38歳不妊治療 体外受精→妊娠→流産03

12月3日。病院は9時からの診療だけれど、9時ジャストくらいに行ってもいつも待合室には人がたくさん居た。…のは、こういうことかと初めて分かる。朝8時に来てください、採卵の人数が多かったら7時15分に来てもらうグループも発生するのだけど、それは可能か? と事前に問われており、OKと返事をするも当日まで連絡がないので8時でヨシと。

時間には余裕を見て出たつもりが、病院を何百メートルか先に見据えたところで動かなくなる車列。1時間違うとこんなに車の進みが違うのか! と思ったけれど、この日は信号機だか遮断機だかの故障で特別の混み具合だったらしい。

遅刻するかもと気持ちは焦ったけれどなんとか間に合い、受付を済ませて(前金35万を払って!)すぐに内診。子宮内膜の厚み、卵の数と位置をチェック。卵の数が少なく、痛くない場所にあるときは麻酔をかけず、痛み止めの座薬を使うことになるらしいが、卵は2個ですーと言われていた私はきっと座薬なのだろう…「つめこさん、麻酔かけずに行きましょう」先生、あっさり言う。やっぱり。

ということは、麻酔後は1人で帰れない…という制限が外れた。運転もできるので、夫に採卵を待っていてもらう必要がない。自分の採精が済んだら病院を出ていいのだったら、私服じゃなくてスーツで来ていればそのまま病院近くの駅から出社できたのにね。位置関係は 自宅 → 病院 → 職場。けれどこういうときに「しょーがないよ、診察受けるまで分からないことなんだから」とのほほんとしている夫で助かる。

さて、あまり待たずに着替えに通される。4〜5人がまとまって移動する。今日採卵する人はこれだけなのかな、これだけって言ったってこれだけの人が同じ排卵日だっていうことが不思議だよね。みんなうまく行くといいね。ちょっとした連帯感みたいなものはありつつも、みんな無言。目も合わさない。年齢も結婚年数も治療歴も採卵の回数も、きっと、みんな違う。それぞれの事情からなるべく距離を置いて、自分のことにだけ集中するような体でいることは、なんとなくこの病院の中での礼儀だ。

術着に着替えての待合室が寒い。すぐにオペ室に通されるが、採卵前の消毒がけっこう痛い。「つめこさん、頑張りましょうね」「ちょっとチクッとします、はい、1、2、3!」チクッというか、ずしん、と痛い。重痛い。大丈夫、我慢できないほどではない。少し息が詰まるけど。

その「はい、1、2、3!」を4回やった。4つ採れたという。倍じゃん! 少しだけ休んで、カウンセリング室でこのあとの説明。何日培養するとか、戻し(移植)のタイミングをこの電話番号に何時から何時までの間に問い合わせろとか、かなり厳しい制限。フルタイムでの仕事だったら不妊治療は大変だな…と、この半年に何度も思ったことを、また思う。目に見えない卵子の状態に合わせて何かをする日が決まる、今回の場合は受精卵の状態で移植日が決まるので事前に有給を申請しておくこともできないんじゃないか。私はたいして売れてないフリーランスだけれども、それでも仕事の調整はストレスだ。どうしても動けない日や時間にほかのフリーランス仲間に頼むにも、治療のことは言っていないのでどこかで嘘をつくことになるし、結局私も治療を開始してから新規の仕事は受けていない。レギュラーも少しずつ減らしている。

卵のグレードは2、だと言われたけれど、何段階あるうちの「2」なのかは聞かなかった。「2で妊娠、出産までたどり着くパーセンテージは出ているか」と聞いてみたけど、個人差があってごにょごにょと逃げられた。じゃあどうしてグレードを伝えるのかな。自分で調べて不安になれってことなのかな。治療を進めるたびにそれなりに知識はついてきたけれど、ほかの治療者はみんなとても勉強して詳しいような気がする。そうしろとか知っていろとか言われていないので、頭でっかちになって不安になるよりは病院に任せるというスタンスでいる。…というか、いたい。何もかもに詳しくなる前に妊娠したい。


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