超個人的2023年最強プレイリスト20

今年もたくさんの音楽に触れてきました。去年に引き続き、私Tsumeが2023年中に初めて聴いた曲・繰り返しよく聴いた曲を20曲厳選して紹介します。

※2022年版はこちら※



Stradivarius Ocean Front / BUXUS

イントロから休みなく刻み続けるフォービートが存分に生かされた、究極にダンサブルな一曲。自然と足でリズムを取ってノってしまうパワーがこの曲にはある。メンバーが被っていた時期もある、キラーロックバンドな「Suspended 4th」とは打って変わって、「BUXUS」はブルージーで落ち着いた雰囲気の曲が多いのが特徴。だが、この曲はそのどちらでもなく、シンセと同期したギターのエフェクトが完璧にハマっている。
BUXUSのライブセッションの音源もサブスクに上がっているのでそちらも一聴の価値ありです。

初恋の悪魔 -Dance With The Devil- / SOIL&"PIMP"SESSIONSにRHYMESTER を添えて

2022年7月〜9月期に日本テレビ系列で放送されていたドラマ『初恋の悪魔』の主題歌。スリリングなジャズサウンドにRHYMESTERのラップが乗る、一曲で二度美味しい楽曲。

メインどころの林遣都・仲野太賀・松岡茉優・柄本佑の4人全員がクセ強捻くれ現実離れしたキャラしてるんですが、個性に頼りきらずしっかりヒューマンドラマに収束していく展開が見事。"自称"サスペンス作家の怪しい隣人(安田顕)がこれ以上ないくらいハマり役で大好きです。

各話終盤の「引き」の部分でこの曲が流れ出すんですけど毎回ことごとく興味を惹かれる結末になっていて、ドラマとしても絶対心に残るものになっているので是非。

朝日のあたる道(Album mix) / Original Love

90年代に人気を博した、田島貴男率いるバンド「Original Love」の代表曲。最近は『接吻』がTik Tokで人気とかで音楽番組にも久々に出演していました。Mステの時のOvallとのコラボ演奏はバチバチにカッコよかったけど、CDTVで本人が歌ってる周りでTik Tokerの映像流してたのは流石に新手の地獄か何かかと思った。
全ての楽器が一体となって一つのグルーヴを生み出しているのがひしひしと伝わる、多幸感あふれるナンバー。Tik Tokから来た人はこの曲だけでも聴いてから帰ってってほしいです。

SENRITSU feat.Kan Sano / TRI4TH

ジャズバンドでありながら、スカやロックの要素も取り入れたアップテンポで盛り上がれる音楽性が特徴的な5人組バンド「TRI4TH」。この楽曲は、彼らと同年代でシーンを賑わせている編曲家・キーボーディストのKan Sanoとのコラボ作品である。
それまでのTRI4THの楽曲にはなかったようなポップな仕上がりになっていて、特にサビ頭に歌詞を繰り返すメロディが非常にキャッチー。一度聴いたら虜になってしまう「踊れるジャズ」の真骨頂とも言える作品だ。

HORN / Kroi

ファンクやヒップホップのDNAを色濃く受け継ぎながら新しい音楽性を提示するバンド「Kroi」の4thシングル表題曲。ゲス極、SuchmosからKing Gnuに至る、「テクニカルで難解、でもキャッチー」なバンドの流行があってこそ、彼らのような音楽性がメインストリームに出てこられるような気がします。紅白にすとぷり出すくらいならこっち出してくれ。

高い演奏力に裏打ちされたグルーヴィーで正確無比な楽器隊と、がなりの効いた高音が聞き応えのあるボーカルの組み合わせが最高。ライブ版の『Fire Brain』のアウトロの鬼ヤバセッションがクールでアツいのでこっちも聴いてほしい。

W●RK / millenium parade & 椎名林檎

2023年の4月〜7月期にテレビ東京系列で放送されていたアニメ『地獄楽』のオープニングテーマ。millenium paradeらしい緊迫感あふれるビッグバンドのサウンドがアニメの禍々しいバトルの雰囲気に非常にマッチした楽曲。最終話で仙汰が急に自分語りし始めたと思ったら急に殺されちゃったシーンは衝撃的でした。そんなところで急いでフラグ建てないでくれよ……
ジャンプ+での連載とはいえ今までのジャンプ本誌なら完全にアウトだったエロとグロが前面に出る作品で、そこに常田大希と椎名林檎という「脱いでないAV」な二人が絡めば雰囲気は抜群。やっぱアニメ主題歌はこうじゃなくちゃ。

ジェリーロール・ツイスター / Splatoon 3

まさかこんなにハマると思ってなかったですスプラトゥーン。今年の6月ごろに中古で購入してから夏休み中はほぼ毎日触り続けるという業の深い生活を送っていました。

6月から始まった「2023年夏 Sizzle Season」にて、新バンド「YOKO&HORNS FRIENDS」の楽曲として追加されたのがこの曲。スプラトゥーンのバトルBGMとしては珍しくホーン隊を基調としていて、ブルースやジャズのエッセンスも入っているイカした雰囲気の楽曲になっている。

New Battle! / Xenoblade 3

(0:33頃から流れ始めます)

2010年に無印ゼノブレイドが発売されて以降JRPGの歴史に無二の名を刻むこととなった、シリーズの集大成となるDLC『新たなる未来』の戦闘中に流れるBGM。シリーズのフィナーレを飾るにふさわしい、勇壮でパワフルな楽曲になっている。

『新たなる未来』では、3本編中では明かされていなかった、シティー再建の歴史や不可解な点の多かったメビウスN自身の過去にまつわるエピソードが明かされている。それだけでなく、1・2に登場したフィールドやアイテムの再登場などシリーズを通して遊んだファンにはたまらない演出が詰まっている。ゼノブレイドシリーズは全作品Nintendo Switchで遊べるし、ソフト2本まとめて9980円で買えるカタログチケットなら最大で8000円もお得に遊べるので今すぐ買って遊べ、飛ぶぞ(時間が)。

Hit me / Dirty Loops

スウェーデン出身の三人組バンド。圧倒的な演奏力に下支えされた技巧的なフュージョンを得意とするバンドで、宇多田ヒカルの『Automatic』をアレンジした演奏も好評である。フュージョンってあまり聴いたことない人からすればなんのこっちゃという感じで好き嫌い分かれると思うんですけど、生のフュージョンはパワーが段違い。一気にグルーヴが支配する世界に惹き込まれること間違いなしです。
たまにインスタのストーリーズみてると黒人のバンドがフュージョン弾いてる広告流れてくるんですけどあれなんなのか知ってる方教えてください。

The De'but / 有形ランペイジ

ボカロPとしても名を馳せるsasakure.UK率いるバンド、「有形ランペイジ」の1stアルバム『有形世界リコンストラクション』収録楽曲。固有名詞長すぎ。
有形ランペイジの圧倒的アンセム『世界五分前仮説』の影に隠れて今年まで気づかなかったがこの曲もすごい。ギター・キーボードのユニゾンで鳴るサビとか鍵盤上を跳ね回るピアノソロとか、どの音とっても「最高」って書いてある。おそろしく複雑なリズムのドラムと細やかなゴーストノートまで聞こえてくるベースの絡みも至高。2:27からの超絶スラップベースソロが強すぎて僕は即死しました。

Bayfront Avenue / bohemianvoodoo

二つのモチーフを行ったり来たりして溜めた勢いを最後のエレピソロで放出する展開が素晴らしい楽曲。Aメロのポップス的な4つ打ちとBメロのジャズ的な高速ウォーキングベースの対比が良い。リズムの対比の上で口ずさみたくなるようなメロディーが踊るのも素敵だ。
舐め回すようなギターソロが絶品なので是非。

東京行 / Southward

神戸出身バンドSouthwardの楽曲。
これいまだに覚えてるんですけど、2022年12月31日、何気なく流していたApple Musicの「ステーション」機能で偶然流れてきた『カウンターチューン』がド刺さりして見つけてきました。題名の通り東京へ向かう夜行バスに乗る主人公の心情を象徴しているであろうコード進行が非常におしゃれ。
バンド公式Twitterは今年の1月1日を最後に更新されてないし、HPには「神戸出身4人組バンド」って書いてあるのにYouTubeアイコンの写真は3人だし、何があったのか想像に難くないが、作曲やアレンジも非常に魅力的なこのバンドが行方知れずなのが残念すぎる。彼らは東京に来れたのか、それだけでも教えてほしいです。

「あの娘は誰?」とか言わせたい / KIRINJI

二人時代に発表した『エイリアンズ』が近年再評価されているバンド、KIRINJIが2019年に発表したアルバム『cherish』収録楽曲。ダンスミュージックを基調とした小気味良い低音と浮遊感のあるシンセパッドの音色が、歌詞にあるような「夜中のフライト」を思わせる一曲。
非現実感のあるサウンドながら、歌詞は現代社会の孤独や精神的・物理的な貧困を描いていて、切り口が鋭い。「あの娘は誰?」と言わせることが承認欲を満たす、という虚ろな生活に共感してしまえば最後、出口のない不幸に苛まれ続けてしまうのである。

雨 / ペトロールズ

東京事変のギターを担当する長岡亮介(浮雲)がフロントマンを務めるペトロールズのスタンダードナンバー。絶えず繰り返される特徴的なコード進行が耳に残り、雨の降る切ない情景を感じさせる名曲。
原曲もさることながら弾き語りバージョンもまた違った切なさがある。原宿の街角で長岡亮介がアコギ一本で弾き語りしてるの見つけるとか人生何周したら体験できますか。下北行けばワンチャンありますか。派手な技巧を見せつけるでもなく、まっすぐとしたギターの弾き語りが非常に良い。

人マニア / 原口沙輔 feat. 重音テト 

前衛的音楽とポップスのちょうど中間にあるものは手軽な狂気なんですけど、まさにその要素をうまく併せ持つのがこの曲。歌詞がそもそも支離滅裂で意味のつながりがさっぱり読み取れない。な〜んだとか言われても困る。サウンドも独特の音づくり、SEの使い方で回していて、初見はギョッとする人も多くいるだろう。
MVの独特のフォントもスマホの中でちょこまか動くテトも突然の爆発ソロもオケヒも全部変なんだけどそれでいてポップでキャッチーという孤高の一曲。物足りないのでもう一回聴きます。

バカ通信(feat. 知声) / isonosuke

かつては「ネットのおもちゃ」「テンプレの流れ」などと呼んでいたはずのものが、ここ2~3年ですっかり「インターネットミーム」という語に置き換わってしまったような気がします。もともとの呼び方があんまりにも悪意が強すぎるからこんなに速く置き換わったような気がしているんですけど、「ミーム」っていう"罪悪感の薄い"ワードの本質は元の語みたいな人間の残忍さにあると思う。そんな人間の業を煮詰めて煮詰めて笑い飛ばしてくれるのがこの曲。

MVに登場するのは、SNSやってりゃ嫌でも知ることになるような有名な「おもちゃ」だらけ。「コ ロ ン ビ ア」「チャリで来た。」あたりならまだポジティブなんですけど「寿司ペロ」「◯夢」「ケーキを三等分するはんじょう」あたりは明確に悪意が流行になったもの。『INTERNET YAMERO』みたいな歪んだ愛に依存してるメンヘラよりも、『薬にゃならんが 肴にはいい』とみんなが思ってることの方がずっと人間味があって共感できるような気がします。

ちっちゃな私 / マサラダ

一生聴け。

普通の重音テトと"ちっちゃな"重音テトの輪唱で進む展開が秀逸すぎる楽曲。普通のテトがキーボードソロを始めたと思えば小テトがトイピアノを引っ張り出して掛け合いが始まるとか可愛いにも程があるだろう。音楽・イラスト・動画の全てを一人で制作しているボカロPだからできる業である。
"ちっちゃな私"が何を意味しているのか、明確には示さずとも気づかせてくれるラストが最高。きっと君にもいるだろう、ちっちゃな私が。

さらば純情 / 椎名林檎

今年、デビュー25周年を記念して発表したシングル『私は猫の目』収録曲。
バンドセッションを想定して書き下ろされた表題曲とは打って変わって、打ち込みのシンセサイザーがエモーショナルに響く一曲。半ば壊れてしまったかのようなドラムの激しい音色が、過ぎていってしまった過去を懐かしんでいる時の心情と重なって一層切なさを加速させる。

TATTOO / Official髭男dism

2023年4月〜6月期にTBS系列で放送されていたドラマ『ペンディング・トレイン-8時23分、明日 君と』の主題歌。『Pretender』『パラボラ』のようなミディアムテンポながらリズミカルに刻むベースが心地よい一曲。
この曲は特に韻の踏み方がすごい。

「君と僕との間柄なら そりゃ赤らんだ顔だって晒すわな」

後半の(a)の母音による押韻(赤ら[akara]んだ[da]顔[kaお]だ[da]って晒[sara]すわな[wana])がレベチ。語尾が「わな」の歌詞歌うか普通。
ドラマ自体は超展開が多すぎ、要素のミスマッチさなど、多少とっちらかった印象もあったが、その中でもイントロのエレピの音色がキャッチーすぎて続きが多少は気になるようになっていたのは髭男の功績で間違いない。

Upon you / Bialystocks

映画監督としても活躍する甫木元 空と、キーボーディストの菊池 剛が、自身の映画の劇伴の制作をきっかけに結成されたバンド、Bialystocks。あまりにも主人公すぎる成り立ちのバンドだが、いい意味で肩の力が抜けて穏やかな心地になれる作風が特徴。この曲は特に気張らないサウンドが印象的だが、気づけばMVのように体を動かしたくなるサビが良い。ってかこのMV何よ。

映像作品の監督としての視点も備える人が書いているからこそ、生活の中の苦しみを芸術作品として歌詞に昇華できているような、そんな作品である。

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