14「マスク着用」と「妊娠中絶」に反対するおじさんたち
えいごのせんせい ゆこまりラジオ Tokyo x US
Recorded on October 13th, 2021
ラジオに簡単な注釈を入れるつもりで
書き始めましたが、
気がついたら長くなりました。
* * *
テキサスの州知事は、
州内の公立学校や州政府関連オフィスが
「マスク着用命令」を出すことを「禁止」しています。
英語では mask mandate ban と言います。
学校は子供たちに安心して学んでほしい。
「教師も職員も生徒も学校では
全員がマスクを着用しましょう!」
と徹底化したいのは当然のことでしょう。
日本では自然なことと思います。
ところが学校に対して
「『マスクをしましょう!』と
言っちゃダメだよ」と言うのが
州知事なんです。
どーいうこっちゃ。
9月29日時点で
「学校でのマスク命令を禁止」している州は
フロリダ、テキサスを含め5州。
禁止にしたいけど、反対運動などで
ブロックされている州が4つ。
逆に、
「学校でのマスク着用を義務化」している州は
16州とワシントンDCしかない。
50州あるアメリカのうち、
「着用義務」がある州が1/3にも満たない、
という事実をどう思いますか?
たかが、マスク、されどマスク。
https://www.edweek.org/policy-politics/which-states-ban-mask-mandates-in-schools-and-which-require-masks/2021/08
マスクが政治に利用される。
マスクの着用にも
アメリカの分断が見えます。
責任を伴わない自由
このアボットさんという州知事は
一体どんなことを言っているのでしょう。
(意訳)
「我らテキサス人は「自由」を守りながら、衛生的な生活を送り、感染を最小限に食い止めることができる。選択肢は政府ではなく、我らの手にある。だから誰からも「命令」されることはない。」
"Texans, not government, should decide their best health practices, which is why masks will not be mandated by public school districts or government entities. We can continue to mitigate COVID-19 while defending Texans' liberty to choose whether or not they mask up," Abbott said in a news release.
https://edition.cnn.com/2021/05/18/politics/texas-abbott-mask-mandate-ban-fine/index.html
アメリカにとっての「自由」は
非常に厄介な問題です。
「自由」を盾にした一部の層が
the greater good、
全体の利益を脅かす構造で
社会が硬直化しています。
進まない銃規制を思い浮かべると
特にわかりやすいことと思います。
「夜と霧」の作者
ビクトール・フランクル博士は
「東海岸に『自由の女神』があるのなら
西海岸には『責任の女神』を作るべき」と述べ、
アメリカの自由崇拝を憂いました。
以前アメリカの「自由」について
考えてみたブログはこちらなので
はしょります。
テキサスのマスクに関する決定は
「健康に問題を抱える子供達の
人権問題に関わる」と司法省も見解を示しています。
これは訴訟問題にもなっており、
学校区と州知事のバトルは継続中です。
https://www.texastribune.org/2021/10/01/texas-schools-mask-mandates-justice-department/
同じことが「妊娠中絶」にも
アメリカの「妊娠中絶」違法化への流れが
着々と進んでいます。
テキサス中絶法では
実質妊娠6週間以降の中絶ができなくなりました。
妊娠6週間では、約75%の女性が
妊娠の自覚がない時期と言われています。
つまり、
「妊娠した」と気づいた時には
もう選択肢はないのです。
Texas Heartbeat Law というこの法律は、
名前の通り、
heartbeatが確認されたら(懐胎=gestation)
その命には権利があって、
堕胎は殺人である、という見解に
基づいています。
(ラジオ内ではgestationを着床と言っていますが、
これは間違いです。)
https://txvalues.org/texas-heartbeat-law/
例え健康上、経済上、その他のいかなる理由でも
テキサス州においては
妊娠を継続するしか方法はなくなります。
レイプや母体に危険がある場合なども
例外はありません。
また、一般市民が
中絶に手助けする市民や医療従事者を
民事裁判で訴え、
10,000ドルの報奨金を
請求できるという厳格な法律です。
https://www.the-sun.com/news/3580055/what-is-the-texas-abortion-law/
ゆこまりラジオの中で、
「どんな人たちが決めてるかみてみたい」
とゆーこが言っていますが、
ウェブサイト中盤に
議員や州知事の写真がありますのでどうぞ。
https://www.webpressglobal.com/international/abortion-texas-governor-signs-restrictive-new-law/
高校の卒業式でテキサスの厳格な「妊娠中絶法」に対してスピーチをした卒業生代表についての記事
https://www.bbc.com/news/newsbeat-57343832
高校生の女子たちは
このニュースをしっかり追って
インスタやTwitterで情報共有しあっています。
自分の体のこと、
自分の権利は何かを
考えて。
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