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20歳年上のおじさんと付き合った話。

今から数年前、わたしは20歳年上のおじさんと付き合っていた。
(出会いは割愛させていただきます。)


優しく穏やかで顔がタイプ。

こんな単純な理由でこの先のことを何も考えずに猛アタック。
無事に付き合えた。


デート代はすべて彼持ち。

食事、ホテル代、カフェ代はもちろん
俺用のスマホ持たせておくね、とスマホを契約してくれたり
1泊10万の老舗旅館を2周連続で予約してくれたり
欲しいと話していた漫画を全巻プレゼントしてくれたり
誕生日にはわたしが選んだ腕時計を値段も見ずに会計してくれたり
こんなお姫様扱いをされたのは初めてだった。

申し訳なくなりわたしが出す、と言っても「大丈夫」と一言。
断り方もスマートで今まで同年代としか付き合ってこなかったわたしにとって彼は大人で色気もあってとても魅力的だった。

老けてはいるがなぜか若々しく仕事もでき、趣味もたくさんあり別世界の人間だった。


ただいくら好きでも自分の親と同世代の彼を親に紹介するのは難しく、20コも離れていると結婚はもちろん老後のことなんて想像もできなかった。

付き合いはじめは舞い上がっていたがだんだんと現実に引き戻されわたしは早めに別れようと心に決めていた。

しかし一度好きになった人間から離れるということは難しく、ずるずると数か月が経った。
向こうはわたしと結婚してもいいと言っていた。

それがしにたくなるくらいにつらかった。曖昧にしていた。




真冬の寒い日、その日は雪が降っていた。
わたしはデートの待ち合わせ場所に向かった。

いつも通り彼が迎えにきてくれ、助手席に乗り込み、デートを楽しんだ。
いつもなら帰る時間だが、この日は普段なら絶対に行かないショッピングセンターの敷地内にある観覧車に乗ろうと提案され何の疑問ももたずに観覧車へ乗り込んだ。


真冬の二月。

とっても寒い。

ふたりで並んで座った。

「高いよ!」「寒くない?」「揺らしてるけど怖くないの?」など久しぶりに乗った観覧車にわたしはただはしゃいでいた。





「ごめんね。別れよう。」


と一言。

わたしはびっくりして何も言葉を発せられなかった。

そのあとはゆらゆら静かに揺れる観覧車のなかは無言だった。


地面に到着し、車に乗り込み泣きながら理由を聞いた。


彼も泣きそうな表情で、でも優しく笑顔で

俺と結婚する気ないでしょ。
だったらいつまでも俺にかまってないで早く新しい人みつけて幸せになりな。


と簡潔に別れを告げられた。

言葉が出てこなかった。
わたしは好きだった彼をずっと傷つけていた。


それから何時間経っているのかも分からないくらい泣いた。
それでも彼と結婚するという選択肢はわたしにはなく、最終的に彼に家まで送り届けられた。

「別れを切り出したのは俺だけど、ひとつお願いがある。」

と最後のお願いをしてきた。
泣いて目を腫らしながら何?と問いかけると

「絶対に幸せになってね」

と何度も聞き飽きた言葉を言われた。


さらに涙が溢れてきたが彼は最後にギュッとわたしを抱きしめてくれてありがとう、と言って車に乗り込んでしまった。




最後までかっこよかった彼のことは多分一生忘れないと思う。


軽い気持ちで付き合ったことを果てしなく後悔した。
年齢のこともよくわたしは彼に言っており、そのことで彼を傷つけていた。

どんなに好きでも割り切れないこともある。
だからこそ簡単な気持ちで行動してはいけないな、とわたしはこのとき本気で思った。


今ではいい思い出です。

ここまで読んでくれてありがとうございました。
またよろしくお願いします。


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