土に還るということ
私の母は納骨堂に眠っている
でも敢えて墓参りと呟いた
正確には納骨堂だ
何処が違うのか?って思うだろうけど
墓とはやはり違う気がする
だってお骨はまだこの納骨堂の中にあるのだ
死後30年も経ったのに
私は夫が亡くなって初めて四十九日後に納骨をした
ゲリラ豪雨の中
世界で1番愛する人を
土に還したのだ
大切な人を白い袋に押し込んで
ポイっと墓の下の土の中へ
骨の夫は大泣きをした
突然のゲリラ豪雨は間違いなく夫の叫び声だった
私の手で愛する人を
納骨を終えると嘘のように雨はあがり青い空が広がっていった
骨は土に還り魂は空に上ったのだと思った
人には色々な埋葬がある
どのやり方が正しいのかは人それぞれだ
だが、私は母のように納骨堂で静かに眠るよりは
自分の肉体は土に還したい
朽ち果てた夫の白い布袋の横で
50年経ち、100年経ち
私たちはただの土になる
天からの雨と交じり合い、新しい養分として
様々な植物たちの一部となろう