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やまとや

親友という言葉が、あまり好きではない。

「俺たち親友だよな!」
「あいつ、俺の親友なんだよ」
「まじ親友」

そのような類のことを聞くと、「親友」という言葉をブランド品のように見せびらかせているよう気がして冷めてしまう。自分自身が捻くれていることは重々承知しているが、どうしても簡単に「親友」と言ってしまう人を信用することができない。


それらを踏まえて言わせていただきたいことは、僕には「親友」がいる。


「おいおいどういうことだよ」と思われてしまうことも、重々承知している。しかし、どう考えても「やまと」は「親友」なのだ。

ここで突然現れた「やまと」という人物は、僕が物心ついた時からの付き合いである。おそらく、僕が家族以外で初めて人間として認識したのが「やまと」である。
近所の公園で出会った僕たちは、小〜中学校と同じ学校に通い、同じ野球部で切磋琢磨してきた。家が近所だったこともあり、授業がある平日も、練習や試合がある土日も毎朝一緒に学校に通った。それだけ同じ時間を過ごすとおかしなもので、寒い朝などは「おはよう」の一言だけ交わして、無言で十五分程歩いたこともある。
兎にも角にも、僕という人物が形成されるにおいて、「やまと」の存在は本当に大きかった。

当時から捻くれていた僕と「やまと」は、二人でニッチな笑いを追求していた。
市長選のポスターを見て勝手にキャッチコピーを決めたり、近所の公園に集まっている飲んだくれのおじいちゃんにあだ名を決めたり。
特に印象的だったことは、学校へ向かう際、毎朝庭いじりをしている個性的な髪型をしたおじさんがいた。僕たちはそのおじさんに「ワカメちゃん」と名付け、「毎朝庭で何しているんだろう」「仕事しているのかな?」とワカメちゃんの動向を追っていた。
するとある日、庭にいるはずの「ワカメちゃん」が、玄関からスーツ姿で出てくることがあった。今となってみては何てことはないが、僕たちは「ワカメちゃん、ちゃんと働いていたんだ…!」と感動を覚えずにはいられなかった。

これだけだと只のくだらない少年に聞こえてしまうが、「やまと」は誰よりも努力家だった。
中学校三年の頃、野球部でキャッチャーを務めていた「やまと」は、周りよりも少し背が低かった。そして一学年下には、「やまと」よりもガタイが良くて将来有望なキャッチャーがいた。監督は「やまと」よりその後輩を評価していた。
不貞腐れたり、諦めたりしてしまうには十分な環境だった。

しかし、「やまと」は諦めなかった。

誰よりも練習を重ね、夜も一緒に公園で素振りをした。何度も素振りをした。
鬼のように恐ろしい僕の父も、誠実に努力を重ねる「やまと」のことを心から尊敬しており、「なんで「やまと」ができてお前ができないんだ!」と拳をお見舞いしてくれることもあった。

そしてその努力は最後の最後で花開き、見事にキャッチャーのレギュラーを奪取。さらにはなんと、チームは神奈川県大会まで進んだ。
最終的には惜しくも県大会で敗退となったが、当初は後輩を評価していた監督も「このチームを県大会にまで導いたのは「やまと」だ」と最大級の賞賛を最後に残してくれた。

そんな「やまと」から僕は、ユーモアと努力の大切さを学んだ。
その二つは僕の人生においてとても重要な要素になっている。この二つのおかげで、今日までやってこれていると言っても過言ではない。

だからこそ、「やまと」は「親友」だ。
僕に大切なことを教えてくれた「親友」だ。
結婚式の友人代表のスピーチを頼むほどの「親友」だ。


そして、その「親友」が、お店を出した。

鍼灸師の「やまと」が、地元横須賀市でお店を出したのだ。
こんなに嬉しく、こんなに感動することは中々ない。

どんな小説よりも、ドラマよりも、映画よりも、心を震わされた。

いてもたってもいられなくなったのは、僕だけではない。
大切なことを教えてくれた他の「親友」たちも同様だった。

皆で連名の花を贈り、皆でお店に駆けつけた。
「やまと」はいつもと変わらずにそこに立っていたが、いつもより大きく見えた。
そして輝いて見えた。
なんて感慨に浸るほど、僕たちはセンチメンタルな関係ではない。
皆で冗談を言いながら、「やまと」を讃える。
一通り讃え終わると、それぞれ「やまと」の施術を受けることに。

ちょうどデスクワークで肩こりに悩まされていた僕は、その症状を伝えて、施術台にうつ伏せの状態になった。

そこからはあっと言う間だった。

穏やかな音楽をバックに、「やまと」の軽快なトークを聞きながら、首や肩に鍼が刺されていく。もちろん痛みや違和感はない。
昔から繊細できめ細やかなリードとキャッチングをしていた「やまと」のことだ。その手先や神経は誰よりも信頼ができる。

少し経った後、鍼を全て抜くと、明らかに体が軽くなっていることが素人の僕でも分かった。翌日には首や肩の痛みが軽減されていた。
「なんてすごいんだ、鍼…!」と人知れず再びの感動を覚えた。

そしてもう一つ分かったことは、「やまと」はもう「やまと先生」なのだ。

今までも僕の知らないところでたくさんの方を施術して、たくさんの方を救ってきたのだろう。容易に想像がつく。
もちろん、ここに至るまでの苦労や苦悩もわずかではあるが知っている。
だからこそ、この現状を心から嬉しく思い、心から成功してほしいと強く強く願う。
しかし、願うだけでは満足もできないので何の力もない僕だが「親友」の為に何かしたい。

というわけで、これを見てくださった皆様、是非一度「やまと」のお店、【やまとや】に行ってくださったら幸いです。本当に幸いです。
人柄も技術も間違いありません。物心ついた頃から知っている僕が言うのだから、間違いありません。
体の様々な悩みを抱えている方、「やまと」に話をしてみてください。たとえ難しい悩みだったとしても、誠心誠意何とかしようとしてくれます。
「やまと」はそういう男です。

皆様、何卒よろしくお願い申し上げます。


最後にやまと、本当におめでとう。本当にかっこいいよ。
いつかワカメちゃんが来てくれたら教えてね。


【やまとや】
神奈川県横須賀市大滝町1-26 2F
046-876-8701

※オープンしたばかりでまだ情報がアップされていないようですが、これから更新されるはずです。

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