【内容紹介】河野亮仙の「天竺舞技宇儀59」
河野亮仙の「天竺舞技宇儀59」は、悉曇声明を取り上げた記事です。悉曇声明は仏教の儀式で唱えられる節の付いたお経のことであり、音楽としても認識されるようになりました。声明はグレゴリオ聖歌と共に注目を集め、静かなブームを起こしました。悉曇声明は個々の声の個性やトーン・クラスターによる倍音の響きが特徴であり、合唱とは異なる魅力を持っています。
悉曇声明はかつては一部の特別な僧侶だけが学ぶことができる領域でしたが、現在は大学や講習会で学ぶことができるようになりました。声明を唱える際には短時間で半瞑想状態に入ることがあり、その呼吸が聴衆にも伝わります。声明や読経は呼吸法の訓練であり、瞑想の入り口とされています。
悉曇声明の伝統は古くからあり、日本の文化遺産として大切視されています。江戸時代初期には悉曇学を普及させた澄禅が活躍し、悉曇愚鈔という入門書を著しました。また、悉曇学や密教学は霊雲寺に依拠した浄厳が受け継ぎ、その音韻学は国語学の基礎となりました。
記事の最後では、悉曇声明やその他の伝統的な音楽形式が世界文化遺産に登録されることを望む内容が述べられています。これらの伝統的な音楽形式は、日本の文化を代表するものであり、世界的な価値を持っています。