シンザン記念2022ふりかえり

レース回顧

タイム:1:34.1
レースラップ:12.6 - 11.1 - 11.5 - 11.8 - 12.0 - 11.9 - 11.5 - 11.7
※前半47.0-47.1

入りは速く、コーナーで緩んでから直線で再加速し、最後まで落とし切らず踏ん張りを要求されたレースでした。前後半フラットで47秒のバランスなのでけっこうタフな内容で、体力面が全面に強調されたレースだったかなと思います。やや内が立ち回りの器用さを求められましたが特にポジションでの有利不利は感じなかったので、現時点での力量は割と忠実に反映されていたように思います。

◆各馬寸評

1着:マテンロウオリオン&横山典弘
コーナー通過順:3-4-3 上がり3F:34.9秒

五分のゲートから促しつつ、3番手のインを確保。動けるスペースは取りつつインベタで回るも前がコーナーで減速しやや窮屈に。それでも直線へ入り前の馬がヨレた瞬間に鋭く反応し先頭に立つと、後ろから伸びてきたソリタリオの差し込みをどうにかクビ差でしのいで1着。

ノリ騎手が鮮やかに乗ってくれました。馬が前向きすぎてギリギリの位置があそこだったとのことですが、絶妙にバランスを取ってくれるなと感心しきりでした。内のビーアストニッシド&岩田騎手が消極的な運び方だったのはやや幸運でしたが、それを活かしてラストまで無駄なく回って勝ち切らせてきました。

馬もタフなマイル戦の中で体力性能と反応の良さを見せてきました。皐月賞はちょっと体力的にキツそうですが、そこを一桁順位くらいでまとめてこれればNHKマイルカップでも面白そうだと思います。将来的には1400ベストの馬になるかなと漠然とイメージしています。

2着:ソリタリオ&クリスチャン・デムーロ
コーナー通過順:7-6-6 上がり3F:34.7秒

発馬はやや遅れ気味、押して押してリカバーし中団中目に位置。動けるスペースは十分で、3角から促していき4角で早め進出のクリスチャンスタイルで直線へ。坂をものともせずぐいぐい伸び先頭へ迫るも、ラストの伸びでクビ差まで追い込んだところで入線、2着惜敗。

クリスチャン騎手の真骨頂、4角で先団の外目から被せていくような仕掛けが見られました。あの型をコンスタントに出せて、かつ最後まで力強く伸ばしてこれるのはさすが欧州のトップジョッキーですね。京都金杯でおいおいと思って今回は買いませんでしたが、きっちり修正してきました。お見逸れですね。

馬はあそこまで伸びるかっていうくらい変わってました。クリスチャン効果なのか、この1か月で良化したのか。とにかくよくなってました。このレースでは体力・脚力とも非凡なものを見せてくれたと思っています。続戦でスプリングステークスあたりに来ると面白そうですが、そこからクラシックまでと考えるとコンディションの作り方が鍵になりそうです。

3着:レッドベルアーム&川田将雅
コーナー通過順:8-9-9 上がり3F:34.7秒

ゲートはスッと出て、馬のリズムで後方の真ん中。3角でも動かさず4角の後半から本仕掛け。進路はオープンで前を追うも、最速地点では差は詰まらず。それでも最後の最後で前と差を詰め、首の上げ下げを制し僅差ながら3着奪取。

最後の最後で3着をもぎ取っていきました。馬のリズム重視でためてためて末脚に託してどこまで、という競馬でこの位置。ハーツクライ産駒らしく最後に体力で差し込んできて、コンディションはわかりませんが現時点でのパフォーマンスを出してきてくれたと思います。

裏を返せば、ここからトップレベルに肉薄しようと思えばさらに成長が必要かなというところ。より上のクラスで買う要素があるかといわれると微妙なところで、地道に自己条件から積み上げていくのが正攻法かなと思います。

4着:ビーアストニッシド&岩田康誠
コーナー通過順:5-7-6 上がり3F:34.9秒

最内から押していき逃げ馬の後ろを取るかと思いきや、躊躇している間にマテンロウオリオン&横山典弘にカットインされて、手綱を引っ張り通しのジェットスキー状態。少し落ち着いたかと思いきやコーナーに入るとまた立ち上がり、3角半ばから仕掛けの構え。オリオンの後ろを取って最内を抜け追うも上位2騎に脚色で見劣り、粘りに粘るも後方から差してきたレッドベルアーム&川田にハナ差差され、4着惜敗。

何から何まで不可解な騎乗でした。出して行って中途半端なポジションで控えようとして思いっきり引っ掛かり、レースの半分近く抑えが利かず。結果終いの脚がかったるくなりハナ差で差しこみを許すという、以前の岩田(父)騎手であれば到底考えられない騎乗です。本命で買っていたからここまで言うのももちろんあります。ただそれはそれとして、ラストのアクションでおそらく首の上げ下げを調節して前に出そうとしていたのでしょうが、パッと見色々言われても仕方ない不自然さを帯びていました。何回か繰り返して見たのでおそらくミスだとは思いますが。(※1/11 8:58訂正 パトロールビデオを再度見ました。直線で内に差さる素振りを見せていて、それを馬場の真ん中の方へ誘導しながら再度全力で追ったところまた内に寄れてしまい、それを修正しようとして追いづらくなっていたように見えました。訂正してお詫びいたします。)

それでも4着には残っているのである程度馬の能力は見せてくれたと思いますし、マイル路線であれば見直しの余地はあるでしょう。アーリントンカップかNZTであれば検討です。できれば乗り替わってほしいところですが。

7着:ラスール&クリストフ・ルメール
コーナー通過順:8-7-6 上がり3F:35.2秒

ゲートでタイミングが合わず出遅れ。リカバーに出るも二の脚がつかず、さらに引っ掛かる悪循環に。3角からは行かせる構えで、内を回って直線へ入るも大渋滞。外に切り替えてムチが飛ぶと一瞬伸びるも前は遠く、さらに後方からの差し込みも許してしまい7着完敗。

出足が覚束ないタイプは中京だとやはり危険です。おまけに今回はコントロールにも苦慮する様子で、これだと難しかったですね。ルメール騎手も直線で外の馬に寄せられたこともあってか、クリティカルなロスをしてしまったかなという印象です。

個人的には新馬のパフォーマンスも微妙であるように思えたので次戦で変わり身を見せてこないと、トップレベルでどうこうという感じには思えません。またスタートに大きな課題があるので、なかなか信頼はしづらいようなタイプでもありますね。

◆あとがき

中京のマイル戦でのパフォーマンスを、どうほかの競馬場でレースをしたときに反映するかは非常に難しいです。動きたいときに動ける器用さのようなものは少なからず求められると思うので、どちらかというと阪神よりは中山のほうが親和性は高そうなイメージです。次回以降に活かしていければと思います。

ご覧いただきありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?