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【障害者就労の闇】 健常者の集団で生き延びてきた障害者は面構えが違う


最近、所属する業界の障害者メンバーの集まりに超久しぶりに行ってきました。
前に集まったのがコロナ前だから、おおよそ2年ぶりの再会になります。


彼らと再会したとき、私は改めて

「健常者の集団で長く生き延びてきた障害者は面構えが違う…」

と感じたのです。





 *  *  *





障害者の就労状況は、依然として厳しい状況にあります。


一つは、障害者の離職率が、全労働者と比較して高いことが挙げられます。

労働者全体の就職一年後の定着率は8割台を推移しています。
それが障害者となると、身体障害者と知的障害者では6割台、精神障害者では5割を切っています。

出典:障害別にみた職場定着率の推移と構成割合(2017年4月 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 障害者職業総合センター)


私の所属する業界でも、離職した人数こそ公表されていませんが、障害者は健常者と比較して辞めていくことが多いと言われています。




もう一つは、合理的配慮が形骸化しやすいことが挙げられます。


4月4日朝日新聞「働く面」掲載記事の一部を引用します。

障害者雇用促進法は、障害者の意向を十分に尊重して相談に応じるよう義務づけている。
自らも聴覚障害があり、この問題に詳しい松田俊介弁護士は「事業主が障害者と話し合って『合理的配慮』の考え方を浸透させることが重要だ」と話す。たとえば、まったく聞こえない人と聞こえづらい人では必要な対応は異なる。手話や筆談も状況に応じたきめ細かさが求められる。だが、実態は「相談を持ちかけても拒否されてしまいがちだ」という。
同法は、企業が合理的配慮を怠った場合の罰則規定がなく、全日本ろうあ連盟は「実質的には努力義務になっている」と指摘する。


私自身、職場で障害特性に困りに困って相談を持ちかけたところ、拒否された経験があります。
障害特性によって起こる就労上の不便を、当時の上司の独断によって、それは個人の自助努力で何とかすべきことだと丸め込まれました。


そもそも健常者の集団の中に障害者を入れるっていう仕組みに無理があるんですよね。
健常者基準で作られた環境にいきなり障害者を入れたら、障害者側に不適合が生じるのは当然です。
そこをカバーするために合理的配慮があるはずなんですが、現段階では努力義務という扱いです。

そして健常者と障害者は、非対等な関係になりがちです。
健常者が上で障害者が下ということは絶対にないけれど、「配慮する人」「配慮される人」ということでどうしても力関係が生じやすい。



障害者の就労はハードモードです。ぴえん。


 


 *  *  *





私の所属する業界において、長く生き延びてきた障害者は只者ではありませんでした。  

彼らは交渉スキルが神がかっていました。




自分の障害特性を健常者に分かりやすく伝えるプレゼン能力、
合理的配慮を何度断られてもめげずに言い続けるメンタル、
心無い言葉を受けてもへこたれない図太さ、
障害者雇用に関する法律の知識、
仲間同士で連帯する力、

…を彼らは持っていました。


彼らの中には、非常に活動的なパーソナリティでちょっとした伝説を持つ人物もいます。(その伝説については、差し支えのためここに詳しく書けないのが残念😂)  

もともと交渉スキルが高い人もいるかもしれませんが、彼らの多くは生存戦略の結果として、つまり健常者の集団の中で合理的配慮を得るために孤独に戦わねばならない背水の陣で鍛えられていった...という印象を私は受けました。


私自身「障害を持った人」という肩書きで社会に出て、今年で5年目になります。
豆腐メンタルに鞭打って満身創痍になりながら、なんとか生き延びてきました。
私もいつかは彼らのようになれるのだろうか…とこれからも何十年と続く労働生活を憂いては遠い目になっております。



おしまい。


◾️追記(2022/04/19)
障害者就労の闇ばかりを見るのも悲しいので、光の部分にフォーカスを当てた文章も投稿しました。良かったらこちらも読んでいただけると嬉しいです。