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開き直りは時にすごく大事なことだと思います。【#24】
脳神経外科外来には様々な方が通院します。手術を受けて間もない方や、逆に10年以上経過している方もいます。自分の責任ではない病気なのに自分が悪いと思ってしまう方がいます。ある程度時間が経つと自分の責任ではないと気付きます。脳神経外科の外来には、開き直り(受容)の程度を考える時間があります。
もやもや病という疾患があります。脳の血管が徐々に細くなります。逆に細い血管が拡張してもやもやとして見えるためこのように命名されました。脳梗塞や脳出血をおこします。この疾患は日本を含むアジアに多く日本では1万5000人以上います。はっきりした原因はわかっていませんが「RNF213」という遺伝子の変異が関与していることが言われています。ランドルフ兄さんって覚えます。
セナさんというもやもや病で手術をした方がいます。もやもや病は遺伝だということ、子供も手術が必要となったこと、などから自分を責めていました時期があったようです。しかしセナさんも子供も無事手術が終わり、遺伝なら仕方ないじゃないか、という考え方に変わることができたようです(受容)。すっかり明るくなりました。かわいらしい5人の子供がおり、下の3人がよく外来についてきます。今日はそのうちの2人が一緒に外来にやってきました。外来診察室での会話です。
話を聞くと「手の力が突然抜ける」などの虚血症状は消失したようです。しかし外来で測定した血圧が高いです。
わたし「血圧高めだし、血圧手帳渡すから、書いて次回持ってきてね。」
セナさん「先生、前の診察時に血圧手帳もらいましたよ(笑)。大丈夫ですか?」
わたし「あ、そうですね、すいません。前回渡しましたね。では血圧手帳みせてください。」
セナさん「あ………書いてないです。」
わたし「え?、時々は測ってますか?」
セナさんJr①「測ってないよねーー、でも最近けつあつけい新しいの買ったよねー。」
わたし(そうか、最近買ったんだ・・・・。前進はしている!!!)
セナさん「ほんともう、うるさい!!すいません。時々測ろうとはしています。」
わたし「(測ろうとはしているってどういう状態だ??)そうですか、血圧手帳記入して次回持ってきてほしいです。」
セナさん「はーい。で、先生ちょっと質問なんですけどいいですか?」
わたし「なんですか?」
セナさん「血圧高いのも遺伝でいいですよね?」
私「ダメですよ。入院中全く血圧高くなかったじゃないですか。遺伝か環境要因かはわかりません。でも環境要因も強いはずです。なんでも遺伝にしてはだめです。とりあえず血圧手帳つけてきてください。」
セナさん「あーぁ、えーーーー。わかりました」
セナさんJr②「つけようねぇ。」
セナさん「ほんともう、うるさい!!」
(Jrよ偉いぞ、救世主になれるぞ、頑張れ!!!)
開き直り(受容)は価値観の大幅な切り替えだと思っています。多くの気づきを与えてくれるし前進する勇気をくれる大事なことだと思います。わたしも開き直りでnoteに時間を費やしている部分があります。
ただ、開き直りの程度は重要だと思います。なんでもかんでも開き直りの中にぶち込めばいいってもんではない気はします。
最近なぜかお勧めに上がった筋トレ系の動画で「2択だ、やるか、やりまくるか!?」っていってて、コーヒー吹いたのいま思い出しました。血圧測定はやりまくらなくていいから、やってほしいです。
(補)
他の疾患が二次的に高血圧を引き起こすということは時々あります。もやもや病の場合は脳だけでなく他の血管も異常があることもあります。腎動脈狭窄があり、そこから高血圧をおこすことも稀ですがあります。高血圧は動脈壁を傷つけ動脈硬化を進行させますし、出血リスクも上がります。一緒に気を付けましょう!!
もやもや病が正式な病名となったのは2003年、遺伝子の関与が報告されたのが2011年です。着実に進展していっています。今後もどんどん有効な治療法が確立されていく未来を願っています。
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