親子というシステムが発達障害には向いていない
私の体感として、発達障害の人は毒親育ちが多い。
どうしてこうも多いのか?
私の推測としては、発達障害の特性が親子というシステムに合わないために不適合が生じ、毒親問題へと発展するのではないかと考えている。
発達障害と言っても、程度はさまざま。
発達特性はあるにしろ、特に生活や仕事に支障がないから受診していない人と、困りに困って医療機関に駆け込み、診断に至った人とでは天と地ほどの差がある。
ここでいう発達障害とは後者を指している。
発達障害が親子というシステムに向いていない要素は、大きく3つがあると考える。
1. 発達障害児はそもそも望まれていないこと。
ほとんどの夫婦は健常児が生まれてくるのを前提に、子育てを楽しみ一人前の家庭を築くことをイメージしている。
好んで障害児を望む親はいない。
発達障害とは少し話がずれるが、出生前診断によって胎児の染色体異常が確定した親のなんと9割以上が中絶を選んでいる現実がある。
障害児を産み育てることを拒否する親がこんなに多いのだ。
ましてや産んでしまった子の障害を受け容れることは、容易なことではないだろう。
特に発達障害児のような、身体所見にあらわれにくく、一瞬見ただけでは健常児と変わらないように見える子だとなおさら難しい。
私の知人で児童福祉の仕事をしている人がいる。子どもの発達障害を認めようとはせず、障害者手帳の取得を拒否する親や、支援学級を拒否して何としてでも普通学級に通わせようとする親は珍しくないと言う。
その子に必要な支援・教育を受けさせないのは、毒親なんてレベルじゃない、一種の虐待だ。
最も身近で、かつ絶対的な存在であるはずの親に、自身のありのままを否定されて育つことが、その後の性格や心理面に悪影響を及ぼすことは想像に難くない。
2. 発達障害児は人をイライラさせる天性の素質を持っていること。
誰もが大なり小なり持っている毒親要素を最大限に発動させてしまうのが発達障害児だ。
私自身、子どもの頃は、社会性の発達が遅く、また自制心に乏しく、あちこちでトラブルを起こしてまわっていた。
育てる側が嫌悪感情を抱くのも自然なことだ。
3. 親自身も発達障害を抱えており、子育てに向かない特性を抱えているケースが多いこと。
発達障害は遺伝が関係しており、親も発達特性を持っている可能性は高い。
発達特性故に、不用意な発言をセーブできない、つい手が出てしまうといったことが起こりやすい。
あとは女性の発達障害者に多いのが、社会でやっていけず結婚に逃げて子を授かったパターン。
社会において居場所を得られなかった人が、家庭に入り、母親という役割を持つことで居場所を得ようとすることがあるが、そんなうまくいくものではない。
家庭は、濃縮された社会だ。
社会において不適応を起こしてきた人が、母親業にすんなり適応できるとは考えがたい。
以上三つの要素ゆえに、発達障害は親子というシステムに不適合をおこしやすいのではないかと考えている。
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あるシステムに適応できる人もいれば、適応できない人もいる。
それは自然なことだ。
世の中の全員が何でもかんでも適応できる社会もそれはそれで不気味だ。
学校に馴染めず不登校になる人もいる。
普通学級はだめだったけど、保健室登校やフリースクールなら通えたという人もいる。
会社勤めが合わなくて自営業をしている人もいる。
恋愛とか結婚というシステムが合わず、シングルで生きていく人もいる。
親子というシステムが合わない人が一定数いるのも、おかしなことではない。
親子関係がうまくいかず苦しんでいる発達障害の人も、あんまり自分を責める必要はないんじゃないかなと思う。
誰のせいでもないこともある。