ゴジラマイナスワンを鑑賞した感想

 ネタバレありでつらつら書きます。

 ちなみにマイベストゴジラは子供の頃VHSが擦り切れるまで見たvsビオランテ、次点シンです。
 ワーストはFWです。絶許。

 総評としては良かった方。少なくとも「映画代と2時間損した!」みたいな気分は全くなかったので、ゴジラ映画見たーっていう満足は得られた。
 逆に言えば「マイナゴジ最高ー! わっひょいわっひょい!」みたいな熱狂を得られるほどでは無かったけれども、そこは本作が王道のゴジラ映画として製作されたが故なんだろうなと。

 ゴジラ映画の本質は反戦のメッセージ、という解釈で終戦直後の日本を舞台にしたのは巧妙な舞台設定だと思った。
 多くのものを失った状態からどうやってゴジラという災厄をやり過ごすのか? という不安や絶望が見る前からある、観客の心情もマイナスワンのところから、物資と知恵を絞り出して撃退作戦を講じる場面で希望が湧き上がるところも、この時代設定だからこそ生み出された感があった。

 とはいえとはいえ、自分が最も楽しめるゴジラ映画ってどんなものなんだろうなというのを考えた時に、やっぱ見たいのはメーサー殺獣光線車でありスーパーX2でありメカゴジラシティであって、高雄の近接砲撃も雪風と響の全力綱引きも(それはそれで熱くはあるけど)チョットチガウなのだなあ、と改めて認識した次第。

 「ゴジラ映画に人間ドラマが必要か」という話はあまりどうでもよくて、マイナスワンは本作を作るに当たって敷島も典子も橘も新生丸のみんなも絶対に必要だったよねと思う。

 典子さんの、野田さんに写真撮られた際に白黒写真がカットインして「あっ死亡フラグ…」って思わせて、その後銀座で「死ぬー!」「生き残ったー!」「やっぱ死んだー!」ってなるの、本作の好きなところの五指に入るかもしれない。
 その後電報匂わせからの生存エンドは優しい世界~と思ったけど、生き残ってないとね…救われてほしいからね…。

 救いといえば震電の脱出装置も、野田の演説が伏線になっててとても良い着地だった。橘は敷島に教えずに取り付けてんじゃないかなと思いながら見てたんだけど、ちゃんと事前説明あったので、もう一度見たらクライマックスの空戦に臨む敷島を見る目が変わりそう。
 じゃあ艇長の無線にきちんと応答しろよ~ヾ(:3ノシヾ)ノシ と思わなくもないけど(作劇的にはミスリードのためってのは分かるんだが)、生きることを覚悟したからこそ軽々しく応じることはできなかったという解釈でええんかな。

 最後のゴジラ再生、見た直後は「いかにもモンスタームービーらしい終わり方をしおって~~~」って感想だったが、7年かけて再生したゴジラが初代でまた日本に来て骨だけにされるんか? と気付いてめっちゃ腑に落ちた。初代に続くのでマイナスワン…なるほど…。
 そういえば海のパワーでゴジラを仕留めるってのは、当時の民間パワーで実践できそうな唯一の手段ってのもあるけど、やっぱ初代リスペクトよね。一方「海神作戦」ってネーミングはシンゴジっぽさある。

 シンゴジっぽさ、他には震電くわえさせた瞬間の一瞬止めとかは、オマージュというか意識なのかなって感じした。
 在来線もシンゴジ連想したけど初代の直球オマージュらしかった。なるほど。でも警報出てるのにのんきに電車動かしてるもんなの?

 被害地域に肉片残ってるってんで封鎖されてるのめっちゃvsビオランテみがあって勝手に大喜びしてた。採取された肉片を巡って争奪戦が…!(始まらない)
 震電がゴジラを相模湾に留めるために機銃バリバリ撃つのも、ありったけのミサイルとバルカン砲でゴジラを釘付けにするスーパーX2を思い出して勝手にブチ上がってた。
 vsビオランテ大好き。爆弾は飲むのに限るぜ、ゴジラさんよぉ!

 改めて思い返すと、重箱のスミみたいなツッコミはあるけど、ハッキリ「ここがよくない」「こうすればよかった」「この方がよかった」みたいなところは無くて、総じてマイナスワンという作品のためには全てが必要で、よく出来てる作品だな、という感想。
 なので、不満があるとして、それはもう「マイナスワンには望むべくもない部分」であり、無いものねだりに等しいなあ。
 結局のところ、良い作品を作っていただいたのは確かなので、シリーズファンとしてはありがたいかぎり。

 シン・ゴジラという、ある意味で呪いのような怪作の後に、マイナスワンという王道的な良作が出来上がったことは、ゴジラシリーズにとってはとても良いことと思います。
 本作を新たな基準点として、また色々なゴジラが作られていくことを願うばかり。


(11/5追記)
 寝て起きたら「あーアレはちょっとな…」というのを一個だけ思い出した。
 マイナゴジくんの熱線撃つ時の背びれギミック、あれは生物らしさが薄い、作り物然としすぎるギミックで良くなかった。破滅的な破壊が迫ってるのを表現するにも、背びれが順番に光るだけでも充分だったと思うんよ。メカゴジラがやるならかっこよ!!! ってなったかもだけど。

 マイナゴジくんは恐ろしい存在にしたかったという監督インタビューも読んだ。この辺どうだったかはゴジラ歴浅い人とか本作が初ゴジラの人とかにお任せしたい。自分にとってはアイドルみたいなものなので…銀座で暴れまくって熱線でハチャメチャ街が壊れても「やべーすげー」ってなる人種なので…。
 そんなゴジラ老害でも最初から最後まで発揮された超再生能力は「は? ヤバくない? 今作無理すぎない?」と度肝を抜かれました。最後のシーンにもつながるし、熱線の威力が高すぎて自らの体も焼けてしまうのを再生するというギミックも含めてとても良かった。

 マイナゴジを踏まえた初代ゴジのリメイクとか、ちょっと見てみたくなったなとは今ふと思った。

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