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行間を訓む vol.3 ~星街すいせい 「Stellar Stellar」 編 (1)~

プロローグ

 誠に勝手ながら筆者が行間を訓(よ)むシリーズ、なんとか続けられて(?)おります。5月も半ば、まもなく梅雨に入ろうかという今日この頃。皆様いかがお過ごしでしょうか。
 さて、今回は"すいちゃん"ことホロライブプロダクション所属、"彗星の如く現れたスターの原石!アイドルVtuber" こと "星街すいせい"さんのオリジナル曲「Stellar Stellar (ステラ ステラ)」にスポットを当てさせて頂くことと致します。「すいちゃんは~~~?」 \今日もかわいい~~~!/
 
本曲を選ばせて頂いた主な理由は、多くの人の心を掴んでおり、長く愛されてそれが再生数となって表れている曲であることと、「なぜこんなにも愛されているのか?」という純粋で単純な興味からです。
 星街すいせいさん(以下は愛称のすいちゃんとします)は、2018.03.22 に当時は完全に個人勢としてのVtuberとしてデビュー、(その後の経歴は割愛します)2019.05.19にホロライブ内に設立された音楽活動に特化した”イノナカミュージック”というレーベルに所属し正式に企業勢へ、そして同年12.01に現在所属のホロライブへ転籍され現在に至ります。ファンネームは"星詠(よ)み"
 元々音楽に特化したレーベルに所属していたこともあり、配信特化系の"Vtuber"というよりは歌中心の"Vsinger"といった印象が強い感じがあります。しかしながらすいちゃんは歌もさることながらゲームも上手だし、地上波のTVバラエティにも出演されるというマルチタレントっぷり。代表格はパズルゲーム「テトリス99」やFPSの「APEX」などで、どれもすごくお上手だし、っょぃ。(尚、語彙力はタヒ)

Stellar Stellar について

 件の「Stellar Stellar」を簡単にではありますが紹介致しますと、2021.09.29に発売されたすいちゃんの1stアルバム「Still Still Stellar」に収録されたオリジナル曲で、YoutubeにMVが投稿されたのは2021.10.08 のこと。その後 2022.05.15 に1000万再生を突破。投稿から1年も経ってないのにも関わらず怒濤の勢いで、まだまだ伸び続けております。いや、改めて数字を見るとすごいな…。どうなってんの…?バグって…いや本当にバズってる…それも神がかり的な勢いで。
 歌い出しのアカペラからいきなりギュッと心を掴まれるような感覚でスゥーッと引き寄せられ、気がつけば最後まで聴いてしまうような魅力的かつ不思議なパワーを持った曲です。理論理屈抜きで、皆様も是非一度聴いてこの感覚を味わって頂きたいものです…。(再生はリンクからどうぞ)▼

歌詞を"読んで"みて

 まず曲を聴きその歌声と歌詞に魅了された後、次に歌詞を目で見て"読んで"みると、私(筆者)は頭を抱えてしまいました。なぜかというと、単純に"読む"(読み上げる・黙読する・音読する)分には簡単かもしれませんが、歌詞の内容(行間)について"訓む"(歌詞等に込められた意味を考察したり)という行為をしようとするとこれが中々に難しい代物だったからです。
 例を挙げれば曲の冒頭「だって僕は星だから」という部分からしてもうゲームで言えばいきなり初めの街にラスボス置かれちゃったという感覚さえしてしまいます。この時点で私は『「だって」の部分はどこに掛かるのか!?』・『「星だから」と定義する部分はどこに!?』といった具合の狼狽様。起承転結で言うと"起"・"承"・"転"を飛ばしていきなりオチの"結"を持ってこられ、頭を鈍器でガーンと殴られたような感じです。(言い過ぎ?) 
 私がやろうとしていることは言わば博物館や水族館に展示されている生き物を来館者と同じように見て回った後に「ではその生き物の生息地に行って実際に捕まえて観察や解剖をしてみよう」といった一連の動きに似ているような気がしています。
 ただ見るだけでなく、足を運んで(無論私は運んでないですが)現地へ行って実際に生の"モノ"と対峙して"観察する"と、ただ"見る"だけでわからなかった側面や生態が判ったりという具合です。ひとまず出来るだけ頑張ってみます。

歌詞訓み(§1)

 色々話したいことをグッと抑えて、まずは歌詞を並べてみる。
※ご注意※
 例によって歌詞のセクション(部分)分け及び内容の解釈についてはあくまで筆者主観であり、人によっては解釈が合わない場合もありますこと、ご了承下さい。

歌詞§1。冒頭なのに拾う要素が多い。

いきなり訓めずッ…!

だって僕は星だから Stellar Stellar
 (↖冒頭早速で申し訳ありませんがこの時点では情報が足りない為後程訓む形にさせて頂きます。)
 いきなりではあるが「だって」=「なぜかというと」ともとれる接続詞で
始まり、「星だから」と結論づけてしまっている。後に出てくるサビの部分と同じであるため、恐らく訓み進めていく先に答えはあると仮定し、ここでは一旦訓まずに先に進むこととし、後程訓み直すことにする。
 ちなみにStellar(ステラ)=ラテン語に由来しており、英語やイタリア語では「星・惑星・星光」を意味する名詞とされていることだけここに羅列をしておく。

MV冒頭一節の一枚。正直めちゃくちゃかっこいい。
冒頭からアカペラでこんなん披露されたら心鷲づかみやでぇ…(畏怖

心中での葛藤

きっと君はもう気づいていた 僕の心の奥で描いた
それがこれから話す陳腐なモノローグさ ──
 
これから僕(私)が話す、心の奥で描いたありふれていてつまらない(陳腐)な心の呟き(モノローグ)に、きっと(=Maybe)恐らく(多分)あなたは気付いていたのでしょう。

ずっと言えない言葉があった 壊せない壁があったんだ ずっとさ
 
自分の力で打ち破る(砕く・壊す)事が出来ない障害・障壁(壁)が在ったが故に、自分の心や口から取り出して表に出すことさえ躊躇われる様な「言葉」がずうっと(途方も無い長い時間)在ったから今まで語れずにいた。「~んだ」で自分や他に言い聞かせる印象を強めている。

「ずっとさ」の部分で物憂げ且つ儚い目線を虚空に"一瞬だけ"投げかける。
すいちゃんの表情がここではじめて若干歪んだのである。
「どうしたんだろう?」と思わせるような表情に心が切なく\キュッ/と絞まる感覚がする。

ふっと香り立つ朝の匂いが どうしようもなく憎らしくて
部屋の隅で膝を抱えて震えていた

 ふっと(不意に)朝がやってくる匂いが香り立ちはじめて(朝の足音が聞こえ始めた段階)自分の「鼻」という器官を通じて入ってくるが、自分では避けようにもどうすることも出来ない。いらいらして憎らしくて振り払おうとしてもできない(明けない夜は無い)から余計に。途方も無い長い時間格闘してきたがしかし、朝の匂いから逃れようとする度に力なく情けなく部屋の隅で膝を抱えて震えていることしかできなかった。

太陽なんていらないから 明けないでいて――
 絶対的な光・陽の存在である太陽に向かって「太陽なんていらない」と批判をした上で「明けないでいて」と振り絞るように"切に願っている"感情が読み取れる。空欄の"――"の部分に"お願いだから・頼むから"という一言さえ見え隠れしているような気もする。

 ここまでの情報で推測をすると恐らく、この物語の主人公(歌い手であり表現者であるすいちゃん)は長らく夜の闇にいて、「太陽」や「朝」に代表される自分と対局にあるものとの間にある壁の際で人知れず葛藤を抱えて苦しんできた様子が描かれているようにも見受けられる。でも、それはリスナーであるあなたも既にご存知かもしれない…といった具合だろうか。

歌詞訓み(§2)

歌詞§2。音楽もサビにかけての盛り上がりを魅せる箇所。

"自ら"手を伸ばしてみる

その手を伸ばして 誰かに届くように
僕だって君と同じ 特別なんかじゃないから

 頼りなく力ない手かもしれないが、その手を頑張って伸ばして誰かの心に届くように背伸び(努力)をして、一生懸命向き合う。僕(私)だって君(あなた)と同じ(一緒)で特別(=Special)な存在なわけではないのだから、皆と同じように悩んで苦しんで葛藤して、もがいていくなかで"手を伸ばす"ことで手がかりを引き寄せ(手繰り寄せ)ようとしている。

"夜"に生きてみよう

そうさ僕は夜を歌うよStellar Stellar
ありったけの輝きで 今宵音楽はずっとずっと止まない

 僕(私)は太陽が出ている「昼(=自分側の対局)」ではなく「夜(=自分側に在るもの)」を歌い語らう。つまり自分のステージ(土台・土壌)で持ち味を生かして夜空に浮かぶ"星=Stellar"となって。自分が持つありったけの輝きを持って降り注ぐ。今晩(夜の間)は音楽はずっと止むことはない、なぜならありったけの力(=全力)で夜空に瞬いて降り注いでみせるから。"すいせい(彗星)"として、時には瞬く"星"として、時には降り注ぐ"流れ星"となって。

サビ部分切り抜き。
冒頭のモノローグではPCの画面からの歌唱だったが、ついに現実(リアル)に降り立ち、
文字通り地上に"降り注いで"来た。

そうだ僕がずっとなりたかったのは
待ってるシンデレラじゃないさ 迎えに行く王子様だ

 「そうだ」という自覚が湧いてきたニュアンスで語り初め、僕(私)はガラスの靴を持って家まで迎えに来る王子様を待つようなヒロインとしてのシンデレラ(=憧れの対象)ではなく、夜空に降り注いでみんな(シンデレラ=リスナー/まだ見ぬ星詠み)を迎え・助けに行く王子様(=ヒーロー/誰かの心の支え)になりたかったんだ。そういえばすいちゃんの頭にはクラウン(王冠)があるんだよなぁ…。

頭に輝くクラウン。王子様。

だって僕は星だから
 なぜかというと僕(私)は他でもない"星"(=昼間も実は日の光のお陰で目に見えないだけであり存在しているのだが、本領を発揮するのは夜になってから。太陽から受け吸収した光を夜に全力で反射してまばゆく光って地上に降り注ぐ)なのだから。
 曲の冒頭の投げかけをやっとのことで伏線回収といったところだろうか。いろいろ自分(ここでは歌い手であるすいちゃん)は葛藤をしてきたが、太陽が出ている昼間の側でまばゆく光ることが難しいのであれば、"星"として自分が持つありったけの輝きを放って夜空に君臨する"一番星"になってやろう。というすいちゃんの心意気のようなものが感じられる…筆者はそんな気がしている。

今回はここまで!

 いかがでしたでしょうか?すいちゃんは様々な曲を歌っておられますが、私の中で"Stellar Stellar"は他の追随を許さぬレベルで飛び抜けているといった印象です。同時に"訓み解き"の難しさも中々なものでした…。
 他にもアルバムに収録されている曲やカバー曲など多数投稿されておりますのでご興味ある方は是非ご本人のチャンネルで視てみて下さい!▼

星街すいせい Twitter:https://twitter.com/suisei_hosimati


―――では、この続きはまた次回の"行間を訓む"でお会い致しましょう!👋

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