名探偵コナンの映画を全部観た

2020年4月、ある映画から目が離せなくなった。

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急に血を吐き出すマーライオンから始まり、堂々とした密入国で心は鷲掴み。

人の家の家具を握りつぶし、三節棍使いが喧嘩を売ってくる。

DLSiteかと思うくらい催眠術にあっさりかかる。

そしてマリーナ・ベイ・サンズが破壊される。あのデザインを見たときに誰もが思ったであろう「あの船とれるのかな?」という疑問に答えを出してくれる。

その映画のタイトルは『名探偵コナン 紺青の拳』である。

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今そんなことを言う人は居ないと思うが、ちょっと昔世界で日本だけ『アベンジャーズ』でなく『名探偵コナン』が興行Topだったときに、日本の現状を揶揄するような人が居た(気がする)。

その人達は最近のコナンを観たことがないのだろう。はるか昔のコナン観で止まっているのだ(未だに進撃の巨人といえば大型巨人といったコラボのように)。

僕が心を奪われてしまったコナンはマイケル・ベイが撮ったのかな?というような都市破壊が行われていた。もしくはランドマークを壊す怪獣映画のようだ。

「これは全部観るしかない」

幸い外出自粛が続くご時世。GWも予定なし。土台は整った。

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映画ごとの細かい感想はすっとばして、最後まで観終えることが出来た。

通してみると気がつくことがある。映画の波のようなものが数年おきにやってくる。

第1作『名探偵コナン 時計じかけの摩天楼』はその後数作品に影響を及ぼし続けている。

関係者が出てきたり、舞台が同じになったりと1作目を下敷きにした作品群が続く。余談だが1作目の爆破が後々の縛りになり、最終的にはシンガポールが破壊されつくされるのではないか。シンガポールを救うためにタイムスリップするマーティが出てきてもおかしくない。

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次に「あれ?」と思ったのは第8作目『名探偵コナン 銀翼の奇術師』だ。

物語の途中であっさりと事件が終わり、残りはフライトアクションをし続ける。名探偵コナンの映画に自由とド派手化をもたらすきっかけがこの作品かもしれない。

しかしまだその自由さを掴みきれているとは言いづらく、若干迷走している感じもある作品群が続く。

この期間の中でおすすめは、
・オチが秀逸な『名探偵コナン 探偵たちの鎮魂歌』


・開始5秒にめっちゃ面白いシーンが有る『名探偵コナン 戦慄の楽譜』


・コナン世界におけるカラテの強さを確認する『名探偵コナン 漆黒の追跡者』


の3作品です。

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大きい波が来た。常識に囚われた我々を現代コナン映画へと連れ去る離岸流のようでもある。

第15作目『名探偵コナン 沈黙の15分』である。

まず登場人物の倫理観が過去作品と比べて低い。犯人サイドだけでなく、登場人物すべからく低い。最悪すぎる同級生たち。同窓会なんてやるもんじゃない。

そして犯罪規模が大きい。序盤のテロが本編に関係ない(関係あるが)ことがわかったときの衝撃。

この国の治安はどうなっちゃうの!?という不安が拭い去れない。

最後には「ダムの水ぜんぶ抜く」。

あまりにも大きい犯罪被害と、小物すぎる犯人。

そしてラストもとんでもない。

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批評的に良い作品じゃないな、と誰もが観終わったあとに思うだろう。

しかし画面の派手さと飽きさせない工夫は凄い。そしてその工夫のためにいびつになっている部分も味わい深い。

「今」につながる始まりを見た。

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ここからしばらくは自由とド派手化に倫理観の低下を混ぜ合わせた作品が続くこととなる。

未だ瞑想している感じもありつつ、画面の派手さで黙らせるのが上手くなってきている。そして歪として現れる登場人物たちのちょっとどうかと思う行動も味わい深い。

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あれ?と思ったのは『名探偵コナン から紅の恋歌』と『名探偵コナン ゼロの執行人』だ。

今までの荒波が嘘のようにまとまっており、一義的な意味で面白い。ちゃんとしている。

『名探偵コナン ゼロの執行人』で改めてコナンの人気が爆発したのもわかる。羽場さんへの愛も重すぎるくらい重い。愛のためにわがままに僕は君だけを傷つけない。

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気がついたら波は去っていたのだ。荒波に揉まれていたが、気がついたら平穏な海についていた。

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そして理解した。

その緩んだ気持ちを掻っ攫っていったのが『名探偵コナン 紺青の拳』だ。

やはり映画コナンは「飽きさせない」ことに重きが置かれている。

2作続けてまとまった作品を続けて、次もまとまっていたら観客は気を抜いてしまう。そうさせないために用意された大波が『名探偵コナン 紺青の拳』だったのだ。

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下手な雑文が長く続いてしまった。何が言いたいかというと皆も映画名探偵コナンを観ましょうということです。楽しいよ。

最後に個人的ランキングを書いておきます。

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映画『名探偵コナン』で最も好きなキャラ
 鈴木園子
理由
 もっとも常識的。ミーハーなところも良い。作中で世界レベルの金持ちの令嬢なのに、友達の家の居候の同級生たち(小学生)という赤の他人の面倒もみてくれる。
 親の会社の広報役もそつなくこなし将来性もある才媛。

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映画『名探偵コナン』で最もあざとい萌キャラ
 
風見裕也
理由
 安室さん好きすぎじゃない?元いた組織の人間が潜入捜査官と合流しようとすな。小学生に気持ちを打ち明けたりと、真面目なのだろうがこの人に日本の治安は任せられないな...という良い塩梅のキャラクター。

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