美食家に学ぶ、お茶漬けに合うお茶と具の組み合わせとは?
慌ただしい朝ごはんやリモートワークの合間の昼ごはん、なるべく消化のいいものを食べたい夜食など、お茶漬けはどんなシーンでも簡単に食べられますよね。忙しい現代人を助けてくれるお茶漬けは、「日本のファストフード」とも呼ばれています。
このお茶漬けですが、お茶ではなく、お茶漬けの素にお湯をかけている人が多いかと思います。でもグルメな人がお茶漬けに煎茶をかけていたら、ちょっと真似してみようかなという気になりませんか?
お茶漬けに煎茶をかけるよう勧めているのは、魯山人(ろさんじん)という料理人かつ陶芸家でも美食家でもあった人です。彼は料理を極め、お皿から自作するほど食に強いこだわりを持っていました。
その魯山人が、なんとお茶漬けにフィーチャーした著作も残していたのです...!
そこで今回は、魯山人オススメの具とお茶の組み合わせを実際に試していきます。合わせて、魯山人が勧めていない具とお茶の相性もこちらで調べました!
お茶漬けの素があってもなくても、お茶と具材さえあれば作れる方法をご紹介しています。まずは冷蔵庫の中にあるものを目次から探してみてくださいね!
塩鮭のお茶漬け
魯山人イチオシの組み合わせが「鮭×煎茶」です。魯山人の言う通り、鮭の皮もご飯に載せてみました。熱いお茶をかけることがポイントのようです。
お茶漬けの素などの味を足さなくても、充分な塩気と適度な油分を加えてくれる鮭。特選釜炒り煎茶の旨味と合わさり、鮭とお茶だけで味が完成していました。確かに美味しいです!
マグロのお茶漬け
↑ご飯の量によってオススメのお茶が変わるのは面白いですね。ご飯が多めだったので三熟番茶をかけました。
味付けとして、先にマグロに醤油をかけておいてからお茶をかけるようです。マグロに熱いお茶をかけると、マグロが少し白っぽくなり、写真のようにお茶が少し濁ります。しかし魯山人曰く、マグロを熱しすぎては「野暮」であるとのこと。奥が深い...!
納豆のお茶漬け
ご飯との相性が抜群なのは明らかなのに、意外とお茶漬けにしたことがない納豆。熱いご飯を使うのがオススメとのことなので、冷やご飯の場合もよくチンしてから食べましょう。ほうじ茶などでも良さそうですが、魯山人の言う通り煎茶をかけてみます。
粘りがお茶で流されサラサラとしており、納豆の新たな側面が見られました...!
ネバネバがないことで、逆に納豆そのものの風味や粒感を感じやすいです。付属のタレとからしで味つけが完成するのも嬉しいですね。
天ぷらのお茶漬け
魯山人いわく、揚げたてはもちろん、昨日の残りのような天ぷらを美味しく食べられるとのこと!
確かに、再加熱してもサクサクに戻らないような、少し時間が経ってしまった揚げ物にもぴったりですね。
小エビのかき揚げに 特選釜炒り煎茶を合わせてみました(写真はお茶をかける前)。衣の油がお茶に染み出して、ただサラサラ食べられるだけでなく、濃厚さと満足感がアップしています...!番茶やほうじ茶を使うとまた違った味わいになりそうです。
ししとうの佃煮のお茶漬け
魯山人のオススメは全10種類あるのですが、現在文献で確認できなかったのがししとうの佃煮です。ひとまず佃煮を作って試してみました!
↑こちらはししとうの緑色が残るぐらいの薄さです。もう少し濃い味にしてみるなど、ご家庭の佃煮レシピでも試してみてください!
見た目は控えめですが、ししとうを噛んだ時に味が染み出し美味しいです!
辛いししとうの場合も、お茶漬けの水分で緩和されてちょうどよい味に。こちらは佃煮そのままで食べるよりも、お茶漬けに入っているほうがしっくりきます...!
梅干しのお茶漬け
ここからは、本に載っていなかったお茶漬けの具をご紹介します!
煎茶に梅を入れる飲み方もありますし、この組み合わせはもう間違いないですね。梅干し自体の塩気があるので調味料は足さず、薬味を足してみました。番茶やほうじ茶を使っても、おいしくいただけます。
鯛のお茶漬け
白身魚の中でも特に臭みや油が少なく、使うお茶を選びませんでした!
クセがないため桜の塩漬けを載せたり塩昆布を載せたり、アレンジも自在です。過去に筆者が試した中では、ルイボスティーとの相性もよかったです!無糖で香料不使用の和紅茶なども、新鮮な組み合わせです。
カツオのたたきのお茶漬け
お刺身と焼き魚の中間とも言える、カツオのたたきに三熟番茶をかけてみました!
熱いお茶をかけたことで臭みが消えつつ、表面の焦げ目と番茶の香ばしさが自然に混ざり合っています。
炙った魚やお肉など、焦げ目がついている具はひとまず三熟番茶をかけてみてもいいかもしれませんね。番茶であれば、薬味で添えたおろし生姜などが溶け込んでも美味しいです。
トンカツのお茶漬け
天ぷらのお茶漬けがオススメなら、カツもいけるのでは?と思い試してみました!
カツの下に三つ葉を敷いてみると、(卵がなくても)カツ丼のような味に。お肉に塩胡椒などの下味がついているため、衣の油と塩気がお茶に染み出して、その他の調味料がなくても美味しいです。
特選釜炒り煎茶と和烏龍茶で試してみましたが、お茶の渋みには油っこさを軽減する効果があると言われており、揚げ物との相性は抜群です。特に烏龍茶は油脂を乳化する性質があり、口をさっぱりさせやすい効果もあるとされています。
お茶で柔らかくなったお米が消化にもよく、もしかしてこの世で最も身体に負担がかからないカツ丼(?)と言えるのではないでしょうか...!
ちなみに、ヒレカツでもできました笑
食べきれなかった揚げ物などを、翌日も温かく美味しくいただけますね!
新生活にお茶とお茶漬けを!
他にも、魯山人は塩昆布や車海老、ハモや穴子、ウナギのお茶漬けなども勧めています。検証するまでもなく、お茶との相性がよさそうですね...!
お茶をかけただけでは塩気が足りない場合は、醤油か塩、特に薬味を足してみてください。特にネギやシソ、パクチーなど香味野菜はどの具材にも合いますよ!
もちろん忙しいときなどは、お茶漬けの素と具とお茶だけでも簡単に味を整えられます。
何も調味料を足さなくてよかったのは、塩鮭やトンカツなど、具にしっかり塩味がついていて、かつ油分が含まれている具材でした。お茶漬けに油分があると美味しく感じるなんて意外ですよね。揚げ物や油分の多いものなど、お茶漬けに載せる具のバリエーションも広がりそうですね!
仕事しながら飲むのはもちろん、時に「ファストフード」としても生活に寄り添うお茶。この4月から新生活が始まった人もそうでない人も、お茶をうまく取り入れていきましょう!
W:矢島愛子
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