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iGEM 備忘録

ここに記してあることは全て個人の感想であり、団体の意見ではありません。アドベントカレンダー2日目の記事です。


はじめに

はじめまして。Grand-Tokyoで活動し、Human Practicesを担当していたつみ⌬と申します。通信制高校に通う高校1年生で、今は神経薬理に興味があります。私はメンバーの中で唯一関東に住んでおらず、地方からオンラインにて活動していました。去年、高校生チームJapan-United (Ninjas)の活躍からiGEMという大会に興味を持ち、今年度参加しました。

今年Grand-TokyoはiGEMの結果として何も持ち帰ることが出来ず、一個人として応援・支援してくださった方々に本当には申し訳なく思っています。また、Ninjasが築いてきた信頼や期待を次の世代に継げなかったことに対してもただただ申し訳ないです。それとは反対に、自分勝手な意見かもしれませんが、今年このメンバーと参加できたことは、私にとって大きな幸せな経験でした。この経験は、これからの私の人生を間違いなく良い方向へ導いてくれると思っています。

私は忘れっぽいので、後で読み返して思い出せるようにnoteを書きました。
iGEMとGrand-Tokyoの説明↓


Human Practicesとは

合成生物学を使って現実世界の問題に取り組むには、世界との思慮深い関わりが必要です。iGEMでは、この取り組みをHuman Practicesと呼んでいます。iGEMにおけるHuman Practicesは、次世代の生物工学エンジニアが、自分たちが何をしているのか、なぜそれをするのか、世界が自分たちの仕事にどのような影響を与えるのか、そして自分たちの仕事が世界にどのような影響を与えるのかについて、積極的に考えるように促す取り組みの最前線にあります。

iGEM公式ページより

こちら、iGEM公式サイトに書いてあるHuman Practicesの説明になります。何を書いているのか抽象的で理解できませんね。私もです。
自分なりに簡潔に表すと「社会課題を解決するためのプロジェクトを考えるとき、その方法が課題を解決するための最適解なのかを探る為、様々な方にお話を伺う」というものです。

Grand-Tokyoで行ったこと

Integrated Human Practicesのアワードを目指さなかったため、私達はSilverのメダルが取れるように活動していました。

一般の方にアンケート調査を行ったり、技術的な相談を先生方にしたり、老人ホームに足を運んでお話を聞いたり、食の安全に関する法律について役所の方にお話を伺ったりしました。

Grand TokyoのHuman Practicesのwiki(活動報告)です↓
もしご興味があれば読んでみてください

Human Practicesの意味

ストーリーを立てる際、どうしても説得力に欠ける箇所が生まれます。ストーリーは所詮、頭の中や文献をもとに出した案であり、それを「社会にとって価値のあるものです!」と話しても誰も納得してくれません。
それを「先生にお話を伺ったところこういう返事が返ってきたからこうしました」「この施設に言ったらこういう課題を感じたからこうしました」というと説得力が爆上がりします。このようにストーリーの弱いところに関して説得力を上げる過程がHuman Practicesだと私は思っています。

Human Practicesは”分かりやすい因果の表明”と”それに伴う変化”、”量より質”が求められている思っています。
実際のストーリーの意思決定には、色んな人の意見や、色んな論文が関わっていて分かりやすく示せるものではなく煩雑です。それを誤魔化して「この人にお話を聞いたらこういってた。だから今までこう考えていたものを、こう変更させた」という分かりやすい因果関係をjudgeに見せる必要があると思っています。
Human Practicesをもってストーリーを最適化するということは、今あるものを変更してもっといいものにするという事、それを意識して書きました。

個人的な話と反省点

加入(2月後半~)

去年の11月ごろ、FFにNinjasの方の「iGEMで優勝した」というツイートが流れてきて、iGEMという大会を初めて知りました。

そして2月ごろ、新しい高校生iGEMチームメンバーを募集するツイートが目に入ってきたため、Ninjasに憧れていた私は何も考えず応募しました。その時の私には実績が一つもなく、研究もやったことなければ、実験もやったことがない、学校に行かずに図書館の本を沢山読んでいるだけの中学生だったため、不安しかありませんでしたが、無事に通り、めちゃめちゃ嬉しかった覚えがあります。

加入してから話すメンバーは、皆日本のトップを担うような本当に凄い人たちばかりで慄いていました。それでも何とか自分に出来ることを自分から行動しようと思って、色んな所に手や口をだして色々迷惑を掛けていた覚えがあります。

夏頃(7月~9月)

8月の中旬、個人的な用事で2週間ほどiGEMに関われない期間がありそのブランクが大きかった記憶があります。
復帰した後、私がいなかった間に進んでいプロジェクトのことを理解する、違った方向に話が進んだストーリーを理解する、それに合わせたHuman Practicesを行うのに準備するなど、自分の解釈の遅れを取り戻すのに精一杯でした。またリーダーが失踪している間、こんなにもチームの事が回らないんだと絶望していました(戻ってきてくれて本当に良かった)
本格的なHuman Practicesの活動を始めたのは、9月上旬になってからでした。HPの活動自体はwiki freezeの5日前までやっていました。

全体的に時間管理が本当に甘かったなと思います。頼まれたことを期日以内に出来なかったり、自分でやると言ったことを結局他のメンバーに頼んでしまったりと、自分の仕事に対する責任感を持てておらず、見積が甘いところばかりだったなと思います。
また、全体のストーリーを立てることも手伝っていたのですが、そちらも改善するべきところが沢山あると思います。私たちのプロジェクトは社会課題からではなく、手法からプロジェクト内容を決めたため、ストーリーを考えるのにかなに時間を要してしまいました。プロジェクトの決定段階で、しなくてもよかったはずの寄り道を沢山してしまっていたように思います。

wiki Freeze前(9月下旬)

私はHuman Practicesのページとdescriptionのページを担当していました。wikiを書き始めるのも、書き終わるのも遅く、もっと早く書くべきだったなと思っています。
特にdescriptionの内容を詰めるのに時間を取られてしまいました。プロジェクトの流れや目的などのストーリーを主に書く箇所にも関わらずFreezeの一週間ほど程から書き始めました。本来はもっと前(少なくとも2週間前)から書き始めるべきだったと思います。「どこまでストーリーを考えれられているのか、何を優先的に考えるべきで、そのためにはどんな資料が必要なのか」ということを洗い出し、ストーリーがどれだけ考えられていないかを明確にしておくべきだったと思います。ストーリーは前日まで意思決定できていなかった部分があり、それもwikiを書くのが遅くなってしまって要因の一つにもなっていました。

最終的に私が全て書きおわったのは、freezeの2時間前ぐらいでした。wiki担当のメンバーには本当に申し訳なく思っています。

パリ渡航(10月下旬)

Jamboreeは若い人しかいない学会みたいでした。

結果発表のスクリーンを見ているのが悔しかったです。名前が上がらないのは予想はしていたのですが、心の中ではどこかに名前があがるのではないかと期待していました。でも、自分たちの半年やってきたことが評価されなかった、評価してもらえる状態まで持っていけなかったことが悲しかったです。

また私は英語が話せなかったことも本当に悔しかったです。Jamboreeに参加している人たちは英語が話せるのが当たり前で、英語が話せない自分が恥ずかしくて仕方ありませんでした。メンバーに通訳してもらったり単語を教えてもらっている自分が本当に情けなかったです。

それでも自分の中では得られたことの方がはるかに多かったです。
人との関わりが自分の中でとても記憶に残っています。私は地方に住んでいて、関東圏に住んでいる他のメンバーと顔を沢山合わせ荒れる訳ではなく、他のメンバーとパリを過ごせたのが本当に嬉しかったです。
また、他のチームとの交流も本当に幸せでした。優しくしていただいた日本チームの大学生の方々とのお話や、私のつたない英語なのに沢山雑談してくれた他の高校生チームの人々、ブースで私の話を聞いてくれた韓国の優しいお兄さん…そういうものが自分にとって何より思い出です。

学んだこと

研究はラボの中だけで終わるものではなく、沢山の能力が必要だということを学びました。英語、外部に発信する力、人脈、コミュニケーション能力、メール作成、人をまとめる力、情報の知識…などなどあげればきりがないと思いますが、これらすべてが能力で研究に必要な事なんだなと実感しました。

また、最初はメールのBCCも何か分からない状態ですが今ではビジネスメールが書けるようになり、自分の中で大学の先生方や企業へ頼るハードルが下がったり、英語が出来なくても論文を読む方法を知ったり、自分自身も成長したなと思うことがあります。

何より、メンバーをみて学ぶことが何より多かったです。彼彼女の考え方だったり、熱意だったり、一年で成長していく人たちを間近に感じられたことが何よりも成長なのではないかと思っています。深夜に作業通話したり、馬鹿話するのが楽しくて仕方ありませんでした。

終わりに

応援してくださった方、支援してくださった方、見守って下さった方、期待してくださった方に、結果として何も返すことができず本当に申し訳なく思っています。

また、Ninjasが作った、iGEMやiGEMerに対する憧れ・期待を受け継ぐことができず本当に申し訳ないです。私は、Ninjasの活躍を見て「高校生でも世界で戦って勝てるんだ、よく分かんないけどかっこいい」と思い、憧れてiGEMへ入りました。その去年の私の感情を、次の人たちに渡すことが出来なかったことがただただ申し訳なく、悔しいです。

個人的には、もうiGEMはやらないかなと今は思っています。自分勝手ではあるのですが、Human Practicesの活動をjudgeに評価していただき、認められたという安堵で自分の中で気持ちの整理がついていることが理由です。自分にとって今年参加することがベストタイミングでした。これからは、自分の能力を高めることに時間を使いたいです。研究もそうですが、それ以前の学生の本文である勉強や、人との関わり方をちゃんと身に付けないとなと思っています。英語だったり、数学だったり、情報だったり、コミュニケーションだったり、学校に通ってない分、勉強は今めちゃめちゃ遅れているのでそれを取り戻したいです。

優しくしていただいたiGEMerの方々、本当に沢山相談に乗っていただいたアドバイザーさんの方々、応援してくださった皆様、そして何よりメンバーやリーダーに感謝しかありません。この一年間本当にありがとうございました。

iGEMをやれて本当によかったなと思っています。なので、このnoteを読んでIGEMや合成生物学に興味を持ってくださる方がいらっしゃれば本望です。このnoteを読んで、質問・感想等あればTwitterのDMまでどなたでも来てください。泣いて喜びます。ここまで読んでくださり有難うございました。


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