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読書ノート
『ろうの両親から生まれたぼくが聴こえる世界と聴こえない世界を行き来して考えた30のこと』を読んで
9月20日に全国公開の 『ぼくが生きてる、ふたつの世界』のもと本である。
【書籍情報】
著者:五十嵐大
出版社:幻冬社
価格:1400円+税
【あらすじ】
コーダ(ろうの両親を持った耳の聴こえる子供:children of deaf adult)として生まれた 著者の大ちゃんが聴こえる世界と聴こえない世界の狭間で感じた葛藤を30つの事柄で綴る。
あたりまえに過ごしていた生活がある出来事をきっかけにほかの家庭とは違うことに気がつく。
そして、両親がろうであることを隠して、聴こえる世界にも、聴こえる世界にも居場所を失う。
誰も知らない場所で普通を求めて暮らす東京でが知った本当の幸せとは。ライターとして初めて、ろうの母親の事を語った
耳の聴こえない母が大嫌いだった。それでも彼女は「ありがとう」と言った。
が、その反響が彼を変える。親子の愛と葛藤、最後は思わず涙が出てしまった。
【コメント】
いま、仕事で聴覚障害者の『情報保障』を考える機会をもらっている。何が正解かわからない難しい課題だ。そんな中気になった件が、
大ちゃんが自分以外みんな聴覚障害者の飲み会で店員さんとコミュニケーションを一手に引き受ける場面があった。大ちゃんは良かれとしてやっていたが、感謝の言葉のあとに、
「ーーでもね… 、私たちから、“できること”を取り上げないで欲しいの。」
と言われた場面。
何か障害がある人にたいして「助けてあげなくては」、という意識がある。自分の中にある、特別視、助けてあげなくてはなら弱者、そんな傲慢さがあると思い知らされた。
相手の立場に立って、助けて欲しいことに手を差し伸べる。そんなあたりまえの事が出来ていない。
でも、これって何も聴覚障害者に対してだけではないんだと思う。誰に対しても、必要の手助けを求められた時に差し伸べられるそんな寄り添いが出来るようになりたいと思う。
映画も楽しみ。