『ハムレットマシーン』観劇にあたっての覚え書き
※観劇にあたり、『ハムレットマシーン』及び作中に引用されている『ハムレット』『罪と罰』・『マクベス』の簡単な解説と今回の上演設定をまとめております。必読のものではございません、観劇前後のお好きなタイミングでお読みいただき作品理解に役立てて頂けると幸いです。
●『ハムレット』あらすじ
デンマークの王子ハムレットは、父であった王が急死し、母ガートルードが王弟クローディアスと再婚したことに苦悩する。 そこへ父王の亡霊が現れ、自分はクローディアスに殺されたことを明かす。ハムレットは父を殺し王位に就いた現王への復讐を決意し、狂気を装う。
宰相ポローニアスはその狂気を自分の娘オフィーリアへの恋心が原因だと考え、オ フィーリアに探りを入れさせるがハムレットは彼女を無碍に扱い、傷つける。 今度は王妃に探りを入れさせようとハムレットと王妃との会話を盗み聞きしていたが、ハムレットにクローディアスだと勘違いされ殺される。
ハムレットに無碍に扱われたこと、父親が殺されたことでオフィーリアは発狂し、最後には溺死してしまう。
ポローニアスの息子・オフィーリアの兄であるレアティーズは怒り、仇を討つため クローディアスと共謀して剣術の試合中にハムレットを毒殺しようと試みる。 しかし試合の最中にガートルードが毒入りの酒を飲んで死に、ハムレットもレアティーズも毒を塗った剣で共に傷を負う。 レアティーズから暗殺の計画を聞かされたハムレットは毒酒を王に飲ませることで ついに復讐を果たすが、事の顛末を語り継ぐよう親友ホレーシオに託したのち自身も息絶える。 レアティーズから暗殺の計画を聞かされたハムレットは毒酒を王に飲ませることで ついに復讐を果たすが、事の顛末を語り継ぐよう親友ホレーシオに託したのち自身も息絶える。
●『ハムレットマシーン』解説
『ハムレットマシーン』はドイツの劇作家ハイナー・ミュラー(1929-1995)が冷戦下における東欧西欧の分断を背景に、シェイクスピアの『ハムレット』の翻案作業の中で生み出した戯曲である。
『ハムレットマシーン』は五つの景で構成されている。まず第一景「家族のアルバム」では、「わたしはハムレットだった」と自称する人物のモノローグが展開され、このハムレットだった人物はまるでシェイクスピアの『ハムレット』を自嘲的に振り返るような視点でひたすらに語っていく。続いて第二景「女のヨーロッパ」はオフィーリアによるモノローグで、彼女は「自殺をやめた」ことを語り、これまでの自分と決別するような言葉を放つ。第三景「スケルツォ」ではハムレットやオフィーリア、クローディアスといったシェイクスピアの『ハムレット』に登場する人物たちが一堂に会す。その中でハムレットは「女になりたい」と言い、それに対して他の人物たちは嘲笑する。第四景「ブダのペスト グリーンランドをめぐる闘い」では、セリフの主体がハムレットからハムレットの演技者に変化し、徐々に物語の背景は『ハムレット』という虚構から分断が実際にあった現実(冷戦下のヨーロッパ)へと視点が移っていく。最後の第五景「激しく待ち焦がれながら/恐ろしい甲冑を身にまとって/数千年世紀」は、第二景のようにオフィーリアのモノローグによって展開されるが、彼女はギリシア悲劇に登場する復讐の女エレクトラの名をかたり、世界(物語)を終わらせることを宣言する。
●引用元解説① 『罪と罰』
ドストエフスキーの小説。大学から除籍され貧乏な暮らしをしていたラスコーリニコフは、自分は選ばれた非凡人であるが故に、世のためなら非道徳な行いも許されると考え、金貸しの老婆アリョーナを殺し、手に入れた金を社会の役に立てようと画策する。殺人の途中で彼は彼女の義理の妹まで殺してしまい、罪の意識に苛まれることになる。
●引用元解説② 『マクベス』
シェイクスピアの四大悲劇の一つ。将軍マクベスは三人の魔女から「いずれ王になる」と予言をうける。マクベス夫人の教唆もあり、王を暗殺して自ら王位に就くことを実行に移す。無事に成功するが、彼は王位を維持する強迫観念から人を殺し続ける。
●今回の上演について
今回の上演では、舞台上にいる役者全員に男性「ハムレット」を、それ以外の要素-舞台美術、音響、映像、照明といった空間-に女性「オフィーリア」という役割を託す試みを行なっています。二項対立にあるもの同士を異なるやり方で存在させることで、この『ハムレットマシーン』は何処へ辿り着くのか。お楽しみいただければ幸いです。
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