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ヒノキのこと

ヒノキ(桧、檜)
ヒノキ科ヒノキ属
その昔、日本書紀にはスサノオノミコトのお話の中に

髭を抜いて放つと、これがスギの木になった。
胸の毛を抜いて放つと、ヒノキになった。
尻の毛はマキの木になった。
眉の毛はクスノキになった。

そして、

スギとクスノキ、この二つの木は船をつくるのによい。
ヒノキは宮をつくる木によい。
マキは現世の国民の寝棺を造るのによい。
そのための沢山の種子を皆播こう。

と言う内容があります。
ヒノキという名前の由来は、古代において火起こしに使われていたことから『火の木』…尊く最高のものであることを表す“日“から『日の木』
と言われている。

ヒノキの特徴としては、樹木の状態では高さ30mほどに成長する常緑針葉樹。生育環境は温暖地域で本州、四国、九州に生育。北限は福島県とされています。

材木の状態では、辺材は白く光沢があり、心材では淡いピンク色をし、高貴な芳香があります。この芳香が虫を寄せ付けず防虫効果があると言われており、油分が多く含まれ抽出するとアロマオイルとしても利用されています。
古くから寺社や住宅に柱材として使われてきており、伐採してから200年間は強度が増し、その後1000年かけて徐々に弱くなっていくとされ、奈良県の法隆寺の五重塔は建立後1300年が経っていますが、現代でも伐採時と比べても少し弱くなっている程度の強度があることとなります。

法隆寺の五重塔の心柱は一説によると、樹齢約340年のヒノキを伐採後100年間保管したのち使用されたとの研究もあり、諸説わかれるほど奥が深い材木です。法隆寺に関わっている宮大工の方は『1300年が経過してもヒノキを削れば良い香りがするし、材木として使用することもできる』とも言われています。

ヒノキにはさまざまな効用があり、抗菌効果、防虫効果、消臭効果、リラックス効果などが挙げられます。

・抗菌効果としては、ヒノキに含まれるαカジノールという成分によって菌の繁殖を抑える効果があり、ヒノキチオールやヒノキオールは黄色ブドウ球菌などの抗生物質に耐性のある病原菌に対しても殺菌効果がある。

・防虫効果としては、αカジノールやヒノキオールによってシロアリやダニを防ぐ効果がある。

・消臭効果としては、ヒノキの精油は一定のアンモニア臭を90%以上も消してしまうという実験結果もあり、シックハウス症候群の原因の一種であるホルムアルデヒドを吸着し、その濃度を低減させる働きが高いことでも知られている。

・リラックス効果としては、香り成分の一つであるαピネンを吸入することによって副交感神経が優位となり、リラックス状態がもたらされることが実証されている。

これだけの効果がヒノキに秘められています。
そして、ヒノキに限らず内装材による木材は影響があり、木視率と言う言葉で表されます。木視率とは、屋内に立って周りを見渡したときに見える木材の割合をいい、40〜50%あると安らぎ感が感じられるそうです。学校建築においてはさまざまなデータが報告されており、健康や精神面で木が見える内装によって効果が示されてる点も挙げられます。

三重県では古くから尾鷲ヒノキがその名を知られており、奈良県の吉野スギ、静岡県の天竜スギとともに日本三大人工美林と言われており、その昔は江戸時代から造林が行われてきたようです。


参考:日本書紀
   日本木材総合情報センター
   三重県

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