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超短編小説【BONDAGE】

BONDAGEとは、日本語で「束縛」を意味する__。

断言する!!
どんな便利な文明や科学を持っても、
「拘束」という呪縛から、逃れられない…。

愛する人。
友人。
知人。
家族。

そうだ!
誰からも、束縛されずに、生きる術を考えよう__。

山に籠るか…
「仕事がない?」自給自足で、生活すれば問題ない!
「WI-FIが届かない?」何とかなるだろう…。
「性欲どうするの?」過去の記憶で、イケるさぁ!
「人恋しくなったらどうするの?」
熊や猪が、リア友さ。

冷静に考えると___
かなり妥協することが、多いなぁ…。

他のことを考えよう。

思いきって、自分が「アンドロイド」になるか!?

全てを捨てて、A.Iと融合して、ロボットに、
生まれ変われば_____。

しかし、SF映画じゃあるまいし…
現実的に無理がある…。
例え、可能になったとしても、
サーバー等に、命令されたり、束縛される…。

結局…一緒か…。

結論_______。

人々は、「束縛」という十字架を、
一生…背負って生きて行かなければ、ならない…。

橘 隼人(たちばな はやと)は、付き合っていた、
彼女の束縛が、嫌で、別れを決意した____。

女友達と、連絡取ることや、会うことは、勿論__。
男友達ですら…同じく許されなかった…。

また、コンビニや飲食店で、女の店員と、
やり取りすることも、禁止されていた_____。

次こそは、一切「束縛しない」を条件に、
一人の女性と出会った_______。

仁科 優子(にしな ゆうこ)

半信半疑で、始めた「出逢い系アプリ」で、
知り合い、見た目は、正直…全くタイプではないが…
内面は、「優しく」、「真面目」で…

付き合って、半年が経つが…

「一切、束縛しない!!」

「このヒトだ!」と思い…
橘は、一大決心をする!!

「プロポーズ」だ!!

お洒落な、レストランを予約して、
一足早く、優子を待つ________。

本日のタメに、新しいスーツを新調した。
美容室も行って来たばかりで、
ビシッと決まっている!

元から、イケメンの橘に、更に磨きがかかり、
他の女性客の眼差しが、橘に、一点集中する。

ところで…
約束の時間が、もう十分も、過ぎている…。

几帳面な優子が、「遅れる」ことは、
まず、あり得ない。

「日付を間違えたか?」
もしくは、「店を間違えたか?」のどちらかである。

すぐに、LINEを打つも…

一向に既読にならない…。

(事故か!病気で倒れたか!)
橘に、不安がよぎる…。

店の外に出て、電話をする。
繋がるが…何度かけても、出ない…。

今度は、優子の勤めている会社に電話してみるも…
時間外のタメか?誰も出ない…。

気が引けるが…優子の実家にもあたってみる。
家には、帰って来てないみたいだ。
連絡が取れ次第、すぐに知らせて、頂けるみたいなので、店で無事を祈って、気長に待つことにした。

他のカップルは、食事を終え、どんどん帰って行く。

時刻は___夜の十時半________。
そろそろ、ラストオーダーだ…。

一向に、優子は、現れないし…
連絡も取れない…。

そこへ_____。
ボーイが、駆け寄り、こう言った。
「お連れ様、お見えになりました。」

ハッとして、思わず立ち上がり、
優子を見た!

優子の第一声が…

「ごめ~ん。確変終わんなくてさぁ…結局、閉店まで、パチンコしてた。」

「は?」
耳を疑った____________。

橘の表情が、険しくなり、口調も荒くなる___。
「パチンコしてたの…。事故に遭ったんじゃないかって…心配してたんだぞ…。」

「ごめん…ちょっとの時間潰しのつもりが…。」

「途中で連絡位できるだろう?」

「だから、ごめんてばっ~。」

「っていうか、いつパチンコなんて覚えたの?」

「この前、同僚と一緒に行ってさぁ~。その時も、勝っちゃったの!私って、パチンコ向きなのかなぁ。」

コースの前菜が届く_______。
ワインを飲むだけで、橘は、一切、食べようとしなかった…。

それを見て、優子が「食べないの?」の問いかけに、
目を背けて、応えた。「食欲失せた…。」

結局____メインディッシュも、一口も食べず…
最後まで、橘は、ふてくされていた______。

優子が、切り出す。
「ところで、今日は、何のお話だったの?」

深いため息をついて、こう答えた。
「プロポーズしようと思ったんだけど…結婚する気…無くなった…。」

優子が、大声で叫ぶ_______。
「エエーーーーー!!プロポーズして!して!金輪際、パチンコ一切やらないから…ねっ!?」

「っていうか…キャラ変わり過ぎじゃね?今まで、大人しくて、控えめだったのに…。」

「そお?」

「とにかく、プロポーズは、保留で…。」

優子は、涙目で、寂しそうに言った。
「わかった…。」
それでも、ちゃっかり橘の分のデザートも、
ペロッと平らげた。

あれから____数ヶ月が経過_______。

優子は、約束通り、パチンコを辞め、
今まで、みたいに戻った。

晴れて、プロポーズして、
無事、めでたく結ばれた_________。

しかし、結婚生活、二ヶ月目のある日…。

仕事を辞め、主婦になった優子が、豹変する。
口癖は、「女社員と、口聞いたら許さないからね!」

「仕事の話で、することは、仕方ないだろう?」

「ダメーーーーー!!」

「ダメって…。」

「それと、門限一秒でも、遅れたら…マジでアソコ切るから!」

「残業は、しょうがないだろう…。」

「ダメーーーーー!!」

元カノより、酷い束縛を受けた橘は、
胃を抑えながら、満員電車に揺られて、
今日も、会社に足を運んだ。

そして、同僚に愚痴を溢す________。

「そう言えば、人生だって、長い月日を生きなきゃいけない、束縛観念だよなぁ…。」

この物語はフィクションです。

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