仲居もたまには「もてなされたい」④〜氷壁の宿 徳澤園〜
北アルプスを訪れたことがある登山者ならお馴染みの場所だと思いますが、
宿泊したことのある方は少数派かもしれません。
上高地の河童橋から歩くこと2時間、
徳沢地区にある山小屋「徳澤園」
北アルプスでも人気No1を競う、
穂高岳や槍ヶ岳を目指す登山者の大半が通る場所ながら、観光客であっても少し足を伸ばせば来れる場所ということで、山小屋と旅館の良さが絶妙に交わった施設です。
まず徳澤園と言えば、
日帰りの方も利用できるみちくさ食堂が有名です。
ソフトクリームや野沢菜チャーハン、
名物がズラリ。
「山小屋といえばカレーとラーメンと…」
というオーソドックスなイメージを覆すメニューが盛り沢山。
食堂の雰囲気も一般的な山小屋とは一線を画します。
私はこの日ピザをいただきました。
夕日に照らされたテラスで食べるピザは最高です
(夕飯前だったんですけどね…)
宿泊者に振る舞われる夕食は
信州牛のステーキに岩魚の塩焼き、
岩魚は松本の奈川地域産ということで、
当日まで放流されていたものを用意してくださっているそうです。
また今回私は相部屋利用のため付かなかったのですが、個室のお客様には松茸の茶碗蒸しが出たそうな。
いずれも北アルプスの山中とは思えない内容です。
続いてお部屋。
少し読みづらいかもしれませんが、
こんな紹介がされています↓
なんだか絶妙に山の人間を刺激するような内容。
実際のお部屋がこちら↓
山小屋とは思えないデザイン。
下界のカプセルホテルやゲストハウスであったとしても、
泊まってみたい!と思わせるようなデザインではないでしょうか?
山小屋というと、
簡素な和室や2段ベッドに詰め込まれるイメージが強いと思うのですが、
そのイメージを覆す空間です。
ちなみに私は泊まったことが無いのですが、
個室の「洋室」はいつかは泊まってみたい憧れのお部屋です。
詳細は公式サイトからぜひ↓
お部屋以外にもミュシャの絵や可愛らしい小物なども館内随所に散りばめられています。
山小屋は元々、
登山をする途中でただ「泊まるだけの」空間でした。
その目的のためだけの場所であれば、
ここまでこだわる必要は無いはずですが、
ただ泊まるだけではなく、
ここに泊まりに来たくなる仕掛けがたくさんあります。
登山家であり、全国や海外の山を歩いていた
故 田部井淳子さんも徳澤園を好んで毎年泊まりに来ていたそうです。
登山をするためではなく、徳澤園という山小屋に泊まりたいから上高地に来る。
そんな目的地になる山小屋は
これからの山小屋の新しい在り方と言えるかもしれません。