(こちらの記事は当初2021/09/15に公開されたものです)
9月に村内で引っ越しをしました。
2020年4月に小谷村に来てからずっと仮住まい生活だったのですが、1年半かけてようやく住まいが見つかりました。
新しく住み始めた地区は、元々住んでいたところよりももっとこぢんまりした集落です。地元の方も他所から来た私たちに、恐らくは少し警戒しながら、とても気を遣ってくださっているのがよくわかります。
そんな引っ越して間もない9月12日に地元の八幡社のお祭り(例大祭)がありました。
私たちは代々木八幡に住んでいたので、八幡様というとまず代々木八幡の八幡宮を想像するのですが、今私たちが住む地区の八幡様はほんとうに小さな小さなお社です。
例大祭の前日に地区会でお祭りの準備をします。集合は朝の6時。普段は木戸が閉じられている社の中には提灯などの飾り付けやお神輿や幟などが仕舞われています。それを地区会のメンバー10人ほどで出してきて飾り付けていきます。
子供の頃からもう何十年も毎年こうやって準備をしてきたのだろうと思われるベテランがほとんど。自然と役割分担もできて、スムーズに進みます。
1時間ほどで一通りの準備が終わると、おもむろに小枝を集めて小さく火を焚き、火を囲んで一口ずつ御神酒をいただきます。
「ほしゃ(=それじゃあ)、また明日10時に」と解散。
翌日の本祭は地元の宮司さんを読んで祝詞を挙げてもらいます。普段とは違い、襟付きのシャツなどを着て少しかしこまった雰囲気です。塩鮭や大根、お酒などをお供えして五穀豊穣や地区の安全をお祈りします。
30分くらいで神事が終わると今年のお祭りは終了。そのままみんなで片付けをします。
「そう言やぁ、この提灯はどこで買っただ?」
「あぁ、それはオラがネットで買っただ」
「なに、Am○○on(大手オンライン通販会社)かい。へー、あそこはこんなもんも売ってるだかい」
「おい、お前(=わたしのこと)。お前も今度ネットで提灯売りゃーいいわ。はっはっは」
などと長閑な会話が繰り広げられながらあっという間に片付けも終わって散会。今年はコロナの影響で神輿も直会もない、いつも以上にささやかな例大祭でした。
綿アメやらたこ焼きやらの出店が出るわけでもなく、どこかから見物客がくるわけでもなく、誰かに向けてアピールすることもなく、只々自分たちの集落を昔からずっと見守って下さっている神様に感謝し、ささやかな祈りを捧げるだけのお祭り。
でも多分本来お祭りってこういうことなのだと思う。