声と音、聖音オーム(AUM)を唱えてみる

マントラや発声をきちんと学んだわけではない。
しかし、とりあえず試しにやってみよう。

まず、オームを解析する。

ア(オ)→ウ(ー)→ン(厶)
音の発生→持続→消滅

「ン」は発声できない。
そのため、「厶」になるのだろうか。

それはまさに、「無(厶)」は、それ自体があるのだから本当の意味で無(ン)ではないことと同じだろう。
それは、四番目があることの暗示だ。

「ア」は口を開ける。
「ウ」は口をすぼめる。
「ン」は口を閉じる。

ここで連想できるのは、「あいうえお」。
これらの発声も試してみよう。
注意深く内を見ながら。

「あ」のとき、頭が振動する。
「い」のとき、喉が振動する。
「う」のとき、会陰が振動する。
「え」のとき、胸が振動する。
「お」のとき、腹が振動する。

リラックスしてやると感じられる。
目線にも注意を向けると、やっぱりそれぞれ対応する。

そうすると、上から順に並べると、
「あ→い→え→お→う」となって、全身が振動する。

これを同時に発生しようとするとどうなるか?
もちろん声は出せない。

すべてを言おうとすると、なにも言えなくなる。

オームとも同じではないだろうか。
でも、それが本当の「ん」ではないか。

幅を広くして、五十音で展開してみよう。

「あ」→いえお→「う」→かさたなはまやらわ→「ん」
以上で、初めと中間と終わりで、二重構造がある。

オームの「厶」とは、ま行の「う」であって、振動は一番下(会陰)。
しかし、「ン」を発声しようとすると、音は出ないが、意識は頭頂に向く。

つまり、「あ」→「う」で、身体の上から下まで振動する。
そして、「ん」で意識だけが頭頂に上る。

身体と意識を分離して、上下で調和させる。
そのとき、思考が止まり、呼吸も止まる。

さらに、四番目を考慮して考える。

「ア」の発生は、部分。
「ウ」の持続は、中間。
「ン」の消滅は、全体。
そして、それらすべてを超えた全体性(聖なる沈黙)となる。

このような構造は、霊的な実践には度々登場する。

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綱川哲郎|瞑想と対話
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