「環境」「チーム」活動編②
前述のような支出がある一方で、「起業のためにはある程度(月々15万)の自己投資が必要になる」と常々セミナーで教わります。自己投資とは自己啓発本やビジネス本を読んだり、人と会うのにかかる諸費用のことかと考えていましたが、師匠からは「違う。とにかくまずは自己投資できるだけの資金を捻出できるよう、支出を減らしてみよう。自分の収支もきちんと管理できない人間に、会社の収支は管理できないよ」と言われ、AやBと相談しつつ月々の収支を整えていました。
とはいえ、上記のような費用を除いて15万を捻出するなど、若手の社会人の収入では望むべくもありません。そこで組織のメンバーが行っていたのが社会人飲み会や合コンの開催でした。常々飲み会を開催しているメンバーは懇意の店があり、サイトに掲載されていない特別な飲み放題のコースなどを作ってもらっていました。その飲み会に友達などつてを頼って参加者を募り、実際の料金より割高な金額を参加費として徴収し、差額を呼んできた友達の人数に応じて分配するのです。
飲み会といえばレシートを添付して割り勘ないし傾斜勘定、と会社で叩き込まれていた私には違和感が大きかったのですが、「普通では会えない人と会う機会と、幹事の盛り上げによって過ごす楽しい時間の対価として貰っているし、いずれ起業してイベントやセミナーを開催するときの価格設定のトレーニングでもあるんだよ。それに、お金を貰うからみんな本気で盛り上げるんだよ」と説得され、納得してしまっていました。(※脱退後、連絡のついた友人には連絡した上で謝罪し、過徴収額を返金しています)
また、月々の収支を整える上で悩ましいのが家賃です。職住接近と教えられて大崎周辺に引っ越しましたが、大崎の一人暮らしの家賃相場は都内でもかなり高い方です。これがある限り、たとえ社会人飲み会を開催しても収支を整えるのはかなり困難です。そのため、「環境」ではメンバー間でシェアハウスをすることが推奨されていました。
私も月々の家賃負担が減るならばと、チームメンバーとシェアハウスをしていました。後述の通り家にはほぼ寝るためにしか帰らないので、ワンルームに3人という無茶なシェアハウスでも案外なんとかなりました。
こうして、「環境」の一員としてのハードワーク生活が始まりました。
私の勤めている会社は残業が多いのですが、無理やり早く退勤し、コンパに参加したり、終電までナンパしたりして友達を作る。作ったらすかさず飲み会や合コンに誘い、さらに将来やキャリアについて迷っているという話を聞いたら、AやB、師匠に相談しながらアポイントを取って、パートナーをつくる(=弟子入りさせる)べく本や人を紹介していく。毎日終電で帰宅し、日報を書いて就寝。週末はセミナーに参加し、師匠のお店に買い物に行き、飲み会を開催して収支計算と分配。もちろん土日しか会えない友達は土日にアポ。
会社の時間を極力切り詰めても、毎日終電帰宅の生活。支出削減と称して食事も質素になり、体重は5kg減りました。足りない睡眠時間は会社で補うしかなく、休憩室やトイレの個室でこっそり仮眠を取る日々。疲労が溜まる中で、夢に向かって前向きで明るく、ハイテンションな「環境」のメンバーといる時間だけが安らぐ時間でした。
しかし、なりふり構わずがむしゃらに動いていつのまにか人見知りも克服していた私は、ハードワークで体型が改善し、セミナーでコミュニケーションのトレーニングを受けていたこともあったのか、それなりに多くの友達をイベントに動員できるようになりました。そうして3か月ほどの活動の末、収支を改善しなんとか月15万捻出できるようになっていた私に、ある日師匠が「いよいよ事業参入の方法について教えよう」と言ってきたのです。
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