登山歴10年になりました
先日友人に誘われて尾瀬に行ってきました。
尾瀬は本州最大の湿原があり、
多くの高山植物がみられる国立公園です。
燧ケ岳や至仏山など周囲の山々に登ることもできますが、
湿原に張り巡らされた木道を使えば、
気軽にハイクを楽しむことができるので、普段登山をしない方も多いかもしれません。
そして私にとって初めて登山装備を整えて歩いたのがちょうど10年前の尾瀬でした。
それが私の登山との最初の出会いでした。
初めて登山靴を履いて、
日常生活では絶対に使わない110リットルの大きなザックに15kgほどの荷物を詰め、
普段は絶対使わない4列シートの夜行バスで登山口へと向かいます。
そして標高1190mの大清水登山口から標高1762mの三平峠を越えて尾瀬沼に至ります。
もう少し楽に尾瀬に至る入山口もありますが、
この「標高差572m」が登山デビューにはちょうど良い。
そして登山道も木道が多くて歩きやすく、
テント泊も経験でき、風景ももちろん良い。
そんな登山デビューにもってこいの場所であるため、私の所属していた部活の最初の登山は毎年尾瀬が定番だったのでした。
そんな私の登山デビューからちょうど10年、
偶然にもその行先がそんな懐かしの尾瀬になりました。
10年前を振り返ってみると
人が入れるんじゃないか、という巨大なザック、
ただ歩いているだけなのに吹き出る汗、
無事に目的地に辿りつくか心配になったものです。
ただ一緒に入部した同期の仲間や先輩と
山と関係の無い話をしながら歩いて、
気が付いたら峠を越えて、目的地である沼のほとりに辿りつくことができました。
大清水登山口から登って尾瀬沼にでると、まず目に入るのは沼の奥にそびえる日本百名山であり、福島県の最高峰でもある燧ケ岳。
しかしながら当時の記憶を思い出そうとしても燧ケ岳の記憶はありません。
先輩から名前くらい聞いていたのかもしれませんが、当時の山を知らない私にとっては目に映っていなかったのでしょうか。
またその後体験する初めてのテント泊で頭がいっぱいだったのかもしれません。
なんにせよ私の当時の記憶は、
重たい荷物と、
尾瀬沼について食べた花豆ソフトと、
延々と続く木道を歩いたことくらいなのでした。
それからというもの、学生時代に尾瀬には2回訪れ、1回は燧ヶ岳への登山。山行の計画を行うリーダーとして来たため尾瀬周辺についてはずいぶん詳しくなりました。
卒業後も含めると尾瀬だけでなく、北は北海道、南は沖縄、北・中央・南アルプスの山々に登り、挙句の果て山小屋で働くという経験をしました。
そんな今では尾瀬から望む山々に感動するのはもちろん、
鳥の鳴き声に耳を傾けてみたり、
わからない花を本で調べてみたり、
登山道の様子を気にかけてみたり、
山小屋がどのような営業をしているのか覗いたりと、山に関するあらゆるものに関心が向くようになりました。
そして今回一緒に登った山の友人。
新潟と三重の人で、山小屋の同僚であり、2人とも地元の山を愛しつつ、全国の山も巡っている生粋の山好きです。
燧ケ岳や至仏山がきれいだと感動し、
ちょうど見ごろを迎えていた水芭蕉を撮影するのはもちろん、
登山の道具やこれまで登った山の話、山小屋での思い出話に花を咲かせる、など山に関する話はつきません。
きっと馬鹿話をしていたであろう学生時代とはエラい違いです。
(それはそれで楽しいんですけどね)
そんな山の話ばかりできる友人ができたんだなぁと。10年前を振り返るとそのことさえも不思議です。
また学生当時はテント泊でしたが、今回は山小屋泊。
雨風気にしなくていいお部屋と、柔らかい布団、
自分で担いで用意しなくても美味しいご飯は作ってもらえ、なんとお風呂まで入れてしまいます。
きっと大雨の中でテントを張ったり、
山小屋で働いてきた今だからこそ、
山小屋の価値を感じられるんだろうな、なんて思います。
10年前はこんなに山にのめり込むとは思っていませんでした。
でも山で色々な景色を見て、経験を積んで、働いて…
会社員というレールから脱線するほど山が好きな場所になっていました。
そんな登山歴もいよいよ11年目。
これからも新たな魅力を探しつつ、
山と山小屋の良さを知ったり、感じてもらえるような活動に従事できたらと思っています。