薬を変えないってところは信頼しとる!ってダメじゃないですか。【#3】
病院には様々な人が訪れます。脳神経外科の外来にも様々な方が通院してきます。病状が落ち着いて、かかりつけの病院に通院している方がいます。
こちらを前向きにするかの如く、笑いを取ってくる方もいます。
脳神経外科外来には、頑固さの裏の信頼があります。
ナカさん。どこかの電気屋さんの元社長さんです。
突然の左不全片麻痺で病院を受診しました。MRIをとると右の大脳半球の分水嶺にパラパラと脳梗塞を認めました。即入院となり、脳梗塞が悪化しないための点滴などを開始しました。それと同時に脳梗塞の原因を調べました。頸動脈が狭窄しており、そこから血栓が飛んでいったと考えられました。
脳梗塞からある程度時間が経ってから頸動脈にステントを入れて広げる手術を行いました。
入院中は、株主総会に出たくて、早く帰りたがっていました。
ギリギリ間に合ってすごく喜んでいたのが印象に残っています。
ナカさんは反対側の左側の頸動脈も細いです。
左側の頸動脈が細くなっていないか、またステントで広げた右の頸動脈が再度狭窄しないか、定期的な画像の検査が必要です。
頸動脈エコーの画像検査の結果説明に来院されたナカさん。
お偉いさんなのにいつも笑顔で毒をはきます。
今日も外来で毒をはきます。
外来での血圧が160台と高かったときのことです。
わたし「血圧下げないといけないよ、かかりつけの先生と相談してね。」
ナカさん「あいつはもう歳やから、調節とか新しい薬とかわかっとらん、ぼけとる。」
と笑顔で自信満々にいうのです。
わたし「・・・・・・・・・・・そんなことないと思うよ」
ナカさん「絶対わかっとらんわ、はっは」
なのに結局は
ナカさん「あいつのところでいいか、まぁ相談してみるわ。」
とのこと。
かかりつけ医を変えるとかこちらの病院で調整するとかの言葉は全く出てきません。
わたし「なんだかんだかかりつけの先生を信頼しているんですね?」
ナカさん「なん、薬を変えないってところは信頼しとる!」
ってだめじゃないですか!!!!!!!
・内服薬の変更を嫌う患者さんは多いです。ただ年月とともに体重も変化しますし、血管/脳含め様々な部分も老いていきます。
・内服薬が、今の自分にあっているのかなと時々考えるのも大事ですね。
・よくそんなこと笑顔で言えるなって、外来で笑わせてもらいました。
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