京成杯2022ふりかえり

◆レース回顧

タイム:2.01.3
レースラップ:12.5 - 10.6 - 12.6 - 12.2 - 13.0 - 12.5 - 12.4 - 12.0 - 11.4 - 12.1
※前半60.9-後半60.4

レース全体が重い展開で、4コーナーでスムーズに運べた馬が1・2着に入ってきたなという印象です。時計のかかる芝のコンディションで削がれない体力と、やはり中山ですから坂をねじふせていくパワーが求められたように感じました。インが渋滞していた分、内で構えていた馬は軒並み不利を受けたように見受けられます。

◆各馬寸評

1着:オニャンコポン&菅原明良
コーナー通過順:6-6-10-10 上がり3F:34.7秒

好発から前を窺い、行きたいところを行かせて自身は好位の外。じっくり構えてロジハービン&戸崎の捲りにもすぐには反応せず、残り600mでロジの後ろを意識。残り400で本仕掛け、ギリギリまで我慢しコーナー出口でスイッチオン。抜け出したロジを目標に猛然とチャージし、坂で捕らえると一気に抜け出し、完勝で重賞初制覇。

お父さんのエイシンフラッシュが急激なギアチェンジを得意としていたのと同様に、本馬もゆるい地点からトップギアへのスムーズさを問われたときに本領を発揮するタイプのようです。馬場が速くてもタフでもそれを繰り出してこれるのは長所ですね。道中もロスなく運べたので末脚は十分に溜められていたようにも思えましたし、いい競馬だったと思います。菅原騎手のレース運びも見事でしたね。出足からのポジショニング、大味にならない3~4コーナーでの進出と捌き、そして力強いフィニッシュと素晴らしい仕事でした。

ここは快勝でしたが、内の馬が出し切れていなかったことや純然たるタフさを求められたホープフルステークスで完敗だったことを踏まえるとトップレベルとは少し差があるかなと思います。馬場コンディションを意識して全体のペースが遅くなりがちなレースや、確たる逃げ馬がおらず仕掛けの意識が甘くなるようなレースだと活躍の場がありそうに思います。

2着:ロジハービン&戸崎圭太
コーナー通過順:13-13-6-5 上がり3F:35.0秒

出足は今一つ、後方から溜める意図も馬が元気いっぱいでコントロールに苦慮。2コーナーを過ぎても抑えきれる様子はなく、半分を過ぎたところで捲りの手に出て進出開始。コーナーに入り外々を回されるロスを被りつつ、一呼吸おいて4角で再度加速。捲り切り出口で前を射程圏に捉え、一気に先頭に躍り出るも背後からオニャンコポン&菅原が来襲。これを凌ぐ余力はなく、差し切りを食らって2着惜敗。

馬が溌溂としすぎて、さらに外枠だと取れる選択肢が少なかったですね。それだけにラップが緩いうちにレースをクラッシュに出た鞍上の判断は上策だったと思います。それに応えて、馬もロスの多い競馬にもかかわらず最後まで止まらないで連対まで来ているので、かなり強い競馬だったなという印象です。

まだ底は見せていない印象なので、このレースに出走した中では面白い存在かなと思っています。賞金的にはやや心もとないでしょうから、少し空けてトライアル戦で見てみたいです。あの前向きさを見るとスプリングステークスのほうが走りやすいだろうとは思います。

3着:ヴェローナシチー&団野大成
コーナー通過順:13-13-11-10 上がり3F:35.0秒

出足は良くなく、二の脚もつかなかったので後方のインを選択。ただ馬群の中で窮屈そうな様子を見せスムーズとは言えない運びになり、ロジハービン&戸崎の捲りに乗じて動かしていく方向にシフト。コーナーで前も空いた中で内を選択するも、裏目に出て馬群の中で窒息状態。さらに内にこだわるも進路が空かず、アライバル&ルメールの外へのシフトに乗っかる形で外へ。空いた進路でフルスロットル、アライバルはパスしてロジに迫るも一歩及ばず3着。

決してスムーズに運べたわけではない中で、脚力も体力も水準以上のものを見せてきたと思います。スローペース・馬群で苦しむ姿を見ると上のレベルでペースが上がった方が楽に競馬ができるのではないかという印象も持ちました。それだけに進路選択で手間取って2着を取り切れなかったのは今後に響きそうです。たしかに人気馬が前にいた状況なので内を選択するのもわかるのですが、4角での選択で馬を助けてあげられなかったのは痛恨でした。

まずは2勝目が至上命題で、そこからだと思いますがまだ適性については測りかねるところ。次のレースの走りで色々見えてきそうではあります。

4着:アライバル&クリストフ・ルメール
コーナー通過順:7-6-6-8 上がり3F:35.2秒

発馬でごちゃつくも、押して行って中団のポジションから。淡々と運びつつ、ロジハービン&戸崎の進出に合わせて仕掛けはじめるも4角のインに馬が殺到し前が壁。ヴェールランスの後退で空いたスペースを素早く拾って立て直すも、同じところを抜けてきたヴェローナシチーに脚色で見劣り、差し切りを許す形で4着敗退。

新潟2歳ステークスを見る限りは要所での鋭さに特長のあるタイプではないので、展開に泣いた部分は少なからずあったかなと思います。コーナーの多いコースはあまり得手とは言えなさそうです。ルメール騎手はマークを受けたときにやや後手を踏む場面がありましたが、それを最小限のダメージで食い止めるリカバーはさすがの一言。やれることはやってくれたかなという印象でした。

上でも書きましたが、直線の長いコースのほうが実力は発揮できるだろうなと思います。3月までなら毎日杯が合いそうで、その内容次第ですが個人的にはダービーでも距離は持つような気がします。

5着:テンダンス&和田竜二
コーナー通過順:9-9-6-8 上がり3F:35.5秒

発馬は良好、促していくも内を取れず序盤は中団の位置に。向こう正面で内を意識し、ロジの捲りに合わせて3コーナーからじわじわ進出。インで我慢し4角で狭いスペースへ潜り込み直線。追いづらそうにしながらも馬一頭分の間を通し前へ出るも坂で脚が止まり、ヴェローナシチーとアライバルの差し込みには対抗できず5着完敗。

最後の止まり方がすごかったのでなんでだろうと考えたのですが、シンプルに距離が長いかもしれません。東スポ杯でもラストはジリっぽくなってしまっていたので、そんな気がします。鞍上はテン・ナカ・シマイともにスキなく乗ってくれていたと思うので、現状中距離路線では足りていないのだろうと思います。

そういうわけで、2勝目は早めに挙げてもらうとしてそのあとはマイル路線で見てみたいです。アーリントンカップでもNZTでも、そちらにシフトするならまた買ってみたいと思います。

6着:ホウオウプレミア&岩田康誠
コーナー通過順:10-9-14-14 上がり3F:35.2秒

ゲートはスッと出て前目を窺うも、やや急いている馬を引っ張りつつの道中。外を回りつつロジの捲りには付き合わず位置取りを下げ、遅れてスパートを開始。ただ目立った伸びは見られず、大勢決したころに差し込んできて6着完敗。

もともとあまり見込んでいなかったので特に驚きはなかったという感じです。直線は長いほうがいいと思いますが、現時点で上でどうこうということはないと思います。

14着:ヴェールランス&藤岡佑介
コーナー通過順:5-5-6-5 上がり3F:36.5秒

好発から前につけて好位の中ほど。そのままのポジションを維持し、ロジの捲りに合わせて自身の外を回らせ、自身は外目からの正攻法で進出開始。ただ手応えは明らかにロジのほうが上で、4角出口ではすでに脚色が怪しい感じ。その後も全く伸びず、まさかの14着大敗。

いくら何でも負けすぎだよなと思っていたのですが、輸送でだいぶ体を減らしてしまったそうでした。その状況でタフなグラウンドコンディションの中、好位から外目を回して勝負の正攻法だと体力がもたなかったなという印象です。騎手ももう少しセコく乗ってもいいかなとも思いましたが、3番人気である程度自信も持っていたでしょうからその乗り方で不正解ということではないと思います。

まずは2勝目ですが、一度体調含め態勢を整えてからでしょう。時計も持っていて非凡さは感じるので、きっちり立て直せれば世代重賞での好走は十分期待できると思います。

◆あとがき

若駒のレースは難しいですね。はじめてのことも多いので些細なことで走りに影響してしまうことも少なくないです。そこは自分では制御できないところなので、自分で把握できる範囲のことを落とさないようにきちんと調べて、あとから見て恥ずかしくないような見解を作っていきたいと思います。

ご覧いただきありがとうございました。

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