超個人的2024最強プレイリスト20

自分がその年に初めて聴いた曲の中で特にお気に入りのものを20曲集めるこの記事シリーズ。早いもので3年目に突入してしまいました。1アーティスト1曲縛りで20曲。発表年代はまちまちですが、全て私が今年初めて聴いた曲です。


Acquiesce / Oasis

1995年発売のシングル『Some Might Say』のカップリング曲として初めて世に発表されたこの楽曲。のちに発売された、B面だけを集めた「裏・ベストアルバム」である『The Masterplan』にも収録されています。
歌い出しからのノエルのしゃがれたハスキーボイスから、サビのリアムの伸びやかな高音に切り替わる展開が圧巻。拳突き上げて聴け。

今年は「そういえばちゃんと聴いたことなかったな」っていうバンドをよく聴いていたのでその辺から何曲か選んでいます。Oasisで言うとどうしても1st・2ndの存在感がデカすぎて他のアルバムを聴いてこなかったので、他のアルバムを深掘りしていました。5th『Heathen Chemistry』とか割と好み。

Precious / UNCHAIN

「そういえばちゃんと聴いたことなかったな」シリーズ2バンド目。インディーズ時代の楽曲の再録版などが多く収録されているメジャー1stフルアルバム『rapture』収録。
ポップでロックでキャッチーなサウンドが特徴な一曲。起伏が多く、切なさの混じるコード進行の上で、少しハスキーさの混じる高音が非常に心地よい。

UNCHAINを初めて知ったのは2作目のカバーアルバム『Love & Groove Delivery Ver.2』(能動的三分間とかVirtual Insanityとか収録)で、これがかなり最高だった。原曲の魅力を活かしながら自身のバンドの色がしっかり乗った良いカバーは、狙ってもなかなか作れるものではない。興味のある人はぜひ。

FUEL / the band apart

2003年に発表された1stアルバム『K. AND HIS BIKE』の1曲目に収録された曲。緑のジャケ写がクール。軽快なギターリフから始まって、だんだん激しくなっていくドラムプレイ、大きくかき鳴らすギターの展開が良い。メジャーデビューアルバムらしく、バンアパの初期衝動が存分に詰まった一曲。
同アルバムに収録された、ファンキーなギターメロやタイトなリズムが特徴の『Eric.W』も名曲。

パレード / SCOOBIE DO

ポップスやロック、ジャズの要素を取り入れたファンクジャンル"Funk-a-lismo!"を標榜するバンド、Scoobie Doが2004年に発表した楽曲。この曲は特にポップス色が色濃く出ていて、ホーンセクションの華やかなサウンドが特徴。ねっとりとした声質が力強く、歌詞が心に響く。「背中を押してくれる曲」という言葉がこれほど相応しい曲もなかなかないだろう。
よりファンクに近付いたサウンドやスカのリズムを取り入れた楽曲など、アルバムごとにさまざまな様相を見せてくれるバンドがSCOOBIE DOなのだ。

Georgy Porgy / TOTO

80年代に特に日本で人気を博したアメリカのロックバンド、TOTO。当時のアメリカでスタジオミュージシャンとして活動していたメンバーを中心に結成された。聴いたことない人は『Child's Anthem』とかググって聴いてみると聞き覚えがあったりするかもしれません(10年近く前にsuzukiのワゴンRのCMでかかっていた)
この曲は、R&Bやファンクの黒人音楽的なグルーヴを下地にしつつ、切ないポップソングに仕上がっている。曲後半のキメからの「泣き」のギターソロの流れがまたそそられる。時代の空気感を吸いたい時に聴くとキマるのでおすすめです。

Super Ball / TOMOO

令和のJ-POP、ここに極まれり。
昨年の9月に発表された1stアルバム『TWO MOON』の1曲目に収録されている楽曲。AメロBメロサビを2回やってCメロやって半音上げラスサビだし、サビなんかゴリッゴリのJust of the two us進行(丸サ進行)だし、まぁ音楽的要素だけ拾えばよくある曲なんですが、この曲が他と比べて異彩を放っているのは、底抜けに明るく陽気なブラスアレンジと聴く人や時代の価値観に訴えかける切実な歌詞だ。
この曲のアレンジを務めるのは、実力者だらけの化け物バンド、CRCK/LCKSのリーダーを務める小西遼。そりゃ強いわけだわ。Cメロの「君の強さは とんがってるその先じゃないとこにだって宿ってる」を座右の銘にしたい。

Kids / Bialystocks

今年の10月に発表されたアルバム『Song for the Cryptids』のリード曲。歌い出しから穏やかなボーカルとピアノで滑り出したかと思えば、哀愁漂う「泣き」のギターソロに切り替わったり、とにかく緩急が美しい曲。ジャンルレスな音構成を特徴とするBialystocksの楽曲の中でも、特に表現し難いサウンドを見せる一曲だが、ボーカル甫木本空の澄んだ声が全てを包み込み、心の芯に響いてくる。
全曲いいので全曲聴いて(丸投げ)

千年紀末に降る雪は(Drums.Piano OFF Ver.) / キリンジ

9thシングル『ムラサキ☆サンセット』に収録されている、『千年紀末に降る雪は』のドラムとピアノ抜きバージョン。ストリングスとボーカル、あと少しのホーンセクションをメインに構成されていて、原曲よりも繊細さを備えたアレンジになっている。イントロのチューバの特徴的なベースライン、てっきりそのままチューバなのかと思いきや歌い出しからはウッドベースに替わっていたり、原曲を聴くだけでは気づかなかった魅力にも気づけたりします。Cメロ前の間奏などでうっすら原曲バージョンが聴こえるのも秀逸。

今年の6月、ワーナーに所属していた時代の初期キリンジのシングルが一気にサブスク解禁されてから自分の中でキリンジ熱が再熱して、今まで聴いてなかったアルバムを聴くようになりました。今回解禁されたカップリング楽曲は大部分がアルバムにも収録されているので、4th『Fine』までを特によく聴いている自分にとってそこまで新鮮さはなかったですが、この名アレンジを発掘できたことはかなり収穫でした。ぜひ。

Highway star, Speed star / Cymbals

90年代後期から2000年代初頭にかけて活動していたバンド、Cymbalsの代表作ともいうべき楽曲。
フリッパーズ・ギターやピチカート・ファイヴといった"渋谷系"のアーティストの影響をもろに受け、まさに"ポスト渋谷系"といった聴きざわりの、スピード感あるビートが特徴。手を替え品を替え繰り返されるシンコペーション盛り盛りのサビのリズムが最高潮に気持ちいい。ドライブ中にどうぞ。

凡愚(feat. 知声) / isonosuke

今年もいろんなボカロ楽曲がムーブメントを作っていきましたが、映像作品として最強を選ぶとしたらこの曲。示唆に富んだ歌詞は画面を縦横無尽に飛び回り、画面中心のキャラクターはさまざまに形を変える。映像の効果が歌詞や楽曲の世界観と見事にマッチして独特の読後感が得られます。
インターネットで暮らしていると、思いがけず自分の愚かさを自覚してしまったり己の為したことの小ささに落胆してしまうことが多々あるわけですが、この曲はそれらの感覚を引き摺り出して精神の表面に出してくれます。こわいですね。

おくすり飲んで寝よう(feat. 初音ミク) / もちうつね

Kawaii的な煌びやかさをもつ華やかなサウンド、ピンクを基調としたキャッチーな動画デザイン、吐息の多く混じった特徴的な初音ミクの調声、のどれをとってもポップでキュート。……なはずなのにどことなく不気味で底知れない狂気性すら感じるのは、どうやら歌詞のせいだけではないようだ。
個人的な聴きどころはAメロ。2小節終わったら半音二個分下に転調するのを4回繰り返しています。エグすぎ。

アウトサイダー / ROSSO

最凶 of 最凶。
THEE MICHELLE GUN ELEPHANTのチバユウスケ、BLANKY JET CITYの照井利幸らを中心に、2000年代初頭に活躍したロックバンド「ROSSO」の楽曲。雄叫びのようなものものしいギターのイントロから始まり、ドクドクと地響きを起こすベース、激しくひっかき回すドラムも非常に最凶、といった感じのサウンドだが、それら全てを全部掻っ攫ってしまうのが、チバユウスケの唯一無二のボーカル。メロディの最後、楽器の演奏がピタリと止んだ瞬間、「あんたにはきっと何にも見えねえだろうけど」の破壊力が凄まじい。圧倒的説得力。

スーパースター / 時速36km

武蔵大学のサークルメンバーで結成されたバンド、時速36kmが2021年に発表したメジャーデビューアルバム「輝きの中に立っている」収録。
初めて聴いた時、「俺が音楽を作って伝えたい全てのこと」の先を越されてしまったと本気で思った。嫉妬や羨望といった心の後ろめたい部分をしっかり咀嚼した上で残る、その芯の部分を掬い取ってくれる歌詞と、それを歌い上げるハスキーな高音の親和性が圧巻。こうやって心の弱みを曝け出す音楽って少し説教くさくなってしまったり、逆に聴き手が心配になってしまうくらいナヨナヨしたものになったりするのですが、この曲は的確かつ繊細な言葉選びと大胆なバンドサウンドが掛け合わさることで心の髄に訴えかける作品になっています。

N木ig木ht木L / ゼノブレイドクロス(音楽:澤野弘之)

毎年恒例ゼノブレイドコーナー。
2015年に発売されたWii Uソフト『Xenoblade X』内のフィールド「夜光の森」でかかる曲。シリーズの他作品とは異なり『ガンダムUC』や『進撃の巨人』でお馴染みの澤野弘之氏がメインコンポーザーを担当している。この曲は特に、シリーズではあまり登場しない民族楽器を中心としたエキゾチックなアレンジになっており、鬱蒼とした森のBGMとしてベストマッチ。読み方が未だにピンと来ないのはここだけの秘密です。

「ゼノブレイドファンを名乗るならクロスもやっておかなければな〜〜」と長年思い続け、必要なものを買い揃えてからも三ヶ月間くらい積んでいたのですが、夏あたりに時間ができたのでやっとクリアまでプレイできました。傑作続きのゼノブレイドシリーズの中にありながら評価があまり高くなく、そのせいもあって腰は重かったけれど、いざ進めてみると下馬評など気にならないくらい楽しめたのでよかったです。Switch版楽しみ。

POP STAR(カバー) / ゴリラ祭ーズ

滋賀県発のスリーピースバンド、ゴリラ祭ーズ。鍵盤ハーモニカやリコーダーを用いた、柔らかくもどこかクセのあるサウンドが特徴的である。公式YouTubeチャンネルには、オリジナル楽曲だけでなくメンバーの演奏を多重録音で行ったカバー動画が多数投稿されている。そのどれもが、原曲の雰囲気とバンドの懐かしいサウンドが絶妙な塩梅で混じり合ったアレンジになっていて、お見事。特にこの『POP STAR』のカバー動画は原曲の持つ温かなキャッチーさがこれまたちょうどよく彼らのサウンドにあっていて、絶品。
POP STARはここにいた。

くるみ / Mr.Children

2003年発売、Mr.Childrenの25枚目のシングル曲。
古今東西、「人生における成長と老い」や「出会いと別れ」をテーマにしたJ-POPの楽曲は多々あれど、この曲以上の説得力を持つものもそうそうないだろう。必要最小限でありながら要所要所で効果的に挿入される小林武史のキーボードもその感動を後押しする。あまり出張ってこない頃のコバタケが一番いいのでそのままでいてほしかったです。
この曲のMVを見た後に最新アルバムに収録されている『Fifty's map〜大人の地図〜』のMVを観るのが日課。

zanzo / goethe

2020年結成、札幌を拠点に活動するバンドgoethe(ゲーテ)。良い意味で脱力感のあるゆったりとしたサウンドが特徴。
柔らかく甘い声でありながらしっかり芯の通ったボーカルが最高。ハイボールとか呑みながら永遠に聴いてられる。個人的にこれからが気になるバンドです。

Open World / toconoma

11月に発売されたtoconoma4年ぶりのフルアルバム『ISLAND』収録。
toconomaといえばジャズ・ポップス・テクノといったジャンルを横断したサウンドが特徴だが、この曲は特にポップスに真っ向から向き合った真っ直ぐなメロディが素晴らしい。toconomaとしては珍しく、ギターをかき鳴らすシンプルなメロディで構成されたサビは聴き心地抜群。

春 / 新東京

1月に発表された、新東京初のフルアルバム『NEO TOKYO METRO』の最後に収録されたナンバー。
曲単体としても、澄んだ音色で絡みつくメロディを奏でるエレピと、まるで歌うように自由に動き回るベースの演奏が美しいのですが、この曲が真価を発揮するのはアルバムを1曲目から通しで聴いた時。このアルバムは近年の作品としては珍しく既発曲なしという「全曲が新曲」状態で発表されており、各曲がシームレスに遷移していくのが大きな特徴である。アグレッシブな演奏で聞き応えのある『NTM』・『Escape』に始まり、リズムを一気に落として『さんざめく』、新東京の精神世界を決定づける『7275』ときて、最後にこの曲が来る構成が見事。
新東京は、常に新しい。

すごい速さ / andymori

「バンド名は知ってるけどそういえばちゃんと聴いたことなかったな」と思っていたのですが、Tik Tokで空前のリバイバルヒットの噂を耳に入れて聴いてみたら大当たり。中高生の時に聴いていなかったことを後悔してるバンドランキング個人的第一位です。
わずか1分半の楽曲の中に、『5分前に出会った二人も今じゃベットでささやき合って』『そのセンチメンタルはいつかお前の身を滅ぼすのかもしれないよ』とキラーフレーズを叩き込み、程よく歪み程よく暑苦しいギターの音色とボーカル小山田壮平のカラリとした歌声で焦燥感と熱量を伝え切り、キッパリとアルバムを締める潔さが良い。
すごい速さで1年は過ぎたが ベイベー ラララララララ

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