「とりあえず感」と生データ

前回のお話から、同じ題材なのですがちょっと切り口を変えて、
「生データ」と「パフォーマンス」の話です。

資材調達部門。彼らのコストダウンの成果は、
前年比マイナス6億円と、組織のサイズ感からしてもかなりの額でした。
カラクリは「為替」。調達資材の半数以上が海外で、
当時はまだ円高基調だったこともあり、円建てベースでの調達額は
前年と比べてもかなり良い状態でした。

「これ為替だよね?君らとしての成果はどれくらいなのよ」
ということで、原価管理部門として、
資材調達コストの分析を始めたのでした。

ハロー、タブロウ

さて、どうしよう
「最初の入庫から追いかければいいんじゃない?」
上司が何気なくご発言。

為替と成果を切り分けよう。
その算出ロジックを皆で話し合っていた時のご発言でした。
(あぁなるほど)
その時は私もあまり深く考えず納得。
ではこれでやってみようとなりました。

成功体験につながる
ロジックは踏み込みませんが(というか忘れちゃった..)
分析の為にすべての資材について、
それぞれ最初に入庫された時点の原価(移動平均原価)を
現時点まで追いかけて分析。
上司と夜遅くまであれこれ試行錯誤し、かなり悪戦苦闘しましたが、
無事切り分けに成功しました。

率直に嬉しかった。
これは私にとっても、社会人として初めての
「成功体験」になったわけです。

生データ(RAWデータ)は存在する。
データを自在に扱えば、なんでもできる。
それは一つの自信にもつながりました。

毎月激重のExcelを量産するように
ところが。当然分析は継続的に行われます。
毎月経過を観測する必要があったので、同じ作業を毎月繰り返すわけです。
その度に、毎回全資材の入出庫推移をデータベースから取り出す。
そして手元のPC、Excelで分析。

うーん。常軌を逸している。


成功体験が変質していく
Excelはどんどん重くなるし、作業負荷も増えていく。
それでも当時は、なんでしょう、
「生データを自在に扱えているのだ」という
見当違いな無敵感に浸っており、事態を深く考えていませんでした。

見かねた上司。
「ちょっとIT部門に相談してみようよ。
 やりたいことは為替と成果の切り分け。
 それ以外のデータは要らないんだからさ」

無敵感に浸っている私。
(え、でもデータが手元にあればなんでもできる…)
それでも、
「承知しました。ちょっと○○さんに相談してみますね」
ということでIT部門も交えて、
僕らにとって必要なデータだけを
抽出してもらえる環境に作り変えました。

あ、とっても楽じゃん。

「無敵感」→「とりあえず感」
「やりたいことは為替と成果の切り分け。 
それ以外のデータは要らないんだからさ」
私は当時、全てのデータを手元にもっていました。
”データを自在に扱えば、なんでもできる”。
それは結局、何かに使えるかも、という「とりあえず感」から
生じる、取るに足らない感覚だったような気がしています。

分析に集中できる環境
Ord7.Performance Best Practice を踏まえまして。
必要な情報だけを切り取り、快適な環境で分析が行えるように
することが大切だと、改めて思ったのでした。

当時はExcelで蓄積も分析も同時にやろうとしてしまった。
分析する上で何がベストかを深く踏み込まなかったし、
他に方法を知らなかった。

分析環境とデータを蓄積する環境は切り分けて、
パフォーマンスを最大限に発揮できるようにすれば、
思考のフローを途切らせることなく、
分析に集中する状態を作り上げることができるのだと思います。


・データはどこか別の所にちゃんと存在している。
・「自分が」手元にデータをもっておく必要は全くない。
・本当に私たちにとって必要なものだけを取得して表示させよう。


この後Tableauと出会うわけですが、
”他に方法を知らなかった”。この状況や態度から脱するって大事。

何か良い方法が他にあるのではないかと、
模索するような、吸収するような、
しなやかな態度で過ごせるようにしたいなーとしみじみ思っています。

引き続き頑張ります。



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