有限会社 ボリス・ヴィアン
妻が「古物商許可書と取得したい」と言い出した。
以前行ったフリーマーケットで味をしめたらしい。
流石に「後にしなさい」と助言した。
“流石に”と言ったのは理由がある。
今年に入ってから始めた妻の習い事、仕事の数は常軌を逸している。
コーチング、着付け、ファッションアドバイザー、グラフィックデザイナー、オーダーワンピースの作成、あずま袋の供給、ステテコの配布、、
全て彼女が2021年から始めたことだ。
さらに古物商になりたい、と言うのは「流石に後にしなさい」となるわけだ。
いろんなことをマルチにこなせる「何でも屋さん」は一見需要がありそうだが、ビジネス的観点で言えばやはり業種を一点に絞った方が仕事の依頼はされやすい。
しかし、彼女の魅力はこのとっ散らかったエネルギーの放出にある。
風鈴が少しの風にもしっかり音を鳴らして応えるように、赴くままに靡く様は彼女の美しさでもある。
やりたくもない仕事をせずに済むように、アマチュアとして複数の肩書き持ったボリス・ヴィアンの生き方に妻は潜在的に惹かれているのかも知れない。
《精神的売春》をせずに生きていこう。
分かったよ、次は古物商ね。