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中学受験で避けるべき3つの戦略ミス:その1

子どもの中学受験にむかい日々葛藤している親御さんは多いと思います。

お子様の成績が志望校と大きく離れている。
塾の宿題をどこまでやっても終わらない。
やることが多すぎて途方に暮れている。
どこまで塾の先生の言葉を信じてよいか、迷っている。
どれも重要に思えてしまい、優先順位がわからない。

などなど、悩みは尽きませんよね。
そして受験に関わる大半のお母さんと一部のお父さんは疲れています。

うちは正にそんな状態でした。疲れ果てていました。
だから悩み疲れている親御さんが、少しでも状況を前向きに受け止めて進んでほしい。

そんな思いで、私と家族のリアルな体験とそこからの教訓、そして少しヒントになるものを伝えたいと思い、この note を始めることにしました。

息の詰まるような受験勉強の中でも、親御さんの視点に寄り添いながら、少しの気分転換とアドバイスになるようなものを綴っていきたい、と思います。

そして最初のテーマは私が5年前の経験から学んだ、中学受験でやってはいけない戦略ミスについて、3回シリーズで書いていきます。
今日はその1回目の記事です。

0.プロローグ

2020年2月〇日の午前、妻と自分は30分押し問答を繰り返していました。
合格発表の時間が過ぎても、怖くて最後のクリックを押すことができません。

私がスマホのボタンを押して結果を見ようとすると、妻は泣きながらそれを押しとどめます。
「見ないでよ~、長男くんの受験が終わっちゃうよ~」「でもこれを見ないと先に進めないよ!だから見るよ」
そんな悲壮感に満ちたやり取りをすること30分。

これ以上伸ばしても、結局強烈な不安が襲ってくる状態は変わらない。
意を決した私は妻を制して、祈る思いでスマホのボタンを押しました。
次の瞬間、ピンク色の背景が目に飛び込んできました。そして「合格おめでとうございます」の赤い文字。

妻と私は大声で泣きました。そして同時に深い安堵に包まれたのでした……

この我が家の受験狂騒曲は、志望校中の一校に長男くんがラストチャンスで合格を勝ち取ったことで、めでたく劇的に終了しました。

長男くんが踏ん張って合格をもぎ取り、私の戦略ミスによって家族に芽生えかけた不協和音の種を摘んでくれたのでした。


時はすぎ、そのほとぼりが冷めやらぬ半年後、妻と私は(懲りもせず)娘つむちゃんの中学受験をすることを決めて始動していました。

長男くんのときに犯したミスを二度とするまい、と心に誓って2回目の中学受験に臨みます。娘つむちゃんの受験をすることを決めた日、来るべき修羅場に立ち向かう覚悟を妻と確認しあいました。

2度目の受験、どのくらい大変か、落とし穴がどこにあるか、は大体わかっているという多少の自信はありました。だから同じ轍は踏まないように、十分に用意をしていけば何とかなるのではないか。
心のどこかで、そういう期待を持っていたのも事実です。

しかし期待は見事に裏切られました。
道は極めて険しかったのです。予想もしないところで。

兄と妹はそもそも性別も違えば性格も違います。頭の構造が異なり、得意科目も違い、偏差値などの立ち位置もまったく異なります。多くのことが真逆だったりもしました。

長男くんでは当たり前だったことが、今回はスムーズにいかないことだらけ。想定外のオンパレードで受験本番になだれ込んでいきました。

それでも、長男くんの受験で得た教訓から準備し、対策できたこともたくさんあったのです。あの経験は貴重だったと今にして思います。

そしてこの4月、つむちゃんは満開の桜🌸が咲きほこる中、入学式というハレの日を迎え、会心の笑顔で親子の記念写真を撮っていました。

1.中学受験で何が何でも避けたい3つの戦略ミス

振り返ると、長男くんの受験が家族全体で精神的にきつくなってしまったのは、受験準備段階での私の完全なる戦略ミス、やらかしてはいけない失敗が原因になっています。
それは大きく以下の3つです。

戦略ミス その1:志望校選びの方針の食い違い
戦略ミス その2:2月2日までの受験校選び
戦略ミス その3:秋に受験校の修正をしなかった怠慢

これらの失敗は、実は小学6年生の春~秋にかけて親がしっかりと行動していたら、十分に対応できるものです。

適切な準備を抜かりなく行ったか、できなかったか、で大きな差が生まれます。この差によって、夫婦の結束度が各段に違ったな、と2回の受験を通じて実感しています。

では長男くんの受験で私がやらかした戦略ミスがどういうものか、経験を生かして娘つむちゃんのときにはどのように対策したか、3回シリーズで順を追って説明していきますね。

2.戦略ミスその1:志望校選びの方針の食い違い

志望校選びの方針を妻と私が合意できていなかったことが、最大のミスだったと今でも思います。おたがいの思いがすれ違っていました……

妻は大学附属校を推し、一方で私は進学校の方が良いと思っていました。

この方向性の違いを修正するために、夫婦でとことん話しあうことをせず、私の独断で志望校決めまで進めました。

「中学受験と大学受験を体験している自分は受験が何たるかを分かっている、だから自分が正しい」と主張して押し切り、進学校志望の方向で強引に進めたのです。この流れで、すなおな長男くんをその方向で頑張る気にさせたのも私でした。

このボタンの掛け違いが、夫婦間で最後まで尾を引きました。

模試の成績が期待通りに行っていれば、問題が表面化することはないかもしれません。ただ、物事が期待したように進まなかったとき、それは家族間のほころびとなって表れます。そして本番の結果がうまくいかなかった時、いよいよそのほころびがヒビになり、修復しがたい亀裂が生まれます。

「あれだけ言ったのにね」「わたしの意見を聞かずに勝手に進めたよね」「もう知らないよ。一人で勝手にやって」
というマイナスの感情的なやり取りが生まれ、関わった人全員の心に大きな傷が残る悲劇にもなりかねません。

何より、その険悪な雰囲気を感じ取る子どもが一番の犠牲者であり、本人がとても悲しい思いをすることになります。

つまり怖いのは、志望校選びの際、夫婦間で意見が分かれたまま、結果が期待通りにいかなかったとき、関わっただれも幸せになれない、ということです。

これは何としても避けるべきこと。

家族で決めていたら期待通りにいかないときにも、思いを共有しあい、修正案を話しあうことができます。合意できていなかったら、共感する時間は生まれず感情が分断されたままです。いざという時に、思いを共有できるとできないでは、家族全体の幸せの度合いが大きく異なります。

たまたまこれを読んでくれているご家庭の中には、過去に中学受験を経験し、いわゆる学歴が高いお父さんもいらっしゃるかもしれません。

お父さんが中学受験をリードすることは悪いことではありません。ただそのようなご家庭こそ、お父さんご自身が暴走して家族を置き去りにしてしまうリスクを気に留めておくことが必要かもしれません。そのリスクを頭の片隅に置いて、家族で一丸となって臨んで欲しいな、と思います。

3.失敗を避けるためにできること

そもそもの志望校選びにおける方針の違いは、そのリスクが顕在化した時、受験を通して家族関係が壊れてしまう破壊力をもっています。
それゆえに絶対に避けたい事態です。

ではどうすれば良いか?
娘つむちゃんの受験の時、我が家は以下のようにしました。

 志望校選びの方針は妻が決める。
 私は基本妻の方針に従いつつ、学校選びなどの判断材料をそろえる。

これは我が家の例なので、正解かどうかはわかりません。
ここのポイントは、最初から志望校選びの方針を夫婦でしっかりと話しあい、擦りあわせて決める、ということです。

我が家では、突っ走りがちな私の性格を考慮し、妻が方針を決めそこに私が従う、という役割の明確化をしました。

お父さんが関わるご家庭は夫婦間で、どの部分をだれがリードするか、最初に役割を決めることが大事です。

それと同時に、学校選びなどの重要な決定事項は夫婦で話しあう、という大原則を持つこと。大切な我が子の受験ですし、家族の一大プロジェクトでもあります。

何よりもお子様が充実した学校生活を送り、幸せに成長する、という共通の目標があるはずです。お子さまのすこやかな成長のために、ご家庭における中学受験の方針をぜひとことん話しあってほしい、と思います。

逆に、お父さんがまったく受験に関わらない方針のご家庭もありますよね。それで上手くいっているご家庭も数多く見てきました。そんなご家庭の場合は、中途半端にお父さんが口を出さないようにしてもらうことが、上手くいくポイントのようです。
(父親の受験への関わり方については、また別コラムでつづりますね。)

4.まとめとポイント

ということで、家族にとって幸せな中学受験とするために、特にご両親が関わる場合ですが、志望校選びの方針は夫婦間で話しあって納得して進めることを強くおすすめします。どのような結果になっても、家族の結束が崩れないポイントは、事前の合意と納得です。

具体的な志望校のところでお子様とはたくさん話をされると思いますが、大きな方針と中学受験に臨むスタンスを決めてからでよいでしょう。

首都圏の中学受験を目指すご家庭は年々増加しています。そして「中受沼」と呼ばれる昨今の熾烈な競争に臨み、悩み葛藤するご家庭はふえています。

様々な悩みを抱えるお母さんとお父さんが、子どもと一緒に中学受験を幸せに乗り切ってほしい。その思いで我が家の体験談を交えつつ、ヒントとなるような記事を、これからご提供していきたいと思います。

これから中学受験を控えて、頑張っていらっしゃるお子様とご家族を心から応援しています。

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