レベルが高い=売れるわけではない話

はじめに

今年の正月は地震の影響で少し遅れましたが、毎年恒例の「芸能人格付けチェック」を見ました。
ワインや演奏、ダンス、料理など高額もの、レベルが高いものを見抜けず、姿を消した芸能人を我々は笑いながら新年のスタートを切ります。

今年の項目の中で最も物議を醸したと言えるのが、弦楽オーケストラでした。
プロ、それも日本トップの集団である日本センチュリー交響楽団と学生、いわばアマチュアである関西学院大学との比較です。
また、ソプラノもそれぞれプロとアマチュアが担当していました。
この問題は視聴者も結構間違えた人が多かったみたいで、これなら関学とアマチュアのソプラノの人の方がうまいのでは?とも言われています。
昨年もたしかアマチュアのビックバンドとプロのビックバンドでアマチュアを予想した人が多く、同じような風潮になっていました。

この格付けに関して、番組の象徴と言っても良いGACKTが面白いことを言っていました。
その内容ですが、「安くても美味しいものもある。ただ、高いものがどういうものでどういう歴史があってこうなったのかを知っていることで人生が豊かになる」みたいな内容だったと記憶しています。
確かにGACKTはワインを当てる際に銘柄を当てたり、ラターシュの割には若いみたいなことを言ってスタジオを驚愕させていました。
つまり、美味しい方を選ぶではなく、高い方をしっかり選んでいます。

前置きが長くなりましたが、レベルが高いから、難しいから支持される、あるいは売れるというわけではないということを書きたいと思います。

1.どの業界でもレベルが高いから売れるというわけではない

格付けチェックを一つの参考として挙げましたが、世の中を見渡してみるとレベルが低くても高い売上をあげたり、高い支持を得たり、多くの再生数を稼ぐコンテンツがあります。

例えば、音楽で言えばアイドルグループの音楽などはその典型だと思います。
AKB48などは音楽番組で生歌を披露するたびに放送事故と言われていたことなどからも歌も踊りも一流とは言えないレベルでしたが、それでも他のプロのミュージシャンよりも圧倒的にCDを売っています。
また、AKBの曲は中毒性があると当時言われており、もっと高度な音楽を提供していたミュージシャンよりも聞かれ、歌われていたでしょう。

最近だと格闘技業界でブレイキングダウンというコンテンツもyoutubeで再生回数を稼いでいます。
出ているのは元不良や前科者を売りにした素人集団ですが、日々鍛錬を重ねる格闘家達の試合よりも再生されています。
また、格闘技に興味のない層にも届いており、何か一般の社会の中で揉めるシーンがあると「試合決定で」という朝倉未来のフレーズもよく真似されています。

他にも高校野球の夏の甲子園などもプロ野球と比較するとレベルは低いですが、瞬間最大風速はプロ野球のペナントレースよりも盛り上がることもあります。

ここまで書くとレベルは上げずとりあえず売れればいいのか?という感じですが、デメリットもあると思っています。

2.レベルが低いけど売れるもののデメリット

レベルが高いから、難しいから売れるわけではないというのは先ほど書きました。
本当は今回の記事の結論は、難しいけど売れるわけではないからあまり意識せずに世に出そうというものでした。
ただ、何度も考えるうちにレベルが低いけど売れるものもデメリットがあるなと感じました。

レベルが低いコンテンツについては売れたとしても、その賞味期限が短いと思います。
先ほど例に挙げたアイドルグループに関しては一世風靡したグループであっても10年は売れないです。
大抵全盛期で2,3年程度でしょうか?
SMAPや嵐は長期に渡って売れましたが、彼らに関しては歌とダンス以外にバラエティ番組やドラマなど幅広いジャンルでプロの演者としての活動を行い、それに対する評価もあって売れ続けたのだと思います。

高校野球の甲子園も、もし同じメンバーが毎年同じことをやっていたらレベルの高いプロ野球には人気面でも敵わないと思います。
最長でも3年間だからこそのあの熱狂なのだと思います。

逆にレベルの高いものは賞味期限が長いと思います。
例えばクラシックは大衆に常に大きく支持されているわけではないものの、何百年という単位で世界中で聞かれ続けています。
J-Popなどでも名曲と言われる曲はありますが、おそらく100年後には聞かれていないと思います。

ただ、レベルが高いものは理解するのも難解な部分があるので、大衆に爆発的にずっと支持されるわけではないということもあると思います。
だからそのジャンルに明るくない人がいきなり触れるとどちらがレベルが高いか判別がつかないのだと思います。

冒頭のGACKTの「安くても美味しいものはある。高いものがどういうものか知っておくことが人生を豊かにする」という内容にも通ずつものがあります。
ブレイキングダウンで手軽に楽しめるコンテンツだけでなく、ボクシングの世界戦で長きにわたる戦いを緊張感を持ってみるのを味わえると人生の幅は広がるでしょう。


3.何かを世に出そうとしている人への提言

ここまでの内容だとレベルが高くないとやはりダメなのかという感もありますが、音楽でも動画でもレベルを気にせずどんどん世に出していくべきだと思います。
例えばピアノを始めた人がいきなりクラシックを弾けるわけないですし、大谷翔平が野球を始めた時からいきなり160キロを投げられていたわけでもありません。

また、レベルが低いからダメというわけでもないと思います。
一つの分野を極めないといけないとなると元々持っていた才能で勝敗がついてしまうこともあるだろうし、複数の事をやりたいという人もいるでしょう。
例えば、先ほど挙げたSMAPや嵐は歌とダンスだけではなく、バラエティやドラマにも出演していました。

また、複数の事をやるという点についても一度何か簡単に売って、そこから手を変え品を変え世に作品を出し続けることも非難されることではないでしょう。

一番、良くないのが何もしないことだと思います。
動くことでそのジャンルを極める方向に行くのか、いろんなジャンルに手を出すのか自分の傾向もわかると思います。

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