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行間を訓む vol.4 ~ 星街すいせい 「Stellar Stellar」 編 (2)~

Review

 夜を謳い星の如く現れ降り注ぐ我らがヒーロー、すいちゃん。今回も引き続き徒然なるままに筆者主観で歌詞の内容から訓み解いて参ります。
 前回の記事では、自分(すいちゃん)がなりたかったものへの自覚と決意が込められているのではないか…というところで終えていたと思いますので、その続きから参ります。今回の記事が初見の方は、前回の記事を読んで頂くとよりわかりやすいと思いますので併せてそちらもお読みいただければと思います。▼

歌詞訓み(§3)

 モノローグの第一章が終わり、第二章ともとれる幕開けとなる箇所。

歌詞§3。歌詞に大きな変化はないが、随所に細かな変化が。

なんて、ありふれた話なんだ
理想だけ書き連ねていた
ノートの隅に眠るほんのワンシーンだ

 ノートの隅に描かれて表(外・他)に出ることもないような、理想ばかり並べてしまう、日常のごくありふれた風景(ワンシーン/カット)。そんな、なんともありふれたお話だけれど聴いて欲しい。

――きっとあの星も泣いてるんだ
明日なんて来ないままでいて―――

 恐らく私と同じくあの星も泣いているだろう。明日(=朝)など来ないままでいいのに…。それでもまた日は昇る。それが世界の摂理なのだから…。

しなやかかつ伸びのある歌声で歌い、表情と動作での訴えかけもエモなシーン。

その手を伸ばして 誰かに届くように
本当に大切なものは目に見えないみたいなんだ

 それでも誰かに届くように手を伸ばしてみる。雲の中で手をかき回すように、掴めたのか掴んだのかすらわからないのと同じで、どうやら本当に大切なものは目に見えないらしいから。
 自分が行動してみてもなお、大切なものの存在については探そうと思うと逆に見つからない事が多い。捜し物には具体的な形があると思い込んでしまいがちだけど、ようやくなんとなく手がかりとして手に入った情報は"どうやら"目には見えないらしいという情報だけ。

そうさ僕は夜を歌うよ Stellar Stellar
ありのまま考えないで 今宵音楽はきっときっと止まない
 
自分は自分らしく、星のようにありのままで"夜"を歌って"謳歌"しよう、むつかしいことは考えず、ありのままに。そうすれば、はかなく切ない願いかもしれないが音楽が止むことはないだろうと信じたい。きっと。

歌い、輝き、降り注ぐ限り。きっと。


瞳には意志が宿り、鮮やかな青色に。
"あえかなヒロイン"ではなく"救いに行くヒーロー"の眼差し。

そうだ僕がずっとなりたかったのは
あえかなヒロインじゃないさ
救いに行くヒーローだ
 
注目したいのは、最初の小節では「"待ってる"シンデレラ」と表現していた歌詞がここでは「"あえかな"ヒロイン」という若干抽象的な表現に変わっていること。聞き慣れない言葉だったので調べてみると…(以下は辞書より抜粋)
①触れれば落ちるような様、危なっかしい様子
②かよわく、なよなよした様、きゃしゃな様  
↳シンデレラ=ヒロイン=きゃしゃでかよわい=あえかな…といった具合に
 僕(私)がずっとなりたかったのは、かよわくきゃしゃなヒロイン(助けを待つ=受動的)ではなく、姫を助け救いに行くヒーロー(自ら行動する=能動的)なんだ。

夢見がちなおとぎ話 おとぎ話
 ここまでの話は全て夢見がちな、ノートの片隅に描かれて日の目を見ず眠ってしまう理想ばかり書き連ねたおとぎ話のようなストーリーかもしれない。そう、おとぎ話のようにキラキラ瞬いている。

歌詞訓み(§4)

 最終章に向かっていくパート。サビの歌詞に若干の変化をもたせ再度歌唱される。

歌詞§4。ラストスパート。

そうさ僕は夜を歌うよ Stellar Stellar
ありったけの輝きで 今宵音楽はずっとずっと止まない
そうさ僕は愛を歌うよ Stellar Stellar
世界、宇宙の真ん中で 今宵音楽はきっときっと止まない
 
この小節では3行目の「夜」が「愛」に代わり、4行目の「ありったけの輝き」が「世界、宇宙の真ん中で」に代わっている点に注目したい。
 ここまで、すいちゃんは"王子様"や"ヒーロー"などの歌詞から推察するに自分が世界にまわされる(脇役的)のではなく、自分が世界の中心(主人公)であり、世界の中心=宇宙の真ん中という形で自分を俯瞰して表現しているような気がする。

そうだ僕がずっとなりたかったのは
待ってるシンデレラじゃないさ
迎えに行く王子様だ
だって僕は星だから

 この小節は§2の最後の箇所と同じ内容の繰り返しとなっており、星として輝くすいちゃんの矜恃(自分の能力を信じて抱く誇り・プライド)が綴られている部分だと個人的には感じている。

私は夜空の星。ありったけの輝きで音楽を止ませない一番星。

そうだ僕は星だった
Stellar Stellar

 ここに来てぽつりと気がついたように"そうだ~だった"と自覚を帯びた言い方で、自分が夜空に瞬く"星"そのものであることの自覚を得た上で改めて自分のいる世界である夜空を見上げているようなイメージ。

降り注ぐ星のカーテンをバックに佇む姿は正にヒーロー。

 曲のタイトルである"Stellar Stellar"=星々(天)を仰いで、自ら夜空へと漕ぎ出そうとしている様子であるように思える。


エピローグ

アイドル・星街すいせいはかっこよくかわいい王子様。

 お疲れ様でございました。やはりすいちゃんの歌唱力とかっこよさには脱帽です…。強い意志を持って歌い上げ、自分の進むべき道を見つけてしっかり前を向いて歩んでいるように見えます。
 ところで話は逸れますが、同じくホロライブEN1期生(Myth)・小鳥遊キアラさんの生放送でのトーク企画「HOLOTALK」企画(2021.04.18 配信分)にてゲストで呼ばれたすいちゃんは『思い入れのある曲はどれ?それはなぜ?』という質問に対して『天球、彗星は夜を跨いで』を挙げていました。この配信の回の段階では今ご紹介をした「Stellar Stellar」は公表される前の段階だったこともあるので、初見では「この曲なんだ!以外だ!」という印象でした。しかしながら深い理由があり、すいちゃんがVtuberを辞めようと思っていた時期に出した一曲なんだとか。その一言があると、歌詞の意味合いなども訓みがいがありそうですね…
 すいちゃんが諦めないで踏みとどまっていてくれていたこと。人知れず悩んでいたこと。歌の歌詞においても節々で表現されていたように思います。しかし自分の存在価値をしっかりと見出し、夜空で『一際』いや『ありったけ』の輝きを放ってくれているからこそ、多くのヒット曲を生み出して人々を魅了してやまない星=Stellarとしてこの地球(ほし)に現れてくれたこと、それを観測するファンである「星詠み」が集まったこと。
 奇跡の連鎖反応が起きて紡ぎ出される新たなステージとストーリーはまだまだ終わらない ――― 。と言うより、目が離せませんね。


「だって君は星だから。」

星街すいせいTwitter:https://twitter.com/suisei_hosimati

 ぜひ皆様も今宵はすいちゃんのチャンネルで他の曲も聴いてすいちゃんのありったけの輝きを「観測」してみてはいかがでしょうか。

では、また次の「行間を訓む」でお会い致しましょう。👋
To Be Continued…


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