自分の視点は敵であり味方(曲紹介#6)
今回紹介したいのは、2回目の登場で僕が一番好きなバンド、Base Ball BearがKing of StageことRHYMESTERとコラボした一曲です。
この曲自体は昔から知っていて、Base Ball Bearにハマっていた高校2年生のときにYou Tubeで観ていたことを思い出す。しかし不勉強ながらHIP HOPに全く触れたことがなかった当時の僕にはあまり刺さらなかった一曲でした。
しかし時が経ち、Creepy NutsのラジオでHIP HOPの聞き方や歌詞の楽しみ方について学び、フリースタイルダンジョンを始めとしたMCバトルで耳を慣らしていった結果、この曲がめちゃんこ刺さる一曲になりました。
この曲は2013年に発表されていますが、2020年に聞いても全く古くなくて、むしろ世相を捉えている歌詞が魅力的だと思います。
僕は丸っと宇多丸さんのバースが大好きです。
(1バース目)
自分のニブいアンテナ棚に上げて
一応映るチャンネルばっか見てて
利いた風なことだけ言うんで
満足かい?だがなんかハミ出てる
その視点
君だけに見えてるからこそ
君はそれに怯えてる
いつか誰かに貼ったレッテル
そのまんまさ 君はよく覚えてる
バースの前半部分は、SNSなどでの情報収集のことを言っているんだろうなと思います。2013年ぐらいだと、TwitterやFacebookがSNSの主流となっている時代で、人々はネットでの自己表現に対して若干”照れ”があった時代だったんじゃないかと振り返ります。なので、少し常識から外れた人を見かけたら自分のことは棚に上げて、「それはおかしい」「イキってる」「どこ向かってんの?」と、他人の自己表現に対して「ツッコむ」ような意見が主流となっています。
そのツッコんだことが自分を縛る縄となるのはこの時は知らないのです。
(2バース目)
言ってみれば
病的な気にしいばっか
そのくせ人には手厳しいばっか
まるで自分で自分縛った
みたいに動けなくなっちまった
だが、どのカットだって
描き方次第
君はどんな見方したい?
その違いこそ語り明かしたい
違いこそ分かち合いたいさ
しかし、いざ自分が自己表現をしたくなった時に、「おかしい」「イキってる」「どこに向かってんの?」が自分にブーメランのように返ってくるのです。自縄自縛で動けない、でもどこかに動かないと自爆してしまいそうな自己もいる。そんなジレンマに悩まされることになるのです。
そんな人たちに宇多丸さんは、描き方次第なんんだからお前はどうしたい?、と問いかけてくれるのです。
自分の視点で生きているやつにダサいとかそういうのは無いから、一番ダサいのは他人の視点を借りて自分の視点を作れないやつだからっていうメッセージを勝手にくみ取って、噛みしめています。
それではお聞きください。Base Ball Bearで『The Cut -feat. RHYMESTER』
聞いていただくとわかるのですが、Mummy-Dさんのバースは音が気持ち良すぎます。特に1バース目
決めろ覚悟 見極めろ角度
ミクロからマクロ 駆け抜けろ悪路
楽土は僕らの中にある
Let's C.U.T.!
ここ聞いたら絶対口ずさみたくなります。
そしてもちろん、サビかフックかわかりませんが小出さんパートもこの曲の主題をうまくまとめていて最高です。
Just cut!
そう、君の目で
見いだしなすべてを
そう、君の目で
見つめなすべてを
Let's cut! Up!
Chop! Rip! Slice!!
この世界の正体は僕らのeyes
僕はどうやっても主観でしかモノを見れないんですよね。どんなに高いとされている視点からのモノの見方を取り入れようとしても、結局は他人のモノの見方を真似した自分の視点でしかない。
だったら、他人の視点に頼ってないで、自分の目で自分の視点を掴みにいこうやっていうことをメッセージとして受け取っています。
お聞きいただいたのは、Base Ball Bearで『The Cut -feat. RHYMESTER』でした。