いわき公演 角野隼斗:ラフマニノフピアノ協奏曲第2番&チャイコフスキー交響曲第5番
2022.10.10(月・祝)16:00開演 いわきアリオス
読響交響楽団 指揮:小林研一郎 ピアノ:角野隼斗
弾丸です。行ってきました。福島県いわき市。チケットは取ったものの3連休、次男に至っては5連休の4日目。でもうまく夫の仕事がフリーの日となり、遠征OKとなりました。
数日前まで大雨の予報でしたが、雨は上がり、行程で傘を開く事なく、さすがかてぃんさん!片道4時間弱、なかなかの遠征ですが、本当に行けてよかった!特急ひたち初めて乗った!東京から乗っていわきが終点だった笑。
私は6月のチケット取りに失敗し(発売日を失認)6月下旬に慌てて取りに行くも、もう結構埋まっていて…(イープラスでしか見てなかったかも)。2F、3Fの後方よりは最前列の方が見やすいかと思い4階席1列目ど真ん中をチョイス。行けるかどうかも微妙でしたし、A席ですが押さえるだけは押さえておこう、の作戦です。
JRいわき駅から徒歩15分程度?平中央公演に隣接してアリオスホールがあり、ロビーの景色が緑に溢れ気持ちのいい空間でした。
まずは1Fを眺めて中央通路から4階席を眺めると…座席が見えない…遠い…(汗)。いったいどんなお席だよ、と思いながら、階段を70段ほど登り、ホールの扉を抜けると…えっ?!す、すご…!圧巻。最前列、高っ!怖っ!でしたが着席すると思ったよりも舞台は近く感じられ、視界にしっかりオケ全体が入る。ホールの天井が高く、舞台からメガホン状にこちらに開いている感じ。手すりがちょうどピアノにかかってしまうので背中をつけて見る事はできなかったのがちょっとマイナスポイントではあったけど、前のめりにならない様に気を使いつつ(後ろの方の視界の邪魔にならない様に)見えるポイントを探し、鑑賞には問題ありませんでした。
実際の肉眼での見え方はこんな感じ!
音合わせの音も綺麗に響いてくる。どんな感じになるだろうとドキドキしているとオケの入場。続いて角野さんとマエストロ!角野さんコンミス、コンマスと肘タッチ。スッと座って…始まる…
ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番
第1楽章
角野さんの鐘の音、弱音の1音目もしっかり届いてきた!嬉しい!!クレッシェンドしながら鐘の音がどんどん近づいてくる。最後3つ溜めながらー決まったー。そしてオケ!何このオケ!弦のふくよかな音色よぉ〜(泣)。これだけ弦が鳴るとそりゃさすがにピアノの音は隠れちゃいますけど、そこは視覚がカバー。一体となって迫ってくる音圧。圧巻。ピアノの主旋律、角野さんなんか変わった。強弱の中にもさらに歌心があり、対旋律の目立たせたい音を堂々と奏でてくる。もう、鳥肌。鳥肌。鳥肌のオンパレードで髪の毛まで逆立っちゃいそうでした。オケとの受け渡しもとてもスムーズでタイミング的にどっちが待つとかそういうのが全くなく、マエストロもオーバーな振り方はあまりなく淡々として見えるのに、ピタピタッっと合う。中間部の盛り上がりから、バイオリン主旋律、ピアノ両手オクターブ対旋律もタイミングばっちりで泣きそうになる。3日間でオケもピアノも“同期の呼吸”を身につけたのだろうか。とにかくとんでもない演奏に居合わせているのは分かって、息を殺して見入ってしまった。ラストのピアノも素晴らしくて終わった瞬間思わず拍手したくなる。
第2楽章
オケが美しい土台を作ってピアノがイン。角野さん、ものすごく集中してた。4連符、音もリズムもそろっててそれはそれは美しかった。(川崎の時は2楽章の出だしが気になってしまったワタクシ)ピアノが主旋律を奏で始めるとブワーっとロシアの雄大な自然が思い浮かびました。行った事ないので想像だけど…。ラフマニノフさま本当に美しい旋律を残してくださりありがとうございます。ピアノのBメロ(ちょっと切ないメロディ)ほんと綺麗でした。オケの音と共に風が吹いてくる様でした。その後のピアノソロはドライブがかかって迫力もあって圧巻。痺れた。間をたっぷりとって、無音の時間も心地よかった。主旋律が弦にうつりクライマックスでのハーモニーが美しすぎて震えた。本当にすごい。それ以外に言葉がない。
3楽章
角野さんがかなりエモく2楽章の最後の1音を出し、残響が無くなったと同時に3楽章がはじまる。うんうん、ここで休憩、咳払いは要らない。お得意の3楽章、相変わらずカッコイイ。超絶難しいパッセージも1音1音クリアに聴こえてくる。有名な甘美なメロディ、オケから引き継いでとてもとても繊細に奏でる。そこからのクレッシェンドがまたすごい。オケも遠慮することなく呼応しホール中に響き渡る。トリル3回の後の盛り上がりもオケと一体となって迫ってくる。トランペットと縦の線もお見事であった。一瞬だけ角野さんが先行しかける場面があったが、すかさずマエストロが反応し大振りでテンポアップを促し、オケがすぐさま反応した。す、すごい。またもや鳥肌が立つ。2度目の甘美なメロディ、また繊細に…4階的にはここはもう少し音量あってもいいなぁと思ったが、ケチをつけるとしたら本当にこのくらい。このあたりで「あーもう終わってしまう」のセリフがよぎり、角野さんとマエストロが千秋とシュトレーゼマン(のだめカンタービレの登場人物)にしか見えなくなってくる。マエストロが魔法をかける様にタクトを角野さんに向けて静止した場面があった。さぁ、演って。聴かせちゃって。と言っているよう。信頼しあってる感じがして熱くなった。最終局面の入りも打楽器とホーンとピアノとタイミングばっちりでため息が出る。弦の大きなうねりの主旋律に負けずに角野さんの渾身のオクターブ対旋律。そのままの勢いと熱量でラフマニノフ終止。決まったー!!!
目尻が少し濡れたが涙は溢れない。bravo!bravo!bravo!すごい演奏だった。角野さん最高にかっこよかった。マエストロ、読響さん、最高のラフ2をありがとうございました!そんな想いで4階から精一杯の拍手を送った。1階席前方はスタンディングオベーション。他階もチラホラ。ブラボータオルを振っている方も散見。私は前列ど真ん中で立つと怖い事もあって立たなかったけど、頭の上で拍手を送っていました。
こんなこと書くと「最新が最高」の角野ファンに怒られちゃうかもだけど、私は角野さんのラフ2生演奏を大宮ソニックシティ(2020.1月)、カルッソかわさき(2022.3月)で見ていて。でもPTNAの特級ファイナルの動画を超える演奏とは思えてなくて…これには聴く側のコンディション(集中して聴けるかなど)もあるので人それぞれだと思います。あの特級での真剣な真摯な演奏は、ミスタッチやオケとのズレなどあれど、いつ聴いても心に響くのです!ピアニスト主体の映像と音源って事も多分に影響しているとは思う。でも、でも、です。今回は最高を更新してきた!間違いなく軽々と飛び越えてきた。ピアノの表現力やオケとの融合が素晴らしくて、自分としての理想的なラフ2だった。閉じ込めて音源化してずっとずーっと聴いていたい、そう思わせる演奏でした。この演奏に立ち会えて、この場で聴くことができて本当によかったです。
数回カーテンコールに応えてソリストアンコール。さぁ、何が来るかなぁ?🎶ドードーソーソー……会場から笑い。フッと和む。こういうバランス感覚よねぇ〜(惚)。きらきら星変奏曲。トイピアノやピアニカとピアノの同時演奏をかてぃん劇場第1幕とするのであれば、この変奏曲シリーズはかてぃん劇場第2幕といえる。2020.7.6コロナ禍の七夕前にアップされた、バズり動画。今見たら総再生回数830万弱。コメント2万。2万?!?!!!世界中から愛されてますね。きらきら星変奏曲、生演奏聴くのはいつぶりかしら。今日はまたキレッキレですわ。この音響のいいホールでフル尺で聴けるの贅沢すぎる〜。ブラボー!!!拍手喝采!!!
数回カーテンコールに応えて、マエストロもいらっしゃった。一緒に挨拶。オケメンバーにも挨拶。終わりかな?って思ったらなんだ?マエストロにピアノまで誘導され促されて座らされる(笑)。もう1曲って。わぁ嬉しい!赤とんぼ変奏曲。きらきら〜とはまた違ったしっとりとしたテイスト。会場くぎづけ。かてぃんさんずるい(惚惚)。3〜4回転調して元の調に戻り、最後は美しい旋律を装飾せずに奏でてくださいました。残響が消えるまで静寂。そして大きな拍手。終わった瞬間に思わず、はぁぁすごい、とため息混じりに言葉が出てしまったらお隣さんも素晴らしいですね!と反応してくださった。嬉しい。
トイレ休憩15分。1-3階各階に充分なキャパの女性用トイレがあって、混乱なかったように思います。
そう、この公演、コバケンさんの地元という事もあり、年配のお客様も多い印象。足腰の弱い方々も結構多かったように思います。同級生だったりするのかなぁ?なんて思ったり。
さあ、後半はコバケンワールド!これまた楽しみです!
チャイコフスキー 交響曲第5番
チャイコの交響曲、6番、悲愴はCD持っているけど、他は4番を知っているだけ(2021.8月角野さんのショパンコンチェルトとカップリングでしたね)。5番はマエストロの十八番なのかな?読響さんとの録音もあって、予習としてはそれを数日前に1回、当日朝に1回、ながらで聴いただけ。印象としては、さすがチャイコさま、メロディーメーカー!旋律がすぐに歌えちゃうのが素晴らしい。バレエ音楽みたいな優雅な楽曲。ただ、拍子は違えどテンポ感が、4楽章の途中まで同じような感じで、優雅なだけに眠くなっちゃう(笑)。パンフレットの楽曲解説では1楽章のメインモチーフが全ての楽章に登場するとある。なるほど、だから統一感があるのか。
炎のマエストロと呼ばれるコバケンさん。テレビでお名前は存じていますが、指揮をガッツリ見たことはない。8月に「題名のない音楽会」でのご出演があって、その時はラヴェルのボレロ等を指揮されました。「オーケストラの皆さまは音楽の神さまに愛されてここにいる。最大限のリスペクトを持って一緒に音楽を作っていきたい」みたいなお話をされて、巨匠なのになんて姿勢の低い人なんだ、とびっくりした記憶があります。炎のっていうのは微塵も感じなかった。
そのコバケンさんが読響で地元で十八番のチャイコ5番を指揮する…この公演が大人気なのは角野効果だけではないと思われた。
4階席なのでオケの編成がよく見えた。ラフマで弦が素敵だなーと思って数えたんだけどバイオリン24名(1st 13 2nd 11だと思う)ビオラ10名チェロ8名コントラバス6名の大編成(なのかな?!)。ど迫力なうえめっちゃ統率とれててほんと一糸乱れぬという感じでした。御年82歳のマエストロ。決して大振りではないけれど時に上下にリズム取り、時にイナバウワー体勢で天を仰いだり。要所要所の指示が的確で、指揮棒でビーンと指されたパートは魔法がかかったように生き生きとした音を出してくる。マエストロがそうであるように団員さんもマエストロを敬愛して止まないのが伝わってきた。曲間に無音の間を作る事が多く、その後の出だしに弦の方の吸気音が4階まで聞こえて感動してしまった。絶対にいいものを届けるんだ、というオケの意気込みを感じた。楽章間にマエストロがよろしくお願いします、といった感じで、ある楽章ではビオラにある楽章ではバイオリンに深々とお辞儀をされるのが印象深かった。終盤にさしかかり4楽章の後半、テンポアップでの盛り上がりは打楽器も管も弦も一体となって迫ってきて心拍数が上がった。3回ほどマエストロが客席をみて両手を広げる。私には音楽の神様を呼び込んでいるように見えた。壮大かつ祝祭感に溢れたフィナーレ。圧巻!!!割れんばかりの拍手は言うまでもない。めっちゃ感動しました。これまた歴史的名演と言ってもいいのではないか?少なくとも私の席に届いた音楽は本当ーーーに素晴らしかったです。
カーテンコール数回した後はマエストロ、ホルンの前に行きそこからパート紹介。2楽章のホルンの旋律はほんと美しかった〜!(ジョンウイリアムズ、ブラ1とホルンの音色にハマりつつある私)弦の紹介の時は最前列の方1人1人と肘タッチ!これは団員さん嬉しいでしょうね〜!全員起立で挨拶した後、一度袖に戻られたマエストロ、マイクを持って再登場。その時のお話はだいたい以下の通り。(メモしてた訳ではないので記憶のみ)
こんなお話の後に読響最強弦部隊によるガチなダニーボーイを聴かされた日には…もう涙腺崩壊するでしょう。ギリ溢れるのを受け止めてたダム決壊。本当に心に沁みる素晴らしい演奏でした。今日、1番感動しちゃった。拍手鳴り止まないもマエストロもお疲れでしょう。オケ団員が申し合わせたようにスッと立って終演。舞台上で笑顔でやりとりする団員さんたち。歓喜と達成感に満ちていた。素敵な音楽をありがとうございました。
「あーすごかったですねー」とお隣のご婦人が声をかけてくださった。「この4階席って私初めてなんですけれど知り合いにオケを見るならここよって教えて頂いたの。良かったですよね」と。あ、そういう席なんだ。天井の高いこのホール、確かに四方八方からここに音が集まってくるイメージある。永田音響設計のシューボックス型オーチャードホールの姉妹ホールと記事で読んだ。たまたまとったこのお席。演者から遠く、表情や仕草などはよくわからなかったけど全体を見るには良かった。最前列は音楽の世界に没頭できた。何より音響が最高でした!
大興奮のままいわき駅に向かい歩く。秋の宵が心地よい。途中でフォロワーさん達とお茶に寄ったが、特急の出発時刻もあって慌ただしくなってしまってすみませんでした。でもお会いできて、この演奏の感動を共有できてとても嬉しかったです。
帰りの車内でラフ2の感想を書き始めました。福島県内では揺れが大きく、スマホでポチポチ打つのはなかなか大変でしたが、記憶が熱いうちにと思い……。ラフ2とマエストロのお話の部分はその日のうちに書きましたので、記憶違いはあまりないかと思いますが(あるとしたら勘違い)間違いあったら教えてくださいね!
帰路でのツイート(笑)。帰宅は23:15でした!頑張った!!後悔はない!!!!!
その頃かてぃんさんも頑張ってた!(笑)
財布を忘れて〜ってサザエさんか(笑)
ラフマに全集中だったのよね、うん。
この後シンガポールって…超人的!!!
この笑顔!最高です。また共演があるといいですね!
そして最後にこのツイート載せておきます。マエストロのお話聞いて赤とんぼの意味がわかりました。本当に美しい。何度もリクエストされちゃう訳です。