6月のお題「傘」5首

「ひょっこりと傘を片手にドア開けた今からここはあなたのものよ」
2022年5月に自由劇場で上演された、ボーイング・ボーイングより。
主演の福田さんが登場した瞬間、もうこの空間は福ちゃんのものであるかのように、自分色に染め上げてしまう彼がとても好きでした。
登場しただけで面白い。この場合の面白いはfunnyではなく、pleasureの愉快さです。もちろん本編も福ちゃん全開で、本当に面白かった。何回見ても毎度新鮮に声出して笑ってた。
再演待ってます。

「前の席傘が収まるその紐に今日だけ特別秘密の薔薇を」
Endless SHOCK 1900公演達成おめでとうございます。
帝国劇場の座席には傘立てになるゴム紐が付いているのですが、1900回サプライズ祝福用に観客に配られた薔薇(かなり大きめ)をカバンにしまえなかった観客が傘立てに薔薇挿してる光景が印象的で詠みました。
光一くんが回数じゃない、そして千穐楽は特別ではない、って言うのが毎回好きだなぁと思っています。

「50回濡らし続けたビニル傘タオルと霧吹き俺の相棒」
雨のシーン、傘が濡れてないとリアリティがないからと、舞台袖で毎公演ビニル傘の表面を霧吹きで濡らしていた松崎さんのエピソードが、愛らしいと同時に丁寧で真剣で好きだなぁと思って詠みました。
やり始めた数回は加減をミスって光一くんに「何でこここんなにびしょびしょなんだよ!?」って怒られた〜なんて話していたのも印象的です。マツのそういうところ、光一くん嫌いじゃないと思うよ。そのままでいてね。

「「2人とも不器用なんだよ」傘の下架け橋の君頼もしい表情(かお)」
これもマツザキのシーン。マツザキのことはカンパニーの中で二人にフラットに寄り添ってくれる人だと思っています。真っ直ぐで駆け引きとかしなくて思ったことは口にするマツが、仕方ねぇなぁって顔して不器用なんだよって言うシーンは、マツだから出せる色があると思ってる。
マツザキもコシオカも、本当に頼もしいカンパニーのお兄ちゃんたちだなぁ。二人がいれば大丈夫な気がするんだ。

「後悔の名を口にする細い背に傾ける傘濡れる桃色」
コウイチの名を泣き叫びながら奈落の下に吸い込まれていくライバル役に、傘を差し出すマツザキの話です。あんなにコウイチと張り合って威勢よくいたショウリが、地面に伏せて背中を震わせながらコウイチの名を呼んで後悔しているところに、自分が濡れることも厭わずに傘を差し出すマツザキがあまりにも優しい顔をしていて…
コウイチに「お前はショウリのそばにいてやれ」と言われたマツザキは、コウイチの指示だからとショウリのそばにいるのかもしれないけど、きっとコウイチはマツザキなら任せられると思ったからその役目を任せたんだろうなぁ。

2022.06.18

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