J-PlatPatのステータス検索機能
この記事は、「知財系 Advent Calendar 2023」の記事です。
2021年は「弁理士という仕事」というタイトルのポエムを書きました。
2022年は「2022年を振り返って🍜」で一年を振り返りました。
2023年は12年半勤めた会社・事務所を退職し、弁理士法人レクシード・テックに参画しました。
これまでに特許調査に関する色々な情報を発信してきましたが、最近、侵害予防調査の必要性がより一層高まっていることを実感しています。
それってパクリじゃないですか?の第3話のテーマにもなり、弊著もドラマに登場しました。
侵害予防調査の調査対象は、自社の事業活動の障害となりうる権利が存続中特許権や、出願が係属中の特許出願(以下、「特許権等」という)です。
従来、有料のデータベースでは存続中の特許権等を絞り込むことができましたが、J-PlatPatでは、存続中の特許権等を絞り込むことができませんでした。
そのような状況下、2023年8月に特許のリーガルステータスを提供することがアナウンスされました。
J-PlatPatにおいて提供されるリーガルステータス(WIPOの標準ST.27に準拠)は、「ステート」、「ステージ」、「イベント」です。
そして、2023年12月2日にJ-PlatPatリーガルステータス機能がリリースされました。
この機能により、特許・実用新案検索において、検索オプションにて「ステータス検索」「ステージ検索」を指定すると、得られた検索結果に対して指定した条件による更なる絞り込み検索をすることができるようになりました。
リーガルステータスによる”絞り込み前”の検索結果が 3000件を超えた場合は、絞り込み検索は実行ができない点に注意が必要です。
J-PlatPatにおけるステージ情報と生死の対応は以下の通りです。
特許・実用新案検索の検索オプションを開くと、ステージ検索の欄を選択することができます。
請求の範囲に、「箸」と「磁石」を含む特許権等について、ステータスが「出願・権利存続中案件で絞り込む」に✓を入れて検索を実行してみます。
検索の結果(2023/12/16時点)、8件の特許権等がヒットしました。
新しいツールや機能が登場した場合、ちゃんと結果が出るかどうか、既に結果が分かっている由緒正しいサンプルで試す必要があります。
この検索では、実用新案がヒットすべきことを筆者は知っていました。
それでは、「出願・権利存続中案件で絞り込む」に✓を入れて検索を実行するとどうなるでしょうか。結果を以下に示すように多くの実用新案も含む55件がヒットしました。
実用新案について、ステータスの欄を見ると、空欄になっています。
つまり、「リーガルステータス」の定義に、特許出願又は特許権の法的状態とあるように実用新案は対象外となっているようです。
したがって、実用新案が存在し得る分野の侵害予防調査を行う場合には注意が必要となります。
実用新案も含めた検索を行う場合には、「出願・権利存続中案件で絞り込む」に✓を入れずに検索を行い、公告・登録を優先して表示させてから、CSV出力を行います。
ダウンロードしたCSVファイルの「ステージ」の欄でフィルタを行います。
「出願・権利存続中案件 で絞り込む」の場合に該当するステージが「審査請求前」「審査中」「査定不服」「特許 有効」「異議・無効」 であるものに加えて、実用新案に対応する「空白セル」にも✓をします。
このように、リーガルステータスを利用すると侵害予防調査のみならず、Excel®️のピボットテーブル機能と組合せる等によって権利の存続に関する分析軸を取り入れたり、さまざまな場面で活用することが可能です。
以上、この記事ではJ-PlatPatのステータス検索機能について解説をしました。
明日は法務系Advent Calendar2023の記事が秀逸であった小川さんです!
2024年も皆様にとって良い年でありますように!
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