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苦難を経て角野隼斗ツアー2024@サントリーホール3/7に行けた話

角野さんのツアー18公演目、サントリーホール4公演(土、水、木、金)の3公演目に行けました。「行った」でなく「行けた」としたのは、自分自身の問題でかつてないほどいろいろとハードルが高かったから。でも心から行けて良かったと思える公演だった。いつも以上に自分語り多めの感想となるため、お時間の許す方、私なんぞの事に興味のある方のみ読み進めてください笑。マジで単なる日記だ、オイwww。



ホール入り口の電光掲示板
シルエットが美しい


まず第一のハードル、チケット確保。私は角野隼斗さんのファンクラブ(FC)会員のため9月のツアー発表後のFC会員枠でまずチケットを取りに行く訳だけど、これが難儀であった。サントリーホールで何と3公演!(2020年の初サントリーではコロナ禍で1席おきの約1000名。それを考えると6倍!)。迷ったけど最新が最高の彼なので3/8(金)の最終日をチョイス。何度かコンサートに一緒に行ってる友人が行きたいとの事なのでS席2枚クレジット払い(A席は選ばず)で他の日はエントリーせず。欲張らず皆で席をシェアしましょう、まあ1日なら取れるでしょう、の精神です。 ……甘かった。「お席がご用意できませんでした」のおしらせ。ガーン。こんな事は初めて。でも考えて見ればFC会員も8000人近くいるらしくあり得る事だ。FC2次は「どの日でもどこでも良いですサントリーホールで聴きたいです」の祈るような気持ちでエントリーし、ようやく取れたS席2枚だったのでした。Sでも2階Cブロック下手後方、ピアノソロでは経験のない距離のある席。3/6(水)のサントリーホール追加公演のお知らせが入った際には心が揺らいだが、FC2次も当たらない人が出ていたのを見聞きしていたのでグッと我慢。チケットも一期一会、と割り切る事にしました。

公演日を楽しみ待っていると、一緒に行くはずの友人が都合が悪くなったとの事。まぁこちらは別の友人がすぐに手を挙げてくれたので何と言う事はなかったのですが。

さて、公演1週間前の2/29(木)に事は起きた。朝、起きると首から左の背部、肩甲骨の辺りが痛む。ズキズキではなくズーンと重くなってくるでもせつなくて泣けるような痛み。横になると楽になる。ぎっくり腰の首バージョンかも…と思い、幸いその日は仕事は休みの日で、家の修理やメンテやなんかで人が出入りするも出かける予定がない日であったのでなるべく寝ていた。翌日も痛みは変わらず、とても仕事どころでない。観念して職場に電話し整形外科受診となった。この時、車の運転がかなり痛みで辛い事が判明。頸椎のMRI(MRI人生初体験!)を撮ってもらい、頸椎ヘルニアの診断で、安静、頸椎カラー(首に巻くギブスみたいな装具)、鎮痛剤(神経性疼痛に効くタイプ)で様子を見ることとなった。
やっちまったなぁ…トホホです。1月2月と実家のゴミ部屋片付けを頑張っちゃったのが原因かなぁ。スマホも姿勢に悪いんだよね多分。皆さまお気をつけください。
診断がつき対応法もはっきりしたので精神的にはだいぶ楽になりましたが、頭は元気なのに寝てなきゃならず、まいりました。家族に協力してもらい週末を過ごしてだいぶ症状改善!月、火、水と仕事で、本当は休んで安静にしていたいところですがそうもいかずやむおえずカラーを巻いて出勤。病人感マシマシ笑。職場の皆さん優しく接してくれて感謝。仕事をセーブしつつ、隙があれば横になって休みつつ何とかこなせた。(本当のところは仕事も行けないのにコンサートはないだろうという気持ちが働き、気合いと意地で乗り切りました笑)

3/7(木)コンサート当日。仕事は休みの日。自分の体調がこうなると、木曜日のチケットが当たったのはありがたい。1日仕事をして職場から電車に飛び乗るは今の私には無理だ。午前中、予約していた美容院は負担が大きいため断念。1週間でたまった家事、雑務をのんびりやる(下向きは痛みなし)午後は銀行振り込み3件&チケット発券。(どうなるかわからないので私は発券は公演が近づいたらにしている)振り込みの1件は高額(新車購入代金)のため窓口で。混んでて結構待たされ首が痛くなってきたが何とか終えて帰宅。軽く食事取り痛み止め飲み身支度し出発まで20分。ちょっと首を休めよう、と横になり、落ち着く音楽…予習も兼ねて藤田真央さんのトルコ行進曲つきのモーツァルトソナタ11番…(昨年10月に藤田さんのピアノソロリサイタル@サントリーホールでCD買った)あーモーツァルトはやっぱいいねぇ…なんて思いながら第1楽章第2変奏あたりから記憶なし…。そう、やっちまったんです。寝落ちした。気づいた時には別のソナタになっており、乗るはずだった電車はもう出発…。青ざめる私。頸椎カラーつけて慌てて駅に向かい電車に飛び乗り、幸い接続よく特急が来たので乗り換え、東京駅からはタクシー。友人との待ち合わせ15分遅刻で済んだのは奇跡的。(なんせチケット私持ちですから…)18時に待ち合わせのコーヒーショップ。一服(ホットでなくアイスを頼んで一気飲みw)。友人と頚椎症談義したりしつつで18:30ホール着。

もうすっかり暮れたサントリーホール。遅い時間なのでさほど混み合っていない。本日の催しの電光掲示板の横で物販ブースあり。お互いにKEYを1つづつ購入(待ち時間なし)。2階席のため上へ。トイレ済ませて20分前くらいに着席しました。

2階席後方ブロック左端なのであまり期待していなかったがなんのなんの、よく見えるじゃありませんか!1列目なので前はひらけてるし、遠目だけど鍵盤捌きが見える場所。KEYS初回参加の友人に前半の演目をざっと説明(コンタクト入れてきちゃったからプログラムが読めないって…www。私は数年前から眼鏡にしたので外せば読めます。お互い歳やね〜と笑うしかない)。

自席からの眺め
サントリーホールはやはり美しい

さあ、始まる。
(演奏の感想は特に印象に残った部分にフォーカスしております。細かい記載は、私的、初回KEYS上田公演を参考にして下さい↓)


バッハ:イタリア協奏曲 ヘ長調 BWV971

あぁ。角野さんのピアノの澄んだ音は2階の後方まで飛んでくる。弱音の美しさもそのままに。反響音もまとめて楽しむお席なので、バッハもまろやかに聴こえる。特に美しかったのが2楽章の緩徐楽章。甘くせつないメロディーの1音1音が心に沁みる。同じくサントリーホールの2階席で聴いた心に残っている演奏がある。トーマス・アデスの協奏曲の2楽章だ。あの時も氷の世界に1人取り残された様な、深海の底で息を潜めるようなそんな感覚で聴いた。聴衆がステージ真ん中の1点を見つめる。集中力がすごい、今日の演奏会も素晴らしいものになるだろうという予感がした。

モーツァルト:ピアノソナタ第11番イ長調K.331「トルコ行進曲付き」

8分の6拍子の(3拍子って思ってた。PTNAのピアノ辞典で調べた)かわいらしい旋律。こういう曲調も角野さん得意よね。ハッピーオーラがサントリーホールを包み込む。変奏曲のスタイルで各変奏に繰り返し部分があって。「2回同じには弾きませんよ」という強い意思を感じるw。装飾音が上田公演で聴いた時より明らかに増えてる(笑)。実験してる?遊んでる?次々現れる変奏曲に女の子の誕生からその後の一生を想像して聴いていたのは私です。(ショパンコンチェルト1番2楽章でもそんな感じになっちゃうんだよ。音色が優しいんだよね。女の子なんだよ登場するの。角野隼斗あるあるです。私だけか…笑)長い第1楽章も楽しくてあっという間!
2楽章、テンポを落とした3拍子。メヌエット。前回あまり記憶になくて…今回は聴き込んだし、来る前寝たしw、ガッツリ聴きましたわよ。曲調や場面展開が変わるので音色や打鍵で表情変える角野さんの演奏は映えるし極上でした。
3楽章、トルコ行進曲。作曲当時ウィーンでは空前のトルコブーム。流行に敏感なプロデューサー的才能に長けてたモーツァルトがトルコの楽団を模して作曲、って清塚さんの番組で言ってた。たしかに1、2楽章とガラッと雰囲気変わって面白い。前回上田では3楽章は楽譜に忠実だった気がするのだけど、今日は…装飾多いなっw!自由だ!!後半、えっ?そんなに崩しちゃってwwwって思うところがあって、直後に判明。次の24の調の変奏曲の出だしだね!


その後24の調の変奏曲にあたってのライトの色変化の説明。何度も聞いてると(私は2回目)茶番になっちゃうけど、初参加の友人、AIが調性感知、マジで驚いてた(騙されてた笑)そういう時代も来るのかなぁ。でも角野さんのスムーズかつ意表を突く転調はまだしばらくはAIでも無理と思うけどね笑。


角野隼斗:24の調によるトルコ行進曲変奏曲

2回目だから解像度上がると思った。全然駄目だった。以前聴いたのと同じ変奏なのか少しずつ変えているのか、それすらわからない。理解が追いつかぬままライトの色だけどんどん変化し、呆気に取られているうちに終わってしまった。皆さんが言っていた18変奏のパガニーニはなんとなく分かった様な。絶対音感がある人は転調が何調か聴いてるだけでもわかるのでしょうか?調性とライトの色がズレてるとかよくわかるなぁ。残念ながら私には全く…。圧巻の演奏で前半終了ー。

幕感ツイート↓かろうじて書けた感w。席から立たず友人とお話ししてました。(送信するときだけちょっとホール出た笑)

舞台転換
階段状だったピアノ裏が平坦となり
八角推のスピーカーがお目見え
音響へのこだわりを感じます

角野さん再びステージへ。ここで突然思い出した。そうだ、双眼鏡持ってたんだ。2個持ってきた。友人にひとつ渡す。さぁ、後半スタート。

角野隼斗:大猫のワルツ

わぁ!チェレスタ弾く時こんなに嬉し楽しそうな表情してたのかぁ!双眼鏡で見る世界はさっきまでとまた違って没入感が半端ない。2階C席後方向かって左端(下手側)だったけど、覗くと3方囲む鍵盤のお手元、見える!もちろんグランドピアノが1番見える!!もう楽しくなっちゃってずっとレンズ越しに見てました。左手痛いのにそんな事言ってられん。優雅でお茶目で楽しくて、トイピの装飾音もピアノの駆け上がりもしっかり見えて聴こえて、踊りたくなっちゃう様なそんな演奏でした。

ガーシュウィン(角野隼斗編曲):パリのアメリカ人

今回はこの曲が1番感動したかもしれない。上田公演の後、バーンスタイン指揮のこのオケ曲を結構聴き、曲の構成もある程度頭に入れて臨んだ。全く同じではないかもだけど、原曲に忠実に、鍵盤5台で見事なオーケストレーション。管楽器の同音連打も楽器の特性毎に弾き方少し変えてる?そんな事を考えてしまった。曲調変化の時のチェレスタの使い方が粋だ。原曲でチェレスタの部分はチェレスタで奏でていた気がする。後半のメロディアスな旋律、鍵盤ハーモニカで演奏。レンズ越しに見て一緒に息を吹き込み息継ぎを試みたけど、く、苦しい。。。左手は伴奏しながらどういう身体能力だろう…もう、驚きしかない。後半のJazzyな場面でアップライトピアノが登場。音色とリズムであっという間にニューオリンズの街に行った様な感覚になる。いや、ここはパリなのだ。で弾いてるのはガーシュウィン、アメリカ人。ん?サントリーホール?かてぃん?頭がバグる(笑)。フィナーレ冒頭の主題から全部出しの終わり方。グランドピアノ1台でオーケストラ。本当に凄かった。素晴らしかったです。

ラヴェル(角野隼斗編曲):ボレロ 

会場暗転。でもサントリーホールなのでP席の階段の間接照明の明かりがステージから放射状に伸びる星のような…綺麗でした。暗がりの中始まるスネアドラム。もちろん角野さんが弾くプリペアドされたアップライトピアノですが、お手元見える双眼鏡越しでも背中に隠れてその演奏は謎のままだ。寸分狂わぬそのリズム。元音ゲーマーの意地のスネアドラム。今日も最高です。曲が進むにつれグランドピアノ、チェレスタへと移動。照明も少し明るくなり…。ここで私は見た。チェレスタ右手メロディでGPで左手リズムの左手を、レンズ越しのズームで見た。拍のベースもスネアの細かいリズムも全部左手1本でやってた。もちろん譜面どおりスネアドラムを弾くのは物理的に手が3本ないと無理。それをずっと鳴ってるように錯覚させて聴かせてしまうのが角野隼斗だ。先の上田の感想noteでルーパー使ってるかもなんて書いてごめんかてぃん。暗がりの中の冒頭も右手がグランドピアノに移った際も、同じ奏法で左手1本で奏でてたに違いない。この事実に鳥肌が立ち、その後の演奏はルーペを外し、照明の明るさが上がりどんどん音圧が上がり会場の熱気もマックスになる様子を引きの画角でサントリーホール全体を感じながら茫然と見てました。オーラス右で肘鉄ドン!ピアノ1台でホールをこれでもか、と鳴らす。かっこよかった凄かったー!!!

万雷の拍手スタンディングオベーション!やり切った感のお顔が清々しい。少しトークして間を置いてアップライトピアノ、かてぃんピアノに向かう。

角野隼斗:夜明けのノクターン(仮題)

聴くのは2回目。ピアノ下の間接照明がうっすらと青く照らす。角野さんが優しく浮き上がる。かてぃんピアノの囁くような左手のさざめきもしっかりと2階後方まで伝わってきました。メロディ下降しながら全体に上がっていく様はラフマニノフの光を求めて昇っていくあの感じ。(歌詞当てはめて覚えたと思ったけどやっぱり忘れた)途中に現れるフレーズはRPGの冒険者が困難があろうとも前へ進むイメージがピッタリで、やっぱりこの曲素敵だなって思った。終わり方が上田と違ったように感じたが気のせいだろうか。

数秒の静寂とため息混じりの拍手。そっとマイクを持って語り始める。ステージ上を広く歩きながら

実は、この後、重大発表があるのですが
(皆さんにはひと足早く)
ソニークラシカルインターナショナルと
ワールドワイド契約を結びまして
この秋、世界デビューする事でになりました!


……へ?!それって、、、嘘でしょーマジかーーー
どよめく会場。遅れて拍手

イギリスで年明け(だったか?)に録音してたのですが、4月にもニューヨークで録音します。今日のノクターンも入るかもいやどうかな?とにかく秋をお楽しみに!!!


ひゃー本当なんだー(感涙)
かてぃんさん本当におめでとう
ずっと応援してきて
ショパコンで世界レベルが証明されて
その後もずっとチャレンジして走り続けて
ついに世界デビューだってよ
本当にすごい事だ
おめでとう!おめでとう!おめでとう!!!

角野隼斗編曲:きらきら星変奏曲

何がなんだかわからぬまま、その後の記憶がなく、きらきら星が始まった。好きなマイナー調(3/7はFm)だけど、頭に入らないでしょーこんなん…笑笑笑。ダイナミックに変化する変奏曲、公演重ねる毎に転調の仕方や曲調のバリエーションの多さ、原曲のLevel別の進行にこだわらず時にLevelを前後させたりする構成能力…やっぱ角野隼斗は生演奏よねLiveよね。ツアーで何公演見ても毎回新鮮な感動を届けられる稀有なピアニスト。CDデビューももちろん嬉しいけどそれを名刺代わりに世界各国で演奏して回る事になるのだろう。生演奏、1回聴いただけではわからないこの人の面白さに気づいて、ついて回る世界のファンも出てくる事でしょう。しかもジャンルレスに。見つかってしまう見つかってしまうよ。少し遠い存在になっちゃうかなと一抹の淋しさも感じながらフィナーレを噛み締めました!ブラボー!!ありがとーーー!!!

凄かった。凄かったねーと友人と話す。友人は24の調によるトルコ行進曲が心に残ったみたい。2階から階段で降りる途中で巨大タペストリーがロビーに飾ってあるのに気づく。最初からあったかしら?途中で入れたかしら?(なんせ開演前、時間と余裕がなくて周りが見えておらず、1階にフラワースタンドがたくさん飾られていた事も後にフォロワーさんのPostで知る。画像のお裾分けありがとうございました)

サントリーホールの幾何学模様とステンドグラスに
映える角野さん
お写真撮るのに行列が!

時間が遅いので記念撮影は諦め、ホール出口から出ると、何か騒然としている…「号外、号外でーす」は?このシチュエーション、テレビで見るけど自身が体験はないよ…え?コンサートホール出口で?

人生初の号外を受け取る。隼斗新報…

これだから角野隼斗のファンはやめられないー
おもてなしの精神がディズニーランドなのよー

友人と高揚しつつ笑いつつ別れサントリーホールを後にする。神谷町の地下鉄駅へ向かう途中の東京タワーが今日は一段と輝きどっしりとたたずんでる気がした。
(フォロワーさんたくさん来てたと思うけど、首の痛みの問題あり即去りしてすみません。一緒に朝まで語り合いたい気持ちでしたよー)

サントリーホールから
日比谷線神谷駅へ向かう道中

そんなこんなで困難続きのKEYSサントリーホール3/7は終わってみれば本当に心に残る公演でした。行けて良かった。ありがとう。

友人と記念撮影



前半、公演前まではコンサートの週に、公演の感想は3/16(土)に書きました。実は3/16朝、寝違えたみたいになってまた頸椎症が悪化。薬を飲んでる状態でも寝てても痛い。ふりだしに戻るどころか1歩も2歩も後退です。痛いし何もできずに情けないやるせない。トイレも食事もウルトラマン並みに3分間のカラータイマーが制限時間を設ける(痛くなってくる)ので短時間で済ませて基本寝てます。テレビで録画した映画を見たりなんかする合間にこのnoteをスマホでポチポチ打ちました。寝ながら。時に右手で持って左手で。でも不思議ですね。好きな事楽しかった事を思い浮かべて書くこの時間は痛みも忘れて熱中できるみたい。推しに感謝。推し尊し!


長々と自分語りの日記なnoteを最後まで読んでくださりありがとうございました!1週間後の千穐楽、千葉松戸公演(凱旋公演)行けるかな、行きたいな…