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今はただ悲しみとともに
イラストレーターの谷口広樹さんが急逝された。
開催中の個展に伺う予定でいた矢先の訃報を理解するまで思考が止まった。
頭が真っ白になる瞬間をこの歳にしてはじめて知った。
谷口広樹さんとの出会いは
私が駆け出しの編集者だったとき。
同時、雑誌『イラストレーション』で作品を目にするたびに惹かれていった。
本当に奇跡の幸運でお仕事をお願いできるようになったときは、もうほとんどミーハー状態。
憧れの人に会う乙女状態。
当時、広尾にあった谷口さんの事務所で。
同時、私の職場近くにあった「銀座ウェスト」のカフェで。
打ち合わせでお会いするたびにその静かなオーラにどきどきした。
どこまでも謙虚な物腰とジェントルマンな振る舞い。
ふとした瞬間に見せてくれる
少し目を細める無邪気な笑顔。
すべてがすべてが宝の時間だった。
本当に駆け出しすぎて、まだ自分に仕事に、どこか引け目を感じていたころだった。
そんなヤワな半端な私にも誠実に接してくださりながら、
教えてくださった。
自分の仕事に自負をもて、と。
今でもあのときの谷口さんの表情が
ありありと思い浮かぶ。
窓際の席。
光が差し込むカフェの一角で、
まっすぐ私に向き合ってくださった。
私が仕事を離れた後は一方的なファンでいたのだけれど、数年前に偶然Facebookで再会してからは、ウイットにとんだちょっとお茶目な投稿や、愛の伝わる投稿を楽しみにしていた。
精力的に開催される個展のたびに会いたいでも恥ずかしいのせめぎ合いで、結局は名前だけ残すという密やかな選択を繰り返していた。
でも、ようやく、
今回こそはご挨拶すると一大決心をしたのだけれど。
けれど。
間に合わなかった。
こんな私でさえ悲しみにのまれてうずくまっている。
ずっと一緒にいた方々のことを思うと
そのお気持ちを思いと
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