採用・転職のゴールってどこ?
こんにちは、つなぐ代表の田熊です。
「ミスマッチをなくす」ことを目標に、採用支援・SNSブランディングの支援をしています。
担当している企業様へ、内定辞退のご報告。
採用支援に従事してきた5年半で、一番気の重い仕事がこれです。
選考にかかる期間は、平均すると1ヶ月半。書類選考・一次面接・最終面接・内定通知。関わっていただいた人事、管理職、役員の方々。すべての努力が水の泡になる報告をしなければならない。
だから毎回、メールを送信したらすぐに電話をしていました。
落胆されることもあれば、時には激怒されて、直接上層部へ謝罪に伺うこともありました。
「もっと志向性のマッチする方をご紹介できていれば…」
「もっと魅力を伝えることができれば…」
と反省することばかりです。
それくらい、心がしんどくなる仕事です。
ただ、今までの辞退報告のなかで、わたしの現在の採用支援の考え方にもつながっている、大きな気づきを頂いた1件があります。
今日はその件について紹介させていただきます。
その求人は、開発職の求人でした。ただ、市場には経験されている方が少ないニッチな製品ということもあり、ターゲットを若手ポテンシャル層に切り替えていただき、候補者を探していました。
そして見つかった方が、企業が求める基礎知識を学生時代に身につけられたものの、社会人になってからは開発職に就けず、開発職へのキャリアチェンジを希望されている若手の方。まさにターゲットとドンピシャでした。
選考もトントン拍子で進み、人事の方からも「よくこんな素敵な方を見つけてきてくれましたね!」と絶賛のご評価。無事に内定となられました。
ご本人も、「やりたい仕事ができそう!」「社内の方々の雰囲気もすごくいい」と前向きなコメント。内定通知のタイミングで、よし、これはいける!と思い、先方に温度感を伝えるためにお電話しました。
すると、意外にも人事の方から”オファー面談”をしたいと相談を頂いたのです。
”オファー面談”とは、内定後に行われる、候補者と企業のすり合わせのための面談のことで、”条件面談”と呼ばれることもあります。どちらかというと、企業側が「もっと候補者の意欲を上げていきたい」ときや、候補者が「まだ不安があるので、企業と接点を持ちたい」ときに実施することが多いもの。
今回のように、双方の想いが前向きなケースでは、実施しないことの方がほとんどです。
「今回はオファー面談しなくても、大丈夫そうですよ?」と思わず聞いてしまいました。
すると、人事の方は理由について、こう答えてくれたんです。
「たしかに、前向きに考えてくださっている印象は、面接でも伝わってきました。ただ、もしかしたら候補者さんが描いている仕事のイメージが、キレイすぎるかもしれないんです。入ってもらったら、泥臭い仕事もやってもらわなきゃいけない。将来この事業を引っ張ってくれる人を求めているので、そこにギャップが無いようにしたいんです。」
その答えを聞いた瞬間、自分の考えの浅はかさを猛省しました。
採用支援は、採用/入社がゴールではない。
候補者が入社した企業に定着し、活躍すること。
そして企業の事業が発展すること。
それが最終のゴールであり、追求しなきゃいけないことだった。
毎週の朝礼で、唱えている企業理念に書いてあることじゃないか。
そして、対面でのオファー面談を実施。
結果、ご本人の描いていたイメージとギャップがあることがわかり、その方は他社の内定を選ばれ、辞退となりました。
でも、報告のお電話をした時にも「残念ですけど、悔いはないです。逆に良かったかもしれませんね。本当に素敵な方でした。次もお願いしますよ田熊さん。」と清々しい声色で、激励の言葉を頂きました。
それ以降、ほんとにミスマッチはないか。オファー面談で確認する必要はないか。最後まで気を抜かずに支援することを心がけられるようになりました。
コロナ以降、採用活動はWeb面接が主流になりました。そしてコロナ禍が明けた現在も、その便利さから継続されている企業が多いと思います。
確かに、調整もしやすくスピード感もある。
Web面接のメリットは、非常に大きいと感じています。
ただ、採用がゴールでも、転職がゴールでもないはずです。
もし、少しでも違和感が残っていたら、ゼッタイに放置しないでほしい。
ミスマッチで後悔する人が少しでも減ることを願っています。
採用する企業と、就職・転職する個人、
双方の想いが重なる採用支援を、これからも追求していきます。