ。
DFW Rap: ダラス・フォートワース発のラップ。
Trap: 南部発祥のヒップホップ。
耳慣れないジャンル名もありますが、K-POPもJ-POPはなく、メジャーやインディーのポップスや、カントリー、米国内のローカルなヒップホップが多いことが見てとれます。外国由来のジャンルは同じ英語圏の「UK Pop」くらいでしょうか。
また、そのイギリスのチャートと比較してみると、同じ英語圏でも「アメリカでしかTop 50にチャートインしていないジャンル」が結構あることがわかります。
下図でハイライトした14ジャンルがそれです。新旧のカントリーや、アメリカのローカルなヒップホップなどが該当します。
このあたりのジャンルが「アメリカという世界最大の音楽市場」における「内なる多様性」、あるいは、「アメリカのローカル音楽」ということなのかもしれません。
アメリカのTop 50に登場する全ジャンルをバブルチャートで視覚化すると、特にヒップホップ、ラップ、トラップ(チャート中のピンク色)が非常に細分化されながら一定の比率を占めている様子がうかがえます。
これを国境を接しているメキシコと比較してみましょう。
ご覧のように、メキシコチャートではカントリー(水色)は聴かれておらず、またヒップホップ・ラップ系も「トラップ・ラティーノ」他数ジャンルに留まります。音楽文化という視点からは、地理的に隣接していてもその実態はいくらか異なっていると言えそうです。
ちなみにアメリカは、1980年代から比べるとこの40年で人口が1億人くらい増えており、アメリカへの移民数および全米人口における移民人口比率も、ゴールドラッシュ以降の1800年代後半に匹敵する、過去最高水準の27%になっています。
移民人口だけで4600万人になっており、しかもその出身国は、欧州など同じ西洋がほとんどだった1800年代とまったく異なり、西洋以外の国々、つまりメキシコなどのラテンアメリカやインドなどのアジアなどが劇的に増えているわけですから、あらためて驚くばかりです。
こうした「アメリカの内側での急速な変化」、多くが英語を母国語としない人々の流入も、アメリカや世界の音楽文化に影響を与えているのかもしれません。
多様化する世界の音楽シーン:ラテン音楽とK-POPの台頭
さてそんなジャンルが人気となっている「アメリカのヒット曲」は、どれくらい世界の国々で共通して聴かれているのでしょうか。
「1年間のSpotifyアメリカチャートの登場する楽曲との共通曲数」の増減を、国別に算出し、バーチャートで視覚化してみました。下に伸びているほどこの3年間で「アメリカ離れ」が進んでいるということになります。
一番右で唯一上向きにわずかにバーが伸びているメキシコ以外、すべてアメリカとの共通曲が減少なので下向きに、つまり「アメリカ離れ」しているという様子が見えてきます。日本は左から6番目なので、比較的大きく「離れ」ているということになります。ただ、インドなど、もっと「アメリカ離れ」が進んでいる国もあります。
一年間で合算するだけでなく、週ごとの細かい推移のデータも見てみましょう。期間も2024年8月1日付けのWeeklyチャートまで延ばしてみます。アジアやヨーロッパといった地域別で色分けしてあります。線の太さはその国のTop 200の合計再生回数規模を示します。
ざっくり言えば、右上に見える北米+オセアニアという英語圏では近年増加の一方で、紫の南アメリカなどラテン圏や、ピンクのアジアで減少傾向が鮮明です。20年と23年の比較ではプラスだったメキシコも、24年に入って減少しています。
地域別の平均値で描画すると次のグラフのようになります。
オセアニア以外のすべての地域が長期的に減少傾向を示しています。アメリカを除く北アメリカも減少しています。また、特に線が太い=地域別の再生回数規模の大きなアジアの減少も、目をひきます。
音楽のグローカリゼーション:地域性と国際性の共生
こうしたデータを踏まえると、インターネットとスマホ、そしてストリーミングというテクノロジーとグローバル化で、世界が一つにつながった一方で、世界各国の人々が聴く音楽は、「アメリカのヒット曲」や「洋楽」から離れ、多様になってきているように見えます。
同じデータソースを使って、今度はアメリカチャートのデータも含めて「世界の各地域ごとのSpotifyの再生回数規模の推移」を視覚化してみましょう。
ご覧のように、2020年、2021年は、
ヨーロッパ > 北アメリカ > 南アメリカ > アジア
という順番が概ね固定していたのが、23年以降に順位の入れ替わりが激しくなっています。その中で、アジアの増加が顕著となっており、トップに立つ期間も出てきています。
文化面ではラテン音楽の存在感が強い南アメリカですが、Top 200の再生回数規模はそれほど伸びているわけではないようです。一方でアジアはこの数年間で4位から1位になる水準まで増加しています。Spotify利用率変化やインドの存在、メガヒット有無など色々変数があるでしょうが、興味深い動きです。
またヨーロッパとアジアの逆転については、ウクライナとの開戦に伴うSpotifyのロシア事業撤退や、アジアでのインドの成長など、各国の漸次的な成長以外にも大きな要素もあるかもしれませんね。
いずれにしましても、ある意味での「アメリカのヒット曲離れ」「洋楽離れ」が進む中で、K-POPに限らずアジアの「リスナー」が世界の音楽文化とビジネスに及ぼすインパクトが増している、という側面はありそうです。
アジアの台頭:世界の音楽ビジネスに与える影響
今度は、地理的なくくりではなく、ヒットチャートのデータから国同士をグルーピングしてみましょう。
用いるのはSpotifyの2023年の全52週分のチャートです。楽曲の出現頻度と順位情報を基に、各国チャートを機械学習(k-means)でクラスタリングし、二次元上に視覚化してみます。縦軸と横軸は、PCAを使って次元削減した要素を表し、似ている音楽傾向の国が近くにプロットされる、ということになります。各グループの名前は、多様な国があってなかなか一言で表現するのが難しいのですが、構成国の特徴を総合して当研究室がつけてみました。
まずわかるのは、世界の国々は、ざっくり「右半分のラテン世界」と「それ以外」に大別されるとうことです。
そしてそれぞれのグループの内側を見てみると、意外なる同じグループ、近い国々がありそうです。元々、日本のSpotifyチャートは非常に特異であることがわかっているわけですが、機械学習でグルーピングしてみると、日本はK-POPの受容(+J-POPの国外人気)を通じて、アジア多様性圏に属する、ということになるようです。
さらに日本はベラルーシやカザフスタンといった新興多文化経済圏に隣接します。さらにさらに 隣の地中海・欧亜文化圏にはウクライナがあり、これらはCreepy Nutsさん「Bling-Bang-Bang-Born」グローバルヒットの初期にSpotifyチャートで日本より先に上位を記録していた国々です。
同曲のJ-POPとしての記録的なグローバルヒットは、実はこうした「典型的な西洋諸国やラテン諸国ではなく、それらとは異なる仕方で音楽を受容したり選択したりしている、どちらかとえいば地理的近接性を越えて日本やアジアに近い一面をもつ国々」で初期に「発見」されたことが、重要な契機のひとつになっているのではないかと当研究室では感じています。
新たな音楽の極:K-POPとアジア発音楽の躍進
今度は「国」ではなく「アーティスト」の方を機械学習でグルーピングしてみましょう。
Spotify2023年の世界各国Top 200における上位30アーティストのチャートイン記録を機械学習し「再生回数の国別分布」の類似性から6つのグループにクラスタリングしてみました。各グループの名前は当研究室が名付けています。
なかなか一口で括れないクラスターもありますが、敢えて名付けると、世界には米国発のポップレジェンドと、中南米のラテンアーティスト、という2つの大きな極があり、その世界をK-POP他グローバルなフュージョンのクラスターが橋渡ししている...という構造でしょうか...?
右端のテイラー・スイフトさんと、左上のバッド・バニーさんが最も離れており、中間下方にジョングクさんやNewJeansさんらK-POPを含むクラスターが現れます。これは…おもしろい…!
マップは次元削減したものなので縦軸と横軸は単純に定義することは簡単ではないのですが、ざっくり言えば...
横軸:プラスほど欧州やオセアニアの成分が、 マイナスほど南米成分が強い
縦軸:プラスほど南米や中米の成分が、 マイナスほどアジア成分が強い
と解釈できるかもしれません。
こうした結果からは、アメリカやヨーロッパという西洋の「洋楽」世界と、スペイン語圏を中心とした「ラテン音楽」世界という二つの大きな極の中で、第三の極として「アジア」とそこから広がって聴かれるK-POPという、新しい地図が見えてきます。
元々ASEANの総人口はEUを上回りますが、経済成長が進むにつれて、その影響力はさらに大きくなるかもしれません。
なお上記のクラスタリングは国別のTop 200チャートにおける全アーティストの年間の合計再生回数を算出した上で上位30組を対象として行っていますが、上位50まで広げてもJ-POPアーティストはまだ出てきません。
バイラルした特定の曲だけでなく、アーティストのカタログ全体に対する認知や興味喚起が母国以外でも進めば、J-POPアーティストもここに入ってくるかもしれません。(あるいは仮にSpotifyが中国でも利用できていれば、また順位は異なるのかもしれません。)
言語の壁を超えて:グローバルヒットの新しい形
最後に、次なる仮説に向けて当研究室が想起したのが、6月下旬にリリースされグローバルヒットしている、日本のラッパー千葉雄喜さんとミーガン・ザ・スタリオンさんが日本語を含めて歌唱する「Mamushi feat. Yuki Chiba」です。
当研究室で、同曲がリリース直後にどこで多く聴かれていたかをSpotifyデータから分析したところ、ミーガン・ザ・スタリオンさんの従来の楽曲データと比べて「非英語圏」で先行してチャートインしていることが確認できました。
また、Top 200にチャートインしていない国での視聴回数も把握できるYouTube Chartsのデータも分析してみると、同曲のリリースの影響で、ミーガン・ザ・スタリオンさんの楽曲の合計視聴回数が過去最高を更新しており、かつ米国以外で視聴回数の多い国が多様になっている様子が見てとれます。
この、彼女のキャリアの中でもある意味で記録的と思われるグローバルヒットの裏側には、楽曲の良さに加えて、二人が英語だけでなく日本語を使って歌っている、ということがあるように思えます。
「ヒット曲」と「文化的雑食性」
グローバル化が進む中で、地域ごとに異なる嗜好が顕著になりつつある現象は、「グローカリゼーション」の一部として説明されます。音楽がグローバルに広がる一方で、各地域の文化や嗜好に合わせてローカライズされ、独自の進化を遂げることが多くなっているというわけです。ラテン音楽の確固とした人気や、K-POPの躍進も、まさにこの現象の一環であり、地域ごとの多様な音楽文化が混在する現代の音楽シーンを反映しているようです。
また、世界中で「アメリカのヒット曲離れ」は進んでいても、日本や世界で「アメリカの曲離れ」や「イギリスの曲離れ」が起きているとは限りません。
音楽がレコードやCDといったフィジカルな媒体から自由になっている現代において、YouTubeやサブスクリプションで、興味を持った曲をすぐに1曲からでも聴くことができます。
アメリカのヒットチャートにランクインしていない曲でも、チャート圏外でじわじわと聴かれている曲がアーティストが存在していても不思議ではありません。
例えば日本のバンド、Lampさんは、アメリカのSpotifyチャートには登場していませんが、YouTubeデータ見ると、アメリカからのリスナーが日本と比べ物にならないくらい多くなっていることがわかります。
https://www.youtube.com/watch?v=j2tZQ75uB0U
これと同様に「日本のチャートには登場しないけど、じわじわと聴かれているアメリカのアーティスト」はいるでしょうし、サブスクリプションやSNS、PatreonやWeverseのような、表現者とファンが直接つながるサービスで、遠い国から聴いてくれているリスナーとエンゲージすることも不可能ではなくなってきています。
こうした情報環境の出現が、世界各地の人々の「文化的雑食性(オムニボア)」を高めていることに寄与しているのではないか …という仮説については、データ分析とともにこちらのnoteにまとめています。
次なる仮説…「洋楽離れ」の先にある、多様化する音楽の世界
今回の分析から見えてきたのは、一見「洋楽離れ」と呼ばれる現象の裏側にある、音楽のグローバル化と多様化の実態です。
「洋楽離れ」は日本だけの現象ではない:データが示すように、世界中で「アメリカのヒット曲離れ」が進行しているようである
新たな音楽の極の形成:従来の西洋音楽とラテン音楽に加え、K-POPを先鋒としたアジア発の音楽が第三の極として台頭しているようである
グローカリゼーションの進行:音楽のグローバル化が進む一方で、各地域の文化や嗜好に合わせたローカライズが進み、多様な音楽文化が共存している
アジアリスナーの影響力増大:Spotifyの再生回数データから、アジアが世界の音楽文化とビジネスに影響を与える可能性が見える
言語の壁を超えた新しい音楽の形:「Mamushi」のような楽曲の、異なる文化や言語の融合が、新たな音楽の可能性を見せてくれている
「洋楽離れ」として取り上げられる現象は、日本国内に限った現象ではなく、世界的に広がる音楽シーンの変化の一部のようです。英語楽曲の優位性が低下する一方で、K-POPやラテン音楽が世界中で支持を集め、多様化する音楽市場と文化を牽引しています。これからのポップミュージックの文化の中では、地域ごとの特性を保持されながらも、グローバルな潮流の中で新たなスタイルが生まれていくのかもしれません。
日本にいる私たちも「上位ヒットチャート」の中では自国の音楽文化を存分に楽しんでいますが、同時に、グローバルな変化の潮流の中で、海の向こうのより多様な音楽に出会える可能性を手にしている面もありそうです。
今回は公開されているデータが最も充実しているSpotifyのチャートを中心に分析しましたが、YouTubeや、それらのプラットフォームの外側にある大国・中国についての分析も機会をみてトライしてみたいと思います。
以上、徒然研究室(仮称)でした。Xでもオープンなデータとプログラミングで関心あることを分析してポストしています。Xではオールナイトニッポンの発言量の可視化・比較などもポストしています。どうぞご贔屓に🙏
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