【お知らせ】2023年度 つまごい観光ビジョン策定
(一社)嬬恋村観光協会と嬬恋村は共同で、地域の観光振興計画書として「2023年度 つまごい観光ビジョン」を策定いたしました。
本ビジョンに対して地域内での理解を深めたい、またより多くの方に本ビジョンや嬬恋村のことを知っていただきたい、という想いで、本ビジョンについてご説明させていただきます。
嬬恋村観光協会のこれまでの歩み
任意団体の「嬬恋村観光協会」として、事務局スタッフ2名で嬬恋村観光案内所の運営と広告宣伝をしていた2016年までの組織から、村内特産品の販売/PRやホームページや各種SNSなど情報発信ツールを活用した施策、観光協会事務のICT化などが進み、スタッフの増員や地域おこし協力隊の受入も始まりました。
そして、2019年に「一般社団法人嬬恋村観光協会」として法人化し、本村の観光振興について、村からの委託を受けながらノウハウの蓄積を進めてまいりました。
また、同時に観光庁や群馬県の補助事業にも積極的にエントリーできるようになり、旅行業への取り組みなど、法人化したメリットを生み始めております。
2022年末の時点では、専任の事務局長1名を始め、2名の社員、8名の地域おこし協力隊員の総勢11名で、村の観光振興を担う組織として様々な事業に取り組んでおります。
そして、観光振興のハード面を役場観光商工課、ソフト面を観光協会と役割分担を明確化し、役場のその他関連セクションや関係団体とも連携を進めているところでございます。
本ビジョン作成の背景と目的
嬬恋村は、「ぐんま5大温泉地」と呼ばれ、湯治場としても古くから愛されていた、硫黄たっぷりで絶景も堪能できる万座温泉をはじめ、村の大部分が上信越高原国立公園の区域に指定されているほどの自然にあふれた地域として、また「草津温泉」や「軽井沢」という世界的な観光地に隣接している地域として、県内でも4番目という多くの宿泊客が訪れる観光地です。※群馬県が実施する「群馬県観光客数・消費額調査」の中で、宿泊客数について調査していた最後の年2017年の調査結果より
しかしながら、近年で急速に多様化している観光客のニーズやインバウンド受入への取り組み、そしてコロナ禍による世の中全体の変化や持続可能な社会を推進していくという視点・・・これらのように、従来では「観光の課題」とされていたことが「地域の課題」として、地域全体で取り組まなくてはならない課題へと変化しています。
私たち観光協会は、たくさんの観光客に訪れていただくことが「目的」ではなく、地域として持続していくための「手段」として、観光振興策を実施し、嬬恋村全体の維持/発展に寄与していくことが「目的」です。
今一度、地域として「観光振興」に取り組む意味、目的を整理し、地域全体の課題として観光振興策に取り組んでまいります。
本ビジョンは、その一歩目として、2023年度の観光振興策の構想を明文化し、地域の目指すべき方向性を示したものです。
観光振興が地域にもたらすメリット
観光振興が地域にもたらすメリットは大きく分けて二つあり、一つ目が経済面の効果、二つ目が地域面の効果です。
①経済波及効果
宿泊施設に泊まった方が、その施設に辿り着く、またはお帰りになるまでの道のりで、地域内の飲食店やレジャー施設、お土産屋などでお買い物をする経済効果や、宿泊施設が仕入れた地域の食材、特産品などにおよぶ波及経済効果
②雇用の誘発
観光客の増加によって、地域の人材(パートタイマーなど含め)が、①で挙げられた施設などでの雇用が誘発される
③地域のサービス維持への貢献
地域になくてはならない、コンビニやガソリンスタンドなどにも経済波及効果/雇用の誘発は広がり、地域のサービスが維持される
そのほか、各施設の建築/改修にも、地域内の建設業に仕事が生まれるほか
アクセス道路や二次交通などの整備も進むことで、地域住民の暮らしやすさにも貢献する
④移住・別荘などへの足がかり
地域やその地域の資源(自然環境や温泉など)に対する認知度が高まると、別荘購入や移住先としての候補地になる
⑤交流人口・関係人口の創出
観光資源や施設が充実すると、地域外から人の流入が増え、観光やビジネス目的で地域に関わる交流人口や、その地域の人や仕事に関係しながら地域に関わる関係人口が増える
⑥住民の地域への誇りや愛着の醸成
自分の住む地域の資源が優れていることや、それが評価され多くの方が地域に関わることで、その地域の住民は地元への誇りや愛着をもつようになる
これら①〜③を経済面の効果、④〜⑥を地域面の効果と位置付けています。
嬬恋村の観光の現状と課題
本村の観光入込客数は1993年頃をピークにゆるやかに減少傾向しています。
1993年頃は、スキーブームによるスキー場への入込と、バブル景気で別荘の購入/ペンションの開業などが盛んだった時期なため、入込客数がピークだったと推測されます。
つまり、本村はスキーブームやバブル景気などの外的要因により、観光客の数を保っていたが、やがてそれらの外的要因はなくなり、右肩下がりとなっています。
比較して、お隣草津町さんは観光資源が確立され、本村を逆転し年間350万人にも達しようかというほどの入込客数となっています。
やはり、このままではますます観光客離れが進み、残念ながら地域として成り立たなくなってしまうのが目に見えております。
次に、2019年の月別の観光入込客数の推移を見てみると、8月が圧倒的なピークで夏休み期間、ゴールデンウィーク、冬季の順に入込客数が多いということから、避暑に来た別荘客、休暇中のリゾートライフ、スノーシーズンに多くの需要が偏っていることが推測されます。
対して、草津町さんは1年中コンスタントに観光客が訪れています。
これは、本村は季節的な雇用が多く、また草津町さんは年間を通じて安定的な雇用が確保できることが伺えます。
季節的な雇用(安定的な雇用でない)では、他の生業と組み合わせて生計を立てる必要ができてしまいます。
人口減少や急激な高齢化社会が迫る本村において、このままの観光振興策ではなく、観光資源の発掘/磨き上げを行い、通年的な観光ニーズを掘り起こし、地域の持続性を高めていかなくてはなりません。
嬬恋村の観光ポテンシャル
嬬恋村の観光資源について、アンケート調査(プレミアパネルアンケート※)を実施したところ
【あなたが次の旅行の中から今後最も行いたいと思うもの(日帰り含む)を
一つお選びください】の回答として
1-めぐり湯や湯治(8,468人)
2-配偶者・恋人の聖地(5,332人)
3-地域の歴史(3,698人)
4-紅葉(2,467人)
5-キャンプ(1,976人)
6-花(1,880人)
7-トレッキングや山登り(1,852人)
(n=30,120)
となっており、次に
【上記の回答のツーリズムにおいて、嬬恋村が次回のご旅行の候補地としてどの程度考えられますか。最も当てはまるものを一つお選びください。】の回答として「A_有力候補の一つ」「B_候補の一つ」
として答えていただいた方は
1-めぐり湯や湯治(A_22%=1,867人/B_65%=5,504人)
2-配偶者・恋人の聖地(A_14%=747人/B_53%=2,826人)
3-地域の歴史(A_12%=444人/B_58%=2,145人)
4-紅葉(A_14%=345人/B_62%=1,530人)
5-キャンプ(A_21%=415人/B_63%=1,245人)
6-花(A_14%=263人/B_64%=1,203人)
7-トレッキングや山登り(A_26%=482人/B_64%=1,185人)
(n=30,120)
ということで、「めぐり湯や湯治」は
マーケットとしても大きく、嬬恋村のポテンシャルが活かせるコンテンツとしても非常に魅力的だということが改めてわかりました。
次に、「配偶者・恋人の聖地」という分野では
「愛妻家の聖地」嬬恋村としてPRをしていましたが
ニーズがあるのにもかかわらず
他と比べると、旅行先としての認知はまだ低く
大きく改善する余地があることを感じました。
「地域の歴史」や「紅葉」「花」などは
この地域を代表するスポットがまだないためか
「有力候補」とはならない傾向がありそうです。
また、「キャンプ」や「トレッキング」は
無印良品さんなどネームバリューがあるキャンプ場や日本百名山が3山ある地域として、認知されており
「有力候補」となる率も高い傾向にありました。
これらのデータをもとに、マーケットを絞った観光施策、マーケット自体を大きくする試み、地域を代表するスポットとしての磨き上げがそれぞれ必要だということが見えてきました。
※プレミアパネルアンケート→NTTコミュニケーションズ株式会社が提供している、ドコモの会員組織「dポイントクラブ」の会員に、アンケート形式で「プロモーション」や「リサーチ」を行うサービスです。
施策の展開
調査結果や現状/課題を洗い出した上で、次の各項目の施策を展開してまいります。
1.観光資源の魅力向上と情報発信
観光資源の磨き上げと情報発信
観光プログラム・観光ルートづくり
魅力的な食や物産づくり
2.受け入れ環境の整備
観光人材の獲得・育成
回遊基盤づくり
案内の充実
3.推進体制の整備
情報発信体制の強化
推進体制の確立
4.観光まちづくりの推進
風景デザイン
地域の理解・交流の促進
移住・二地域居住の促進
5.インバウンド対応
インバウンド資源づくりと情報発信
インバウンド受け入れ環境の整備
これらの施策を役場各セクションと観光協会、そして関連する団体/企業とともに役割分担を明確にして進めてまいります。
また、同時にデータ収集/分析も実施し、KPIによる事業評価やPDCAのサイクルを回すことで、より効果的な事業へとしてまいります。
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