生ゴミから完熟堆肥をつくる!「堆肥の学校」に行ってきたお話
TSUMUGIでは、月に一度のペースで生産者さんのもとを訪れる社会科見学を実施しています。今回は、6月に訪問した岐阜県の五段農園さんでの活動記録をお伝えしていきます!
ふだん料理をしていると、どうしても出てしまう生ゴミ。
一般的な家庭で出る1日の生ゴミの量は三角コーナー1杯(400g)ほど。年間に換算すると約146,000gの生ゴミが出ます。これは家庭から出る可燃ゴミのうちの約30%を占めるそうです。
可燃ゴミで捨てられる生ゴミですが、実は水分が多いのでゴミの中でも非常に燃えづらいゴミ。燃やすために助燃剤として重油をゴミに含ませたり、分別したプラスチックをわざわざゴミに戻したりもしているそう...!
生ゴミが堆肥になれば、家庭で出すゴミの量が減るし、ゴミ処理のコストも減るし、野菜も育つし、一石何鳥にもなる!
ということで、今回の社会科見学では生ゴミをどうやって堆肥にするのかを知るために、岐阜県で堆肥作りと野菜づくりに取り組んでいる五段農園さんを訪ねました。
そもそも土とは何か?
" 月に土って存在すると思いますか? "
事前学習会で、こんな問いかけをしてくれた五段農園の高谷さん。考えたこともありませんでしたが、そういえば、土ってそもそも何なのでしょうか?
土とは、粘土と腐植が合わさったもので、腐植とは、微生物が動植物を分解したときにできるもの。ですから、最初の質問の答えは「(生物がいないので)月に土は存在しない」ということになります。
腐植は、微生物がいないとできません。土は、長い長い時間をかけて微生物の働きがあってできあがるもので、人間には土をゼロから作ることはできないのだそうです。
人間にできるのは、微生物が住み心地の良い環境を作ってあげること。生ゴミの堆肥化にも同じことが言えます。微生物が働きやすい環境をどうやって作るか?これが堆肥づくりのポイントになります。
一般的な生ゴミ処理の問題
よくあるコンポスターの場合、水分が多すぎて腐りがちになってしまうそう。ハエが大量発生して諦めてしまう人も多いようです。
温風乾燥式の生ゴミ処理機の場合、一見きちんと処理できているように見えますが、生ゴミは乾燥しただけで、発酵はしていません。そのため養分が濃すぎたり、堆肥として畑に撒くと、雨が降った時には水分を吸って生ゴミに戻ってしまうそう。
では、きちんと生ゴミを堆肥化させるにはどうすれば良いのでしょうか?
生ゴミを完熟堆肥にするには?
五段農園さんの考える完熟堆肥の作り方には、二つのステップが必要になります。
1. 乾燥させて、容積を減らす(1次処理)
2. 発酵させて、堆肥化する(2次処理)
きちんと2次処理まで行うと、微生物が働いてくれることで、生ゴミを含んだ処理品の温度が湯気が上るほどしっかり上がります。そして、温度が下がったときには完熟堆肥になります。
1次処理では、籾殻・落ち葉・米糠・赤土を混ぜて作る「床材」を容器に敷き詰め、そこに生ゴミを1~2ヶ月毎日投入していきます。
↑ こちらが、床材に生ゴミを投入し続けたもの。
床材の中にスタンバイ状態の微生物たちがたくさんいるので、生ゴミを入れても腐らず、毎日生ゴミを入れても容積が増えないそう。
こうして出来上がった1次処理品に、米糠と赤玉土を混ぜて今度は2時処理を行なっていきます。
↑ 2次処理中の堆肥の温度を測っている様子。
温度を測ってみると、なんと69.6度!微生物がきちんと働いているのが分かります。匂いを嗅いでみても、全然臭くありません。しっかり完熟すれば、たとえここに雨が降ったとしても生ゴミに戻ることなく、堆肥として機能してくれるみたいです。
実際に床材を作ってみた!
この日は、実際に高谷さんと一緒に床材を作ってみました。
籾殻 8 :米糠 2 :落ち葉 1:赤土 1
※土を入れると、保湿され、温度管理をしやすくする
床材の材料を軽い順番に重ね、切り返して混ぜ合わせていきます。
↑ 落ち葉は、銀杏以外でいろんな種類のものが混じっていると良いそう。
↑ 軽い順に重ねるのがよく混ぜるためのポイント!
何度か切り返して混ぜ合わせたら、次に水分を足して、水分量を40%くらいに調整します。
水分量40%をどうやって測定するかというと、掌で握ったときに固まらないけど、手に少しもみがらがつくくらい、という非常に感覚的な測り方。
↑ だいたいこれくらい!
みんなで床材を握って、水分量40%の感覚を学びました...!
水分を加えたあとは、二日に一回切り返しを行い、温度が下がるまでこれを繰り返します。そうすると、スタンバイ中の微生物がたっぷりの床材のできあがり。生ゴミを投入してもあまり匂わず、どんどん分解されていきます。
生ゴミと向き合うことで変わる世界
今回の社会科見学を通して、土は本当に貴重なもので、何万年という時間をかけて出来上がるものだということ、もしも、何も考えずに作物を育て続けたら、その何万年とかけてできた貯金をどんどん使ってしまい、元どおりの肥沃な大地に戻るにはまた何万年の時間がかかってしまうこと...土のことなんて普段ほとんど考えずに生活をしていましたが、自分たちが食べている作物は、よく肥えた土があってこそのものなのだということを知りました。
そう考えると、循環農法や有機農法は、私たちが美味しい作物を食べ続けるために必要なスキルなのかもしれないし、自分たちが食べたあとにできる生ゴミをしっかり堆肥にして、また土に戻していくことはとても価値のあることだとも思いました。
今回は、床材づくりまでを行いましたが、今後は葉山のコミュニティハウスでこの日習ったことをもとに、2次処理も行なっていきます!
コミュニティメンバーのうち、自宅でLFCコンポストを実践しているメンバーが作った1次処理をベースに、葉山で2時処理を行う試みです。
2次処理については、また別の記事でシェアしたいなと思います。どうぞお楽しみに!