心が喜ぶ生き方へ:越境学習で見つけた本当の自分
私は幸せ者だ。 それなりの学歴もあるし、大企業で管理職にもなった。それなりに小利口で、資格やスキルもあり、都内の一軒家に住み、家族も外車もそこそこの貯蓄もある。職場の同僚もいい人ばかりだ。周りから見れば、幸せな人生を歩んでいるように見えるし、実際に幸せだと思っていた。
でも、どこか違う。 これが本当に自分が求めているものなのか、私らしい生き方なのか、疑問を抱いていた。頭では「幸せだ」と言い聞かせているが、心はもっと自由になりたくて、悲鳴を上げていた。しかし、今の「幸せそうな自分」を手放すのが怖かったのだ。
目の前に提示された目標にがむしゃらに向き合い、「どうすれば成果を出せるのか」「どうすれば認められるのか」「出世すればもっと幸せになるのか」ばかりを考えていた。その結果、自分が空っぽであることに気づいてしまった。
そんな私が、偶然参加することになった越境学習プログラム。 知らない土地に一人で行くワクワク感、事前に調べたことの仮説検証、相手の気持ちを深く知るためのインタビュー、現地での気づきをノートにまとめる作業、そして参加後の内省と自己開示。その一連の流れで、誰からも指示されていないのに、自ら動いていた自分に気づいた。
それを他の参加者に共有したところ、私が感じたワクワクが、他の人にとっては当たり前ではないことを知った。初めての場所で、初めての人たちと交流する中で、まるで鏡を見るように自分自身を見つめ直すことができた。私は知らない土地で新しい人と出会うことが大好きだということ、フィールドワークや人の気持ちを深掘りすることに強い関心を持っていることを知った。そして、今の仕事が他社から見れば価値があり、私の使っているツールや知識も当たり前ではないことに気づいた。
自分の強みが明確になるにつれて、 困っている人を助けたいという気持ちが芽生えた。自分が満たされると、他人を満たしたいという感情が生まれるのだと実感した。
私は、大企業の管理職という安定した肩書を手放すことを決意した。これからは、越境学習を通じて、自分らしく生きる人を増やしていきたい。ただし、他人の期待に応えるだけでなく、自分が心地よい方法で、お互いが幸せになる場を作りたい。頭で考え抜いた「幸せ」ではなく、心が喜ぶ人生を、みんなにも送ってほしいのだ。