潮風と珈琲とライジング・サン。
今日は夫とデートの日。
私たち夫婦の、こだわりというか、最近の傾向として、「非日常感」「フレッシュ感」を意識している部分がある。
この日は、午前中に夫が仕事があったため、午後から行動することになるのだけれど、家から一緒に出発するのではなく、待ち合わせをして合流して目的地へ向かう、というスタイルにした。
お出かけ用のワンピースを着て、私は待ち合わせの駅で待つ。この服はたまにしか着たことがないから、どんな反応するかな?なんて考えたり。ちょっとソワソワ。
夫は仕事が終わってそのまままっすぐ向かってきた。少し急いで来たのか、汗ばんでいる。
「ごめんね、待った?」
そう言いながら、私の格好を見て少しドキッとした表情をしていた。やっぱりたまにしか着ないワンピースに反応したみたいで、「そんな服あった?」と言っていた。似合うって褒めてくれて嬉しかった。
やっぱり、特別な日には、特別な服を着るのって大事だなって、20年経ってもそう感じた。それが、ちょっとしたデートであっても。
今日はカフェでコーヒーを飲む、というのが目的の1つだった。今年はまだ訪れていなかったカフェへ行くことにした。
海が見える、あのお気に入りのカフェ。
晴れていてよかった!
目の前を何度もカモメが飛んでいく。カモメなんて普段あまり見ないから、その優雅に飛んでいる様子に目を奪われた。時々鳴きながら。
カモメの鳴き声とは違う鳴き声も時々混ざって聞こえて、白ではないちょっと暗めの色の鳥も飛んでいたりする。
「あれはなんていう鳥なんだろうね?海鳥?」
「海鳥ってなんだ?!」
そんな他愛のない会話をしながら、珈琲をまったり飲む。珈琲はとっても美味しかった。たっぷり入ったLサイズのブラック珈琲。
海を見ながらの特等席。なかなかこういうカフェってないので、お気に入りだったりする。
「やっぱり、良いね。ここ。」
曇り空で日差しも強くなくて、カフェ日和だった。
潮風が時々シフォン素材のワンピースの裾をなびかせていく。少しひんやりした海の風は、肌寒く感じる時もあり、夫が「何か上着持ってきていたっけ?俺、取ってくるよ」と言ってくれて、車まで上着を取りに行ってくれた。
優しすぎる…!
「今日は、ライジング(ライジングサンロックフェスティバル)の日らしいね。」
夫はそう言いながら、遥か彼方に見える石狩湾の方向を指差した。夫は20代の頃はよくライジングサンロックフェスティバルに行っていた。結婚してからも私も一緒に行ったことがある。テントを張って2日間会場で過ごした。最終日。朝日が昇るのをバックに最後の大トリのライブを見て終了するというスタイル。
「いつかまた行きたいね」
当時のことを色々と振り返りながら、いつかまた行ってみたい気持ちがむくむくと湧き上がってきた。
夫との夢がまた1つ増えた。
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◾︎わたしのこと
霞月つむぐ ¦読書好きなエッセイスト
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